バンクーバーの夏は様々なフェスティバルが開催されます。その中でも、市民が最も楽しみにしているイベントが、「セレブレーション・オブ・ライト(Celebration of light)」です。
毎年、7月末から8月上旬にイングリッシュ・ベイで開催されるこの音楽と花火のショーでは、演出の素晴らしさを3ヵ国で競い合います。カナダは必ず参加し、他の2ヵ国は毎年変わります。これまでの参加国はアメリカ、フランス、スペイン、ブラジル、中国など様々。もちろん、日本も参加したことがあり、2014年の大会ではチームジャパンがみごと優勝を収めました。
今日は、バンクーバーの夏の風物詩であるこの花火大会をご紹介します。
多くの国が花火大会に参加するのには意味がある
カナダは移民の国と称されるように、多民族国家です。彼らの祖先は、カナダの豊かな天然資源の採掘や工業事業を求めて移住してきました。その植民地支配の陰で、先住民たちは文化的にも生活の上でも、危機的な状況が長く続いていました。しかし、大自然との調和を大切にする先住民の知恵は、エコロジーへの関心が深まると共に、カナダの人々に大きな影響をあたえるようになりました。彼らは今もバンクーバー郊外のミッション周辺に住んでいます。
第二次世界大戦前から日系移民も多く、日本人街もありました。今は衰退してしまい日本人街は残っていませんが、彼らの子供である二世、三世は現在もバンクーバーで暮らしています。
また、大きなチャイナタウンもあります。背景には1997年の香港の中華人民共和国返還によって、共産主義化を懸念した香港系中国人が移り住んだことがあります。
その後も、自然環境と都市文化の発展に伴い、世界各国からの移民が急増しました。このように移民を受け入れてきたカナダでは、文化や習慣の違いはあれど、お互いを尊重して生活していく必要がありました。様々な国が参加する「Celebration of light」の背景には、他民族国家であるカナダ特有の思いがあり、人々が今後も仲良く共に暮らしていけるようにとの願いが込められているのでしょう。
セレブレーション・オブ・ライトの歴史
この花火大会は今年で25回目を迎えます。最初の開催は1990年の夏であり、長い歴史の中でたくさんの人を魅了してきました。もともとはタバコ会社がスポンサーとして開催し、「Benson & Hedges Symphony of fire」として知られていましたが、喫煙に厳しいカナダでは、花火のスポンサーがタバコ会社というのは青少年に良くないと言った理由で反対をされました。その後は、様々な会社がスポンサーとなり、現在の「Celebration of light」と名前も変わりました。
「セレブレーション・オブ・ライト」を最高に楽しむ方法
3日間に渡って開催される花火大会、開催時刻は夜の10時からです。バンクーバーの夏は日が長いため、空が完全に暗くなるのは10時頃なのです。
この日はものすごくたくさんの人が集まります。バンクーバー市民、観光客も加えると、その数は140万人にもなります。時には携帯が繋がらないことも。
会場近くのビーチでは夕方6時過ぎから場所取りをしている人もおり、ピクニック感覚で日向ぼっこをしながら待つのも良いでしょう。また、海上から花火を観覧しようと、多くのボートが海に出ています。カナダでは公共の場でお酒を飲むことが禁止されているため、酔っ払いによる混乱もなく比較的安全です。
花火大会が開催されるとMCの合図に合わせて、人々がカナダの国家を大合唱し、大きな花火が打ちあがります。趣向を凝らした花火を見ながら、夏を満喫してはいかがでしょうか。この花火大会は、ただ純粋に家族や仲の良い友人とその時間を楽しむためにあるのです。
文:新すみな(ライター)
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