カナダの高校留学に興味があるけれど「英語もわからないのにちゃんと授業についていけるのだろうか」「卒業は難しいのかな」など、留学生には不安がつきものです。
カナダの高校制度は州によって違いはあるものの、選択科目の多さや将来の仕事に役立つ実践的な授業が豊富です。
私はカナダの高校に留学し、今年無事卒業を迎えました。その経験から言えることは、留学生もしっかりした情報収集で心構えを整えることで、卒業はじゅうぶん可能だということです。
この記事ではカナダ・アルバータ州の高校卒業証書(Alberta High School Diploma)取得のために必要な科目を例に、日本人留学生に求められる英語力と心構えをまとめました。
これから海外の高校に留学しようと思っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
▼この記事を書いている人
\海外の高校に興味が湧いたら/
高校卒業に必要な教育機関(州)で決められた科目リスト
アルバータ州の公立高校卒業のために必要なのは100単位です。下記①~③の科目を組み合わせて履修します。
参考:アルバータ州の公式サイト(英語)
*の科目以外はすべて1科目あたり5単位として計算。
①必須科目 |
・国語(English Language Arts) ・社会(Social Studies) ・数学(Mathematics) ・理科(Science)…*1 ・体育(Physical Education)<3単位> ・一般教養(Career And Life Management -CALM-)<3単位> |
②下記の科目を組み合わせた10単位 |
・専門技術(Career and Technology Studies) ・芸術科目[美術/音楽/ダンス等](Fine Arts) ・第二外国語(Second Language) ・体育(Physical Education) ・専門知識/職務経験(Knowledge and Employability) ・職務経験またはそれに準ずる活動/経験(Registered Apprenticeship Program) |
③下記の科目を組み合わせた10単位…*2 |
・アドバンス専門技術(Advanced level in Career and Technology Studies) ・職務経験(Work Experience) ・職務経験またはそれに準ずる活動/経験(Registered Apprenticeship Program) ・産業関連事業での活動経験(Green Certificate Specialization) ・特別課外活動(Special Projects) |
*1:理科総合(Science)、生物学(Biology)、化学(Chemistry)または物理学(Physics)から選択が可能。
*2:英語と社会に加えて
最終試験 “Diploma”とは
日本の学校と同様、カナダの高校でもそれぞれの学期末に最終試験(Final Exam/Diploma)と呼ばれる試験があります。
日本と異なるのは、カナダでは教育機関は国ではなく州単位で管理されているため、州で定められた統一試験を受けます。この制度により公立高校が主であるカナダの教育制度の中で公平性が保たれます。
最終試験を受ける科目は国語(English)、数学(Mathematics)、理科(Science)、社会(Social Studies)の4教科のみで選択科目の州統一試験はありません。
アルバータ州統一試験について難易度別に科目リスト化してみました。
国語(English Language Arts)難易度・・・★★★★★
読解問題(Reading Comprehension Test) |
・短編小説(1~3ページ)と詩の読解力 |
随筆文(Essay) |
・個人の経験談または物語(小説) ・映画を題材にした考察文 ・採点は文法の観点とアイデアの観点の2項目で評価されるため英語が第一言語でない生徒や留学生でも評価されるシステム |
主要4科目の中で留学生に最も難易度が高いのがEnglishです。現地の生徒でも単位の取得・高得点の取得に苦労する科目であるためです。
Englishの成績はカナダ国内の大学出願の際に最も重視される科目の1つです。Diplomaで高得点を、そして普段の授業でも良い成績を取ることが志望する大学入学への近道になります。
この成績次第で、多くの大学が留学生に課しているTOEFL®やIELTSといった英語力判定試験が免除になることもあります。
*詳細は各大学の出願条件を確認してください。
数学(Mathematics)難易度・・・★★☆☆☆
選択問題(Multiple Choice) 並び替え問題(Numerical Response) 記述式問題(Written Response) |
