ギャップイヤーとは?日本の現状、留学など過ごし方事例、メリット・デメリットを解説。

ギャップイヤーとは「高校卒業」から「大学入学」までの期間のこと。大学に合格後すぐに入学せず、入学日を翌年にずらすと1年間の空白期間が生まれます。この空白期間を活用して、好きなことにチャレンジしたり、成長につながることを経験したり、自分のために自由に使うことを『ギャップイヤー制度』と言います。

もともとはイギリスで生まれたシステムです。現在は欧米を中心に世界各国に広がっています。

英国のハリー王子もギャップイヤーを取得しました。ギャップイヤー期間中にトイレの清掃活動をする王子の姿は、イギリス国民にとてもチャーミングな印象を与えたものです。

日本でも一部の大学がギャップイヤー制度を取り入れています。秋入学を導入して4月から8月までの半年間、ギャップイヤーがとれる大学も増えてきています(学期の場合は「ギャップターム」とも呼びます)。

秋入学を導入していない大学の場合は、在学中に『休学』することでギャップイヤーを取れます

日本では、年々ギャップイヤーへの関心が高まっています。さらに、コロナ禍をきっかけにより注目する人が増えてきました。

ギャップイヤーの活用によって大学時代の過ごし方が変わり、その先の未来についても深く考えるきっかけになるでしょう。

この記事ではギャップイヤーの日本での現状、欧米の事例、ギャップイヤーの活用法、メリットとデメリットについてご紹介します。

日本のギャップイヤー

桜

日本でギャップイヤーを取得するタイミング

従来の日本では大学に合格すると、そのまま4月に大学生になり、いずれは企業から内定をもらって4月から働く、というパターンが主流でした。

つまり、隙間なく、休みなく、線路のように次へ次へとつながっていく人生です。

ギャップイヤーは、この線路の途中で1年程度の空白期間をわざと作って好きなことをするというものです。

ギャップイヤーを取得するタイミングとしては

・高校から大学へ上がるとき
・大学在学中に休学
・卒業後に就職するまでの間

の3つのパターンがあります。

ギャップイヤーの日本での変遷

そもそも日本で最初にギャップイヤーという言葉が聞かれ始めたのは、2011年のことです。この年、東京大学が、秋入学導入の検討を発表しました。

結局、秋入学構想は見送りとなってしまいましたが、当時の東京大学総長・濱田純一名誉教授はメディアのインタビューで、秋入学構想を思い立った理由を次のように語っています。

秋入学構想を出した時、海外に行った学生たちが帰国して、「東大のこの授業は何だ」と批判してくれることで教育の質が上がることも期待していました。

朝日新聞 EduA

ギャップイヤーの導入によって、日本の教育がレベルアップすることに期待を寄せていたのですね。

コロナ禍で再注目されるギャップイヤー

ギャップイヤーが次に大きく取沙汰されたのは、新型コロナ対策のために全国で休校が相次いだ2020年春です。全国の都道府県知事をはじめ、政治家や有識者たちの間から、コロナ禍をきっかけに秋入学導入を進めようという機運が高まったのです。

ただし、今回も当面の秋入学全面導入は見送られました。

日本のギャップイヤーの大半は『休学』

秋入学が日本で今後広まるかどうかはさまざまな意見があります。

しかし、秋入学の可否に関係なく、これまでにも休学をして留学や一人旅、ダブルスクールなど、自主的ギャップイヤーをとってきた学生は毎年いました。

休学中の授業料の一部(または全額)が免除されない大学もあったり、「空白は作ってはいけない」という日本特有の考え方、社会の視線などのハードルもあるなか、学生たちは果敢に休学型ギャップイヤーにチャレンジしてきました。

そして今コロナ禍を経て、休学型ギャップイヤーに対する学生の空気はさらに変わってきているようです。

「対面授業が再開するまでは休学して自主的ギャップイヤーをとろう」

「この時代に無理に就職活動するよりも、しっかり自分の未来を考えるための休学型ギャップイヤーをとろう」

想像していた大学生活を送れないなか、このように考える学生が出てくるのは自然な流れだったのでしょう。

ギャップイヤーを導入している日本の大学事例

東京大学

東京大学 Fly Program

入学直後に1年間の特別休学期間を取得し、ボランティアや就業体験、国際交流などの社会体験活動を通じて自らを成長させることを目的としています。

小樽商科大学ギャップイヤープログラム

入学前に外国の大学などで、一定期間学習する機会を与え支援するプログラムです。参加費用の一部助成もあります。

国際教養大学ギャップイヤー入試

11月に選考が行われ、入学日は9月1日となります。4月から8月までの間は入学予定者として扱われ、大学が求める『グローバルな知識』や『思考能力』を磨くためのギャップイヤー活動を義務付けています。

名古屋商科大学ギャップイヤープログラム

入学直後の約75日間、ヨーロッパへ赴き、自主的な計画のもと単独で調査活動を行うものです。奨学金も給費しています。

海外のギャップイヤー事例

イギリス

イギリスのギャップイヤー事例

ギャップイヤーは、イギリスで1960年代に発祥しました。2012年にはイギリス全大学生のうち約10%がギャップイヤーを使ったとみられています。

ギャップイヤーの取得も簡単です。UCAS(英国の大学一括出願制度)へ入学願書を出すときに「入学を一年遅らせたいですか?」という質問があり、それにチェックをすれば入学は翌々年になります。1年間、身分は学生ではありません。

アメリカ

アメリカ国旗

イギリスと比べるとまだまだ浸透していないアメリカのギャップイヤーですが、年々取得する学生が増えています。特に、2016年に当時アメリカ大統領だったバラク・オバマ氏の長女マリアさんがギャップイヤーを取得したことは話題を呼びました。

また、2020年にはコロナ禍の影響もあって、ハーバード大学の学生のうち20%以上がギャップイヤーを取得したことも報じられています。

参考:ハーバードの新入生340人がギャップイヤーを取得(英語)

アメリカの場合、多くのトップランク大学がギャップイヤー推進に賛成していることから、今後ますますギャップイヤーが浸透していくことは間違いないと考えられます。

ドイツ

ブランデンブルク門

世界的に見ても、ドイツはギャップイヤーをリードする国のひとつです。多くの学生が大学に進学する前の1年間、ワーキングホリデーやボランティア活動などに参加します。

EUで良い就職をするためには英語ができることが必須条件になっていることから、英語留学やワーキングホリデーでドイツ国外へ出かける学生がたくさんいます。イギリスやマルタなど近場の英語留学先をはじめ、オーストラリアやニュージーランドでオーペア(家事を手伝うことで滞在費が減額または免除されるプログラム)をしながら過ごす学生も目立ちます。

日本人学生におすすめ!ギャップイヤー活用法

語学留学・専門留学

海外で友達を作る

大学在学中にまとまってとれる休暇は、夏休みと春休みだけです。長くても2か月間、短ければ2週間ほどしか留学できません。人によっては現地にようやく慣れたころにはもう帰国、ということもあるでしょう。

その点、ギャップイヤーを使えば半年間~1年間かけてしっかり語学力を向上させられます

東京大学の調査では、半年間の語学留学では4か月目くらいに脳の「聴覚野」に変化が起きることがわかっています。留学後4か月目に、聞き取る能力に変化が生じたり、語学がますます面白くなってきたら、まさにこの脳の変化のせいかもしれません。

また、語学留学にプラスして、将来の就職に活きる専門コースを学ぶ学生も増えています。

専門科目の例

・アート
・音楽
・ビジネス
・英語教師トレーニング
・会計
・グラフィックデザイン
・プログラミング
・ホスピタリティ
・客室乗務員
・旅行業
・アロマセラピー

休学留学について詳しく読む >

海外・国内ボランティア

海外・国内ボランティア

誰かの役に立ちながら、生きたコミュニケーション能力を上げたいという人にはボランティアがおすすめです。社会のさまざまな課題について、身をもって考えるきっかけになります。

海外ボランティアの場合は語学力向上にもつながります。いい意味で、それまでの価値観を壊されたり、新しい自分を発見するきっかけになります。

海外・国内インターンシップ

海外・国内インターンシップ

企業の一員として働く経験ができるインターンシップ。企業で成果を上げるとはどういうことなのか、自分に足りないスキルは何なのか、自分はどんな仕事のときに楽しめでいるのか、など、就職活動の前に自分の生き方を考えられる機会になります。

海外インターンシップの場合は否が応でも外国語で仕事をすることになります。そのため、海外インターンシップでは「聴く・話す」能力が大きく向上する傾向があります。

もちろん、現地の人に交じって働くということは決して生易しいものではありません。涙を流したり、悔しい想いもするはずですが、その経験が未来への大きな武器となります。

ワーキングホリデー

ワーキングホリデー

勉強したり、旅行したり、半年~1年間自由な過ごし方ができるワーキングホリデー。ワーキングホリデーの大きなメリットは、現地でアルバイトができることです。バイト代を稼ぐことで滞在費を安く抑えることができ、仕事の現場で使える語学力を身につけることもできます。

ワーキングホリデーができる国一覧(2021年4月)

英語圏(または英語が日常生活で浸透している国)
オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリス、アイルランド、シンガポール、香港、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、リトアニア、エストニア、オランダ
英語圏以外
韓国、フランス、ドイツ、台湾、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、オーストリア、ハンガリー、スペイン、アルゼンチン、チリ、チェコ

アルバイト

カフェでアルバイト

海外の学生には学費を親に頼らず、自費と奨学金で賄う学生も多くいます。そういった学生のなかにはギャップイヤーをアルバイトに使う人もいます。半年~1年間しっかりお金を貯められるチャンスになります。

報酬だけでなく、社会経験の一部としても価値があります。アルバイトと言えども飲食店の店長クラスを任されたり、ベンチャー企業で大きな責任を任されるケースも見受けられます。

世界一周旅行

世界一周旅行

「世界各地を旅して友人を作りたい」「いろんな国の暮らしや文化に触れてみたい」そんな人にとってギャップイヤー中の世界一周旅行は絶好のチャンスです。

夢のために使う

作品作り

もし既に何か夢中になっているものがあるのなら、そのためにギャップイヤーを使うのも良い活用法です。

ダンス修行がしたい、香水について学びたい、山にこもってスノーボードがしたい、コンクールに出す作品を創りたい…など、ずっとやりたかったことに没頭するチャンスです。

海外でギャップイヤーを過ごしたい!
そんな方は

ギャップイヤーのメリットとデメリット

ギャップイヤーのメリットとデメリット

ギャップイヤーのメリット

・いろんな人の考え方に触れられる

同年代の友だちだけでなく、ギャップイヤー中は様々な年代の人と触れ合う機会が多くなります。

年齢のほか、職業・育った場所・宗教観・金銭感覚・性別など多様な人たちと交流することで、自分の考え方がまだまだ狭かったこと、この社会にはこんなにいろんな考え方があったんだということに気づくことができます。

・計画性が身につく

ギャップイヤー期間をどう過ごすかは、自分で決めなければなりません。限られた時間をどう過ごすのか、そのために必要なお金はどう貯めるのか、人生初の「自分で決めて実行する」壮大な計画になりますよ。

・大学で何がしたいかが見えてくる

ギャップイヤーを取ったあとの大学生活は、取る前とはかなり違うものになるでしょう。

学生起業をする人、海外就職を目指す人、手に職をつけようと決意する人…など、自分だけの生き方が見えてくるのではないでしょうか。

・就職活動で他の人と差別化できる

計画性、論理的思考、コミュニケーション能力、実行力、問題解決能力…など、人事担当者が『ほしい人材』として挙げているスキルは、ギャップイヤー中の経験次第ですべて磨くことができます。

ギャップイヤーのデメリット

・卒業が遅れる

卒業までの時間が半年から1年多くかかります。

・費用がかかる

在学中に休学をする場合、国公立大学であれば授業料はかかりませんが、私立大学の場合は授業料の一部を納入しなければならないケースがあります。

また、ギャップイヤー中に留学やワーキングホリデーなどをする場合は、そのための資金を用意する必要もあります。

ギャップイヤーを過ごした学生の感想は?

取材協力:EF Education First Japan

A.Mさん:大学3年次に1年間休学をしてイギリス・ブリストルに語学留学中

イギリスに休学留学した松本さん

学生のうちに留学をするというのは決めていました。学生時代しか長い期間をとる事ができないと考えており、私は3年後期からは就活もあるので1年間休学していくには復学のタイミングを考えると今しかないと思い行きました。

A.Mさん体験談より

Nさん:大学4年次に1年間休学をしてイギリス・ロンドンで留学を経験

イギリスにギャップイヤー留学した野澤さん

日本の教育(公立小・中・高・浪人・国立大教育学部)にどっぷり浸かってきた自分にとって、ロンドンでの経験はすべてが新鮮で、「日本で学んだ常識」を悉く覆されました。

留学を通して日本の文化・制度は世界的に見ればマイノリティであると気づかされました。どちらが良いのか、悪いのかという話ではなく、互いの「違い」を知ること、理解すること、認めることが今後の日本では大切になります。

留学がすべてであるとは言いませんが、外へ出るのであれば、早ければ早い方がいいと思います。

Nさん体験談より

ギャップイヤーは「空白を楽しむ創造力」

ギャップイヤー活用法

ギャップとは「すき間」を意味します。空白のすきま時間をどんな風に創ろうか、すき間時間をどう楽しもうか、そんな風に考えられる人にとってギャップイヤーはとても魅力的な制度です。

海外ではトップランク大学の多くがギャップイヤーの取得を積極的に推奨しています。日本では秋入学が可能な大学でギャップイヤー取得が可能なほか、休学という形であればどの大学でもギャップイヤーを経験できます。

よっぽど古典的な企業でもない限り、卒業が1年遅れることに対してとやかく言う企業はいまや存在しません。ギャップイヤー中に得られた経験をしっかり言語化しアピールできれば、他学生との差別化ができて有利な点も多々あります。

何の障害もないレールの上を走るのではなく、「やってみたい」「チャレンジしてみたい」と思う学生の方は、ぜひギャップイヤーの取得を検討してみてください!

飛行機

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