世界ランキングでトップ10内常連の理系大学、インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)。かつては総合大学・ロンドン大学に属していましたが、2007年の独立を経て今に至ります。
世界最高の学生都市に選ばれたイギリス・ロンドンにキャンパスを構えています。留学生が多く国際色が強い大学です。
今記事では、毎年世界中から優秀な学生を集めるインペリアル・カレッジ・ロンドンの魅力、高い評価を裏付ける内容をご紹介します。
ランキングの紹介をはじめ、概要や学部、偏差値、費用など留学準備に役立つ情報もお伝えします。
- 有名なインペリアル・カレッジ・ロンドンってどんな大学?
- どんなことが学べるの?
- 難易度はどれくらい?
- 留学するにはどうしたらいい?
このような疑問をお持ちの方へ、わかりやすくご説明していますので、ぜひ最後まで目を通してみてくださいね。
『留学プレス』留学生記者/小島なお(イギリス在住フルタイムワーカー兼ライター) テーマ:イギリス、留学 イギリスを含め海外生活は10年以上。 ファッションを勉強したことがきっかけで、イギリス・ロンドンに強い憧れを抱き渡英[…]
インペリアル・カレッジ・ロンドン基本情報
理系に特化した世界最高峰の大学
インペリアル・カレッジ・ロンドン(以下ICL)は国際的にも由緒ある理系・研究大学です。
世界トップクラスの理系学部に加え、研究の分野も有名です。ラッセルグループ、ゴールデントライアングルをはじめ多くの教育団体に所属しています。外国人留学生の割合は全体の半数以上にのぼります。
就職率はイギリス国内の大学の中でもトップクラスです。また、コンピューティング学部は卒業後の報酬額が国内トップを獲得した経歴もあります。
インペリアル・カレッジ・ロンドンの歴史
ICLの歴史を語る本も発行されているほど、その歴史は長く壮大です。
今から約200年前の1823年、ロンドン市内の病院にて現在の医学部の前身として教育を開始します。
1851年以降、ロンドン・サウスケンジントンエリアに科学と文化発展施設や博物館、化学大学、鉱山学校など新しい教育施設をオープン。
1907年に3つのカレッジが合併しロンドン大学に加盟します。ここの現在のICLの基礎ができあがります。
2007年にロンドン大学から独立。2016年にキングスカレッジロンドンとパートナーシップを組み、ヨーロッパ最大の単一研究所を設立します。
メインキャンパスはロンドン屈指の高級エリア
ICLのキャンパスはロンドン市内の病院などに点在しますが、メインキャンパスがあるのがサウスケンジントンです。
エリアごとに特色のあるロンドンの中で、特にこのケンジントンエリアは「一度は住んでみたい」と憧れる人の多い高級エリアです。
学生寮のうちいくつかはメインキャンパスから至近距離にあり、このハイクラスなエリアで学生生活を送ることができます。ちなみに、寮の一部は2012年ロンドンオリンピックの宿泊施設としても活用されていました。
高級デパート・ハロッズやケンジントン宮殿はキャンパスから徒歩圏内です。
セントラルロンドンまでのアクセスも抜群で、自然史博物館など有名観光施設もキャンパスからすぐ。会員になれば無料で施設の図書館を利用することもでき、自主学習にぴったりです。
著名な卒業生
ICLの卒業生の多くが世界で活躍する著名人です。
エンジニアや科学者、研究者が名を連ねますが、中にはミュージシャンやライターもいます。クイーンのギタリスト、ブライアン・メイもICL出身です。
ノーベル賞受賞者も多く、ペニシリンを発明した科学者アレクサンダー・フレミング、イギリス政府のスパイ技術を開発したダドリー・ニューイット、プロセスシステム工学の父と呼ばれるロジャー・サージェント、ファイザー社のCEOなどがよく知られています。
インペリアル・カレッジ・ロンドンの学部
Imperial College London viewed from Exhibition Road by Alexander Baxevanis
ICLの学部構成は大きく4つから成りたっています。どの学部も世界トップクラスの評価を得る有名学部です。
なかでも医学部は特に人気があります。医学部はTHE世界大学ランキング2024年では世界4位にランクインしました。
ここでは学部課程で学べる主なコースをご紹介します。大学院課程を含むすべてのコースはこちらから検索してみてください。
航空宇宙工学 | 航空工学 宇宙船工学と航空学 |