・目安として算数~高校2年までの数学の範囲 ・計算機の持ち込みOK |
カナダの高校の数学では全員が基礎を理解できるようになる授業に重点が置かれたカリキュラムになっています。
そのため、中高での理数系のカリキュラムが強いとされる日本を含むアジア圏からの留学生は、数学をとても簡単に感じる人が多いようです。しかし、文章問題になると英語でかかれた問題を正しく読み解いていくことがカギとなるため英語に自信がないうちは練習が必要です。
逆に英語さえ正しく理解すれば100点に近い点数を取ることも可能です!また、授業中だけでなく小テスト・定期試験・最終試験、すべてにおいて基本的に計算機の持ち込みが許可されています。
理科(Science)難易度・・・★★★☆☆
選択問題 |
・目安として中学生の生物 ・化学・物理の範囲 |
数学に比べて理科が少し難しいと感じる理由は、理科特有の専門用語を理解して問題を解かなければならないためです。
卒業に必須の理科系の科目は理科総合(Science)、生物学(Biology)、化学(Chemistry)、物理学(Physics)のうち最低1つです。中学理科をある程度理解し、加えて授業で出てくる英語でかかれた用語を理解すればそこまで苦労する科目ではありません。
社会(Social Studies)難易度・・・★★★★☆
エッセイ |
・教科書で紹介される参考を例としてトピック(お題)を考察した文章をまとめる |
選択問題 |
・歴史、政治、公民等の分野から4択問題 |
カナダの歴史はカナダ建国から数えるととても短いため(第一次世界大戦以降~)社会の授業で勉強するのは主に国際社会情勢や各国の政治の仕組み、そしてカナダという国について理解を深めていくようなトピックがメインです。
留学先であるカナダという国について知ることができる良い機会です。日本という国を客観的にみることもでき、国際社会を知ることで日本とカナダ以外の世界にも目を向けられる授業です。
補足:過去問(“Released Items”と呼ばれる)がアルバータ州の公式ウェブサイトに公開されています。
日本人留学生に最低限必要な英語力
高校留学の難しいところは英会話力だけ、文法だけのように分野別でなく、英会話力から読解・エッセイまで満遍なく抑えなければならないところです。そのため、留学前の英語力は高いに越したことはありません。
英検やTOEFL®等のスコアは目安でしかありませんが、印象としては留学生の平均的な英語力として英検準2級~2級を留学前に取得している人が多い模様です。
TOEFL®やTOEIC®を高校生で受験済みの人は留学生の中でも少数です。資格としてハイスコアを取ることが目的であれば留学を終えてから帰国後に受験するほうがいいでしょう。または、留学を一定期間終えて英語力に自信が付き、成長の証としてスコアをみたいという人は現地で受験するのも一つの方法です。
留学前に最も必要なのは、高校・大学受験の勉強のように試験でのハイスコアや長文演習ではなく、心構えと情報収集等の事前準備、状況に応じて柔軟に対応する準備です。
海外での高校留学&卒業を叶えるためには
留学に行ってからの行動が成否を分ける
言語も文化も分からず始まる留学も、時が経てば環境にも慣れます。英語を使えば使う程、英語力も向上します。
前項で留学前に必要な心構えについて触れましたが、留学に成功する人・失敗する人を分けるものは実際に留学に行ってからの行動です。
これから留学へ向かう人が心がけるべきことは大きく2つあります。
渡航前から信頼できる人を作る
1つは事前の情報収集と留学先の高校やホームステイ先のファミリーと積極的に連絡を取ること。渡航前から信頼できる人がいることは渡航後すぐのストレス軽減や渡航直前の安心にも繋がります。
想像と違うことにも対応する
2つ目はどんな状況にも対応していく力です。
前述したように、どんなにたくさん事前準備をしても実際に留学してみてからわかること、想像とは全く違うことがたくさんあります。困難や予想外の環境に戸惑い、思いとどまるのではなくチャレンジ精神を持って挑戦してみること、とりあえず「やってみる」ことを大切にできる人は留学生活でもたくさんの経験と思い出をつくることができます。
カナダの高校卒業は先輩誰もが通った道
留学前・渡航前の不安や緊張は時に現実になり、時に予期せぬ出来事が起こります。留学生活は正直毎日が勉強です。
毎日何か新しい発見があり、毎日新しいことを学び、見て、聞いて、海外での慣れない生活・家族から遠く離れた暮らしによって辛い思いをすることもあるでしょう。
しかしそれらの経験は留学で成功した先輩たち誰しもが通った道です。諦めず、留学を通して自分の目標を達成してください!

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