経済成長が見られる中、フィリピンの交通量は大きな問題となっています。2014年フィリピン国家経済開発庁(NEDA)は「一日に負担する交通に起因する社会的な費用は総額24億ペソ(約60億円)に上る」と調査結果を報告するほどです。2030年に向けて「ドリームプラン」と言う交通機関の合理化を始め複数のプロジェクトが提案されていますが、まだまだ先が長く、現実問題の解明にはつながっていません。
マニラ首都圏では本来なら普通に10分での距離でも渋滞時はおよそ1時間程かかります。近所への移動も大幅に時間を考慮しなくてはならなくなり時間のロスが耐えない現状です。
▼首都マニラ
移動手段は豊富にある
マニラでは治安が安定してきているとはいえ、外国人の民間交通機関利用を目にすることは少ないです。現在では駐在者が多く、日系企業の場合、車と運転手が支給されていてタクシーなどの利用は禁止されています。
しかし、近年では移動手段が豊富でハイヤータクシーなどの利用者も多くみられます。ハイヤータクシーとしてuberやgrab taxiなどが有名です。uberは携帯アプリを使って車を呼び、会計は銀行口座から引き落とされます。運転手の自家用車であることから普通車と全く変わりなく、運転手も会社登録されている為、安全な移動が出来るというものです。grab taxiもuber同様、アプリで操作するのですが、民間タクシー運転手が登録しているので普通のタクシー料金プラスgrab taxi基本使用料が加算され、現金での支払いとなります。
その他の民間交通機関としてはバス、タクシー、ジープニー(相乗りミニバス)などがあります。一番安い交通手段はジープニーですが、危険度やトラックの荷