人工知能 | バイオメディカル・テクノロジー・ベンチャー コンピューティング(人工知能と機械学習) コンピューティング(ビジュアル・コンピューティングとロボティクス) 経済・金融・データサイエンス |
生化学とバイオテクノロジー | 生化学 生化学と理系言語 生化学と経営 バイオマテリアルと組織工学 バイオメディカルとテクノロジーベンチャー バイオテクノロジー バイオテクノロジーと言語 バイオテクノロジーと経営 分子生体工学 |
生物工学 | バイオメディカル・エンジニアリング バイオメディカルとテクノロジー ベンチャー 分子生体工学 |
生物科学 | 生物科学 バイオサイエンスと言語 生物科学と経営 生態学と環境生物学 微生物学 分子生物工学 |
生物医学 | バイオメディカルとテクノロジーベンチャー メディカルバイオサイエンス メディカルバイオサイエンス 分子バイオエンジニアリング |
ビジネス・経営 | 生化学と経営 生物科学と経営 バイオメディカルとテクノロジーベンチャー バイオテクノロジーと経営 化学と経営 経済・金融・データサイエンス 電気・電子工学と経営 メディカルバイオサイエンスと経営 |
化学工学 | 化学工学 材料工学 原子核材料工学 分子生体工学 |
化学 | バイオマテリアルと組織工学 化学 経営化学 医薬化学と化学 分子物理化学 材料科学と工学 原子核工学と材料 |
土木工学 | 土木工学 |
コミュニケーション・メディア学 | ※修士課程のみ |
コンピュータサイエンス | コンピューティング コンピューティング(人工知能と機械学習) コンピューティング(経営と金融) コンピューティング(国際学習プログラム) コンピューティング(セキュリティと信頼性) コンピューティング(ソフトウェア工学) コンピューティング(ビジュアルコンピューティングとロボット工学) 経済・金融・データサイエンス 電子情報工学 数学とコンピュータサイエンス |
データ科学 | コンピューティング(人工知能と機械学習) 経済・金融・データサイエンス |
デザイン工学 | 土木工学 デザイン工学 |
生態・環境科学 | 土木工学 地球惑星科学 地球惑星科学 生態学・環境生物学 地質学 地球物理学 |
電気・電子工学 | 生物医学工学 電気電子工学 電気電子工学と経営 電子情報工学 |
エネルギー | 電気電子工学 原子力工学と材料工学 機械工学と原子力工学 |
ファイナンス | バイオメディカルとテクノロジー・ベンチャー コンピューティング(経営・財務) 経済・金融・データサイエンス ファイナンスのための統計学・数学 |
地球科学 | 地球惑星科学 地質学 地球物理学 |
材料科学 | バイオマテリアルと組織工学 材料科学と工学 原子核材料工学 |
数学・統計学 | 経済学、金融、データサイエンス 数学 数学(純粋数学) 数学とコンピュータサイエンス 応用数学/数理物理を含む数学 数学と数理計算 統計学と数学 金融統計のための数学 |
機械工学 | 生体医工学 材料工学 材料原子力工学 機械工学 原子力工学と機械工学 |
医学・医療 | バイオメディカル・エンジニアリング バイオメディカルとテクノロジーベンチャー 医学 分子生体工学 |
物理学 | 地球物理学 材料科学と工学 原子核材料工学 物理学 物理学と理論物理学 |
公衆衛生学 | ※修士課程のみ |
安全保障科学 | コンピューティング(セキュリティと信頼性) |
インペリアル・カレッジ・ロンドンの難易度とランキング
Imperial College London by Mihnea Maftei
インペリアル・カレッジ・ロンドンの偏差値
偏差値を用いないイギリスですが、ICLの入学難易度は非常に高めといえます。近年のICLの合格率は学部課程では約36%、修士課程では約28%と高倍率です。
特に合格率の厳しい学部はソフトウェアやAIなどのコンピューティング、医学の修士号です。
ランキング
大学のレベルを位置付ける上で重要な指標が大学ランキングです。参考までに近年のランキングをご紹介します。
QS世界大学ランキング2025 | 世界2位 |
THE世界大学ランキング2024 | 世界8位 |
ユニバーシティリーグテーブル2025 | 英国5位 |
ザ・ガーディアン2024 | 英国5位 |
大学合格への最短ルートを知ろう!
世界にはトップランク大学から比較的入学しやすい大学、仮合格制度がある大学、芸術大学、公立と私立…などなど、いろんな大学があります。
予算や学部、校風に合わせた大学選び、そしてその大学に合格できる最短ルートを作れるよう、あなたに適した留学資料を留学各社からお届けします!
インペリアル・カレッジ・ロンドンの学費
一般的にどの大学でも理系コースは文系コースより学費が高めの傾向があります。そのため、理系に特化しているICLは費用の高い大学というイメージを持たれがちですが、奨学金制度を設けていたり、優秀な学生へは企業がスポンサーとなるケースもあります。
以下にいくつかのコースの1年あたりの学費例をご紹介します。(2024年度)
AI | 41,750ポンド |
応用数学 | 34,350ポンド |
気候変動と経営/財務 | 37,000ポンド |
ニューロテクノロジー | 40,900ポンド |
インペリアル・カレッジ・ロンドンに留学するには?
London20anni_047 imperial college london. Prince’s garden by Giulio Jiang
2つのファウンデーションコース
日本の高等学校を卒業しICLへ留学する場合は、直接学部の1年次からスタートするのではなく、まず9ヶ月〜1年間のファウンデーションコースを受講するのが一般的です。
「ファウンデーションコース(Foundation Course)とは、高校を卒業した学生が海外の大学に進学する際に必要となる準備コースのこと。大学に入学する前に受講する1年間のプログラムです。 特に、日本と異なる教育制度を持つイギリ[…]
ICLでは、2種類のファウンデーションコースを紹介しています。
なお、医学、メディカルバイオサイエンス、 化学工学、土木工学の学部はファウンデーションコース修了資格を受け付けていないため、出願条件について直接希望学部にも確認しましょう。
【ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン理工系学部入学準備証明(University College London UPCSE)】9ヶ月間
ロンドン中心部にキャンパスを構えるユニバーシティー・カレッジ・ロンドンが提供するファウンデーションコースです。アカデミックスキルや英語力、思考スキルやリサーチスキルを養います。
学期ごとに宿題、研究プロジェクト、演習などを通して評価、テスト結果で点数が与えられ、この点数が学士課程出願時の重要な証明となります。
【ウォーリック大学国際ファウンデーションプログラム(Warwick’s International Foundation Programme)】9ヶ月間
ロンドンから車で1時間半ほど北上した場所に位置する、ウェスト・ミッドランズ州ウォーリック大学のファウンデーションプログラムです。
同プログラムはイギリスのファウンデーションコースの中で最も古い歴史があり、国内の名門大学への架け橋として質の高いコースを提供しています。
ICLの学部に関連するファウンデーションコースの内容は、コンピューターサイエンス、工学、数学、統計学、化学などです。
直接、学部課程に出願する場合
日本で最低1年次を修了して編入する人やIBディプロマを持っている人は、ファウンデーションプログラムを経ずに直接ICLに出願することができます。
ここでは例として航空工学と数学コースの場合の出願要件をご紹介します。コースや年度により異なりますので、大学公式ページを参考にしてください。
▼航空工学
Aレベル | 最低 A*A*A /A*AAA 数学でA*、物理学でA/A*取得 |
国際バカロレア(45満点中) | 最低総合40点 |
▼数学
Aレベル | 最低 A*A*A /A*A*AA 数学でA*、応用数学でA*、その他A取得 |
国際バカロレア | 最低総合39点 |
英語力 | IELTS総合6.5 各項目で6.0以上 |
修士課程
人気のコースは早い段階で締め切られてしまうため、早めの準備をおすすめします。
なお、ビジネススクールでの修士課程以外は第二希望までコースを選び、第一希望が不合格の場合は第二希望のコースへの出願となります。
ここでは例としてMBAとコンピューティングコースの出願要件をご紹介します。年度やコースによって異なりますので、大学公式ページを参照してください。
▼MBA
成績 | 学士課程の平均成績が全体でB以上 |
英語力 | 総合7.0 各項目で6.5以上 |
▼コンピューティング(AI/機械学習)
成績 | 学士課程の平均成績が全体でB以上 |
英語力 | 総合6.5 各項目で6.0以上 |
インペリアル・カレッジ・ロンドンの志願倍率は高め。難関突破に備えよう!
ICLは世界規模で見ても最高峰の大学のひとつであり、大変人気の名門校です。毎年世界中から優秀な学生がICLを志願し、厳しい入学基準を満たし難関をくぐり抜ける学生のみが入学できます。希望のコースが決まったら、合格へ向けて早くから準備する必要があるでしょう。
ICLのキャンパスがあるイギリスの首都、ロンドンは世界最高の学生都市です。世界の学生を魅了するロンドンなら、最高峰の教育を受けながら、素晴らしい仲間と一生に一度の忘れられない大学生活が送れるはずです。
ICL卒業後に世界で羽ばたいている自分を想像しながら、ぜひチャレンジしてみてください!