アイルランド・ダブリン流、クリスマスの過ごし方。

今回は、アイルランドの首都、ダブリンで過ごすクリスマスを紹介します。

アイルランドならではの「あの」飲み物をサンタクロース歓迎に用意する習慣や、アイルランド流プレゼントの開け方、そして北海道よりずっと北に位置するアイルランドで行われるのはなぜか『寒中水泳』。日頃から市民に愛されているダブリン市内のパブは大賑わいです。

いかにも『アイルランド』な習慣が満載のダブリンのクリスマス、ぜひ本記事でお楽しみください。

サンタクロースへのおやつはミルクよりギネス(Guiness)

クリスマスイブは、翌日の準備で大忙しです。朝から買い物をしたり、料理の下準備をしたり。

日が落ちると、外からみえるように窓辺に明かりを灯します。クリスマスイブの夜、聖母マリアは、出産できる場所を探しまわったといわれています。窓辺の明かりは、「我が家は受け入れますよ(困っている人を助けます)」というサインだと聞きました。

夜のミサに参列しない人は、飲みに出かけることが多いです。ダブリンのパブは、どの店もまるで日本の通勤電車のような混雑ぶり。店の中に入れずに外で飲む人もたくさんいて、路上に人があふれかえります。

ダブリンの中心地、グラフトンストリート(Grafton Street)では、音楽を演奏する人や、芸をするパフォーマーも路上に立ち、さらに賑やかさを増します。

一方、小さな子どものいる家庭では、子どもを寝かしつけてから、大事な準備が待っています。親たちは、いろいろな工夫をして、煙突からサンタクロースがやってきたような演出をするのです。わざと暖炉の煤を散らかして、大きな足跡をつけてみたり。もちろん、朝、それを見た子どもたちは大興奮です。

サンタクロースとトナカイのおやつとして、ミルクとビスケット、ニンジンなどを用意するのは、他の国でもよくあることです。しかし、アイルランドでは、サンタクロースにはミルクの代わりに、ギネス(Guiness)の黒ビールや、ウィスキーを置く家も多いです。空になったビール缶が一緒に置かれている様子をみると、きっと親たちも楽しみながら、準備をしているのでしょう。

クリスマスの朝は極寒の海へダイブ!

たくさんのプレゼントに囲まれた楽しいクリスマスの朝。もらったプレゼントを開ける時は、包んであるラッピング紙を、思い切り豪快に破りましょう。ラッピング紙が破れないようにきれいに開けていると、喜んでいないように思われてしまうので、要注意です。

さて、前日の夜に飲みすぎて、ひどい二日酔いで目覚める人も多いのがクリスマスの朝。酔い覚ましを兼ねて、たくさんの人がクリスマススイム(Christmas Swim)に出かけます。

ダブリン近郊では、サンディコーヴ(Sandycove)の海岸が有名です。水温は10℃程度しかなく極寒。その海の中に、サンタクロースの帽子を被った人たちが、次々とダイブします。

水から上がった人の肌は、寒さで真っ赤。体をふいて服を着たら、「体を温めるために」とウィスキーを一口。何かと理由をつけてお酒を飲むのがアイリッシュ流なのです。

時には愛想笑いも必要!家族そろってのクリスマスディナー

何より大事なのは、家族そろってのクリスマスディナーです。食事のテーブルにはメインのローストターキーのほか、クリスマスクラッカーが付きものです。

お祝い事などで使うクラッカーのクリスマスバージョンで、この時期はスーパーなどでたくさん売られています。中には紙の王冠とおもちゃの他に、ジョークが書かれた紙が入っています。食事をしながら、みんなでそれを読み合うのです。

くだらないネタが多いのと、私たち日本人には、何が面白いのかピンとこないジョークも多く、仕方なく愛想笑いでその場をやり過ごすこともしばしばです。

そして、デザートには、クリスマスプディング。

ブランデーなどの洋酒に浸けたレーズンや黒すぐり、プラムなどのドライフルーツを入れて作るプディングで、各家庭にそれぞれのレシピがあります。

夏から秋にかけて収穫したフルーツを使って作り、1年ほど寝かすと味に深みがでて美味しくなるのです。ブランディーバターや、生クリームを添えていただきます。

アメリカやカナダ、オーストラリアに移住した人も多いアイルランド。クリスマス時期には、多くの人が帰省します。

家族や友人と過ごしたり、普段、会えない親戚にあいさつをしてまわったり。クリスマスは、大切な人たちと過ごす温かい時間になります。皆さんも素敵な時間を過ごせますように。


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