イーストアングリア大学(University of East Anglia)で学ぶ『開発学』【世界の大学院レポート】

イーストアングリア大学(University of East Anglia: UEA)があるのは、ロンドンから電車に揺られること2時間、イングランド東部に位置するノーフォーク州の州都、ノーリッチ(Norwich)。緑に囲まれたのどかな街です。

学生満足度調査において常に上位にランクインするイーストアングリア大学には学部・大学院ともに多様な学部があります。なかでも日本人にダントツ人気なのが開発学部の大学院課程。筆者もここに在籍しています。

イギリスは開発学の先駆的存在で多数の有名校を持つ国です。開発学に関心を持つ人ならイギリス留学を検討する人も多いことでしょう。本記事では、イーストアングリア大学が果たす役割や得意な分野、外国からの学生が半数を占める多様性、コースの具体的な進み方などをご紹介していきます。

開発学に関心のある人はもとより、大学院への留学を検討している人やイギリス留学に興味のある人もぜひ参考にしてみてください。

イーストアングリア大学・大学院留学生の西浦早織がお伝えします。

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イーストアングリア大学が得意なのは「農村開発」「ジェンダー」「環境問題」

植民地を研究するために生まれた開発学。この学問はイギリスが発祥の地であり、開発学における世界の大学ランキングの上位はイギリスの有名大学が占めています。

日本は開発学専攻を学部レベルで設けている大学はなく、大学院レベル(研究科)でも名古屋大学しかありません(注:国際協力など類似の研究科がある大学はあります)。

そのため開発学を学びたい日本人の多くは、海外、特にイギリスに飛び出して勉強・研究をする必要があります。

イギリスには、開発学で世界ランキング1位のサセックス大学(University of Sussex)をはじめオックスフォード大学や東洋アフリカ研究学院(SOAS)、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)、などたくさんの大学があります。

そんななか、UEAが得意としているのは、農村開発とジェンダー、そして環境問題です。大学院の国際開発学部は単独で14ものコースを持っており、自分の興味・専門に合わせたコースを専攻することができます。

学生はそれぞれの国の経験をシェアし議論する

世界的に有名なUEAの国際開発学部(大学院)には、毎年様々な国から学生が集まっています。

2018/19年度は162人中92人、すなわち半分以上が海外からの学生でした。日本をはじめナイジェリアやネパール、メキシコ、パキスタン、ケニア、韓国、ドイツ、ベリーズ等、大陸・地域を問わず多様な国籍の学生が同じ教室で講義を受けています。

学部と異なる点に、学生の年齢があります。若くは21歳から(イギリスの学部を卒業すると21歳が一番若い年齢になります)上は60代までが在籍しています。ボリュームゾーンは30歳前後で、NGOや政府機関など現場での経験を数年積んでから来ている人がほとんどです。

様々な国で、異なるセクターで開発学に携わってきた学生が、自分たちの経験をシェアしながら学問的な議論をします。とても刺激的な環境と言えます。

さらに、ジェンダーの多様性も際立っています。下記の写真は、生協の建物にあるジェンダー・ニュートラル・トイレです。

性別に関係なく使用できるトイレがあったり、授業の中間フィードバックで、学生側から「見た目で判断して、気軽にs/heのような人称代名詞を使わないでほしい」という要望があったりと、オープンかつ配慮が行き届いています。

イーストアングリア大学の成績評価。重要な決め手はレポート。

UEAの開発学部は2学期制で、10~12月がセメスター1、1~5月がセメスター2です。どちらも13週授業があり、1セメスターにつき3科目選択することができます。

必修科目はおおむね各学期1~2科目。残りの1~2科目は選択で好きな授業を取ることができます。

どの授業もオムニバス形式で、1科目あたり3人の先生が順番に授業を担当します。1科目につき講義2時間、セミナー2時間/週というのがスタンダードです。

筆者が所属している国際開発学コースは、開発学の潮流を概観する必修科目が各セメスターに1つあり、残りは選択科目。農村開発や社会分析、水資源管理、教育など多様な授業から選ぶことができます。

セメスター2の後の6~8月は修士論文を書く期間となります。例年8月末が締め切りになっています。授業は全くないので、指導教官や仲間たちに助けてもらいながら、自分でペースを作る必要があります。

多くの留学生にとって気になるのが成績評価方法。

ここではレポートがほとんどです。期末テストがある授業もありますが、その場合もテスト40%、レポート60%など傾斜をつけて評価されることが多くみられます。

プレゼンで評価されることもあります。

UEAでは、70点以上でディスティンクション(Distinction)、60点以上でメリット(Merit)、50点以上でパス(Pass)、49点以下はフェイル(Fail)=単位を落とす、という4段階の成績評価が行われます。テストやレポートなど、成績評価対象の課題の素点に傾斜(%)がかけられ、合計されたものがその科目の成績となります。

例えば科目Aのテスト(40%)で70点、レポート(60%)で60点を獲得した場合、70×0.4+60×0.6=64点(Merit)が科目Aの最終成績となります。イギリスの大学院ではメリットが取れればすごいと聞いたことがあったのですが、成績の統計を見ているとパスを取る人は極少数で、多くの人がメリット、そして1-2割程度がディスティンクションを取っている印象です。


Photo from Flickr: University of East Anglia aerial by John Fielding

イーストアングリア大学大学院での開発学についてお伝えしてきました。

大学院への正規留学を検討している方、開発学の修士号を取りたい方は、「ハードルが高いのでは?」「勉強についていけないのでは?」と心配なことも多いでしょう。

しかし上記のように留学生も多く、勉強面・生活面で英語を母国語としない学生への配慮が行き届いています。また成績をみても、日本人を含め多くの学生がメリット以上を獲得しています。英語でのコミュニケーション・発信はもちろん大変ですが、海外で修士号を取ることは日本の大学院で取るのに比べて非常に難しい、というわけではありません。

海外だから、英語だから、という点で大学院への世紀留学を踏みとどまっている方には、是非もう一歩踏み出していただけたらなと思います。

※学部課程のレポートは「途上国開発を志す人は注目。イギリス・イーストアングリア大学レポート。」も参考にしてください。

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