世界中から年間45万人以上の学生が留学するオーストラリア。「語学学校」や「大学」「大学院」など、さまざまな教育機関があるなか、オーストラリアならではの教育機関が「テイフ(TAFE)」です。TAFEは高い専門技術を身に付け、キャリアに直結する実践スキルを学べる職業訓練校。今回は、筆者が在籍したTAFEへの留学について詳しくお伝えしていきたいと思います。
海外留学に興味が湧いたら
TAFEってどんなところ?
オーストラリアには、公立と私立それぞれ2種類の職業訓練校があります。このうち、公立の職業訓練校をTAFE(=Technical and Further Education)と呼びます。
オーストラリアにあるTAFEを運営するのは各州の政府。観光やビジネスなど、一つの分野に特化した学校が多く、学習内容、講師陣、施設などで学校の個性を打ち出し、留学生の受け入れにも積極的です。専門技術を習得できるプログラムは将来のキャリアに直結するだけでなく、上級コースを一定の成績で修了すれば、大学の2学年(または3学年)に編入できるパスウェイにもなっています。
様々なTAFEのコース
歴史ある分野から最新テクノロジーを扱うものまで多様なコースがあります。ここにその一例を挙げましょう。
○ビジネス・経営
○メディア・通信
○通訳・翻訳
○IT
○工学
○航空関係
○環境学
○観光
○社会福祉
○ホスピタリティ
○アート&デザイン
○映画・音楽
○調理
○ナチュラルセラピー
入学基準は?修了後にどんな資格が取れるの?
○サーティフィケート(Certificate 1~4)
高校過程修了後の進学が一般的ですが、日本の高校1年修了時からでも、資格としては入学可能となっています。このコースでは、専門技術の最も初歩的な内容を学びます。期間は16週間から1年半くらい。
○ディプロマ(Diploma)
日本の高校3年を修了しているか、同等の資格を有している場合のみ入学可能です。このコースの修了証書は、オーストラリア国内の大学の学士のコースの単位として認められる場合が多いようです。
○アドバンスト・ディプロマ(Advanced Diploma)
日本の高校3年を修了しているか、同等の資格を有している場合のみ入学可能です。このコースではTAFEにおける最高レベルである専門的な技術や技能を学びます。コースの修了証書は、オーストラリア国内の大学の学士コースの単位として認められることが多いようです。期間は2~3年。
TAFEの『通訳コース』をご紹介しましょう。
私が在籍したのはRMIT大学付属のTAFE。以前から興味のあった半年間の通訳コース(Diploma of Interpreting)を選択しました。卒業後にはオーストラリアの国家資格(NAATI_Paraprofessional)が取得できるカリキュラムになっています。対象となる言語は、日本語・中国語・韓国語です。
▲RMIT(ロイヤル・メルボルン工科大学)
授業の内容は、通訳概論をはじめ、日豪の比較文化論、PCを使ったシャドーイングの練習、通訳のロールプレイングなど多岐にわたります。日本語のクラスメイトは全部で7人(男性2人、女性5人)。オーストラリアに長く滞在している人、新しいキャリアを求めて会社を辞めてきた人など、年齢もバックグラウンドみなさまざまです。
日本にも通訳の専門学校がありますが、このコースではオーストラリアで通訳することを前提としています。そのため、通訳技術だけでなく、オーストラリアの歴史、教育、ビジネス、福祉などの知識を深める授業があります。
また、全日制なので短期間で集中して勉強できるため、語学力が飛躍的に伸びます。日本で通訳業務にあたるには、帰国後さらに勉強を続ける必要があるものの、このコースで学んだことは実際の通訳現場で活かせるでしょう。
TAFEは日本でいう専門学校のような所。大学へのパスウェイにしたり、専門技術を習得して就職へつなげたりと、色々な活かし方があります。英語+αで何かを習得したいなら、ぜひチャレンジしてみてはいかかでしょうか?