イギリスの大学留学を考えている方なら
「実際にはどんな授業なんだろう」
「日本の大学とどう違うのだろう」
「予習・復習はどのくらい大変なんだろう」
といった、実際の授業のスタイルが気になることでしょう。
イギリスの大学は、他学部の科目をとることができる体制や、課題の評価方法についても日本と異なる点があります。イギリス式の教育を知り、慣れるまでは日本人にとって大変なこともあるでしょう。しかし実際には成績優良の日本人留学生も多く、学生の興味や環境に合わせて柔軟な学び方もでき、取り組みがいのある授業システムであるともいえます。
今回は、筆者の実例も活用しながら、実際のイギリスの大学の授業についてご紹介します。
山下詩央里(イギリス大学留学生) テーマ:留学、イギリス、他 シンガポール出身、インドネシアと日本育ち。 高校卒業後、イギリスの大学に進学。 イングランド東部Norwich在住。 現在学部2年生、専攻はビジネスマ[…]
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授業はレクチャーとセミナーの2部構成
どの学部の授業も基本的には1つの科目につきレクチャーとセミナーのセットで構成されています。
レクチャーとは大人数の講義で、主に教授が前で話しているのをパワーポイントや資料と併せて聞くものです。
一方セミナーは、その科目を選択している生徒を少人数に分け行われます。セミナーでは生徒が主体となり、レクチャーで行われた講義内容をより深めたり、生徒たちでプレゼンテーションやディスカッションを行ったりします。
▼筆者の時間割の一部
イギリスのほとんどの大学では秋学期と春学期の2期制が採用されています。筆者の通う大学では“1年間を通して120クレジット(単位)修得すること“が進学条件です。
一般的な科目は1科目につき20クレジットなので、1年間で6科目の単位を修得すれば無事に進学できます。課外活動や卒業論文、学部によってはインターンシップをすると20クレジットやそれ以上の単位を修得できるものもあります。
また、“秋に3科目、春に3科目とらなくてはいけない“という決まりはないため、科目申請の際に来年度の忙しさを考慮し「秋は4科目、春は2科目」など調整することもできます。
選択科目は学部をまたいで選べます
日本と同様、イギリスでも必修科目と選択科目があります。必修科目の数は学部、学科によって大きく異なりますが、2回生以上になると少なくとも1つは選択科目をとることになります。
選択科目には、学部、学科に即したものはもちろん、ほかの学部の授業も時間と単位数さえ合えば専門科目であっても選択することができます。
例えば、経営学部の生徒が法学部のビジネス法(Business and Law)を取ったり、国際関係学部の生徒が経営学部の組織論(Organisational Behaviour)を取ったりすることも可能です。
また、選択科目群には外国語もあります。スペイン語、フランス語、ドイツ語、中国語、アラビア語、日本語など幅広く、同時にネイティブの先生に教えてもらえるため外国語を選択している生徒もいます。
外国語は単純な言語への興味だけではなく、「友達が話している言語だから!」と、ノンクレジットモジュールとして、単位とは関係なく自主的に授業を受けにいく学生も少なくありません。
予習を怠ると悲劇!
授業では予習が非常に重要視されています。毎週50ページ以上のリーディング、複数の論文や記事を読むこと、事前に問題演習してくる…など、前の週の授業で必ず予習が指定されます。セミナーは当然、レクチャーであっても予習をしてきたことが前提で授業が進むので1度でも忘れると大変なことになります。
同時に復習も「1授業につき最低3時間の復習!」と初回の授業で口を酸っぱくするほど言われます。つい忙しくて復習を貯めこんでしまうと、エグザム(=試験)前に泣くこと必須です。
▼予習で課された論文
評価方法はエッセイ、プレゼンテーション、エグザムが主流
単位の修得を左右する重要なポイントは評価方法。
主な評価方法はエッセイ、プレゼンテーション、エグザムの3つです。日本では評価のひとつとなるのが一般的な「出席点」については、セミナーでは毎回出席をとられるにもかかわらず、成績に加味されることはありません。
基本的には、「学期中にエッセイを複数本書く」や「エッセイ1つとプレゼンテーション1つ」「エッセイとエグザム」など、いくつかの組み合わせによって最終成績が評価されます。
とはいえ、中には「エッセイもプレゼンテーションもエグザムもすべてあります」などという教科もあります。プレゼンテーションは個人の場合とグループの場合があり、セミナーが同じメンバーで一緒に準備をすることもあります。
そして、日本人泣かせなのがエグザムです。エグザムは主に選択問題、短文問題、エッセイ問題の3つの形式があります。選択/短文問題のどちらかとエッセイ問題の2つで構成されていることがほとんどです。エッセイ問題は平均で2つ、多いときには4つのエッセイをテスト時間内(2時間~3時間)で書かなくてはいけません。
また、日本とは異なり、解答はすべてペンで書かなくてはなりません。解答用紙もレポート用紙のセットが配られるのみで、足りなくなれば挙手して追加の用紙をもらうシステムです。(おまけになりますが、筆者の大学のエグザムの解答用紙は学籍番号のみが見えるようになっています。記名も一応行いますが、記名箇所は上からテープで隠されてしまいます。なんたる徹底ぶり…!)
▼テスト前には1日中過ごしている図書館の一部
イギリスの大学で勉強するということ。日本とは違った授業構成や評価方法。実際にネイティブの生徒たちと切磋琢磨し、好成績を修めたときの達成感は何にも代えられません。イギリスで大学生活、ぜひ過ごしてみてください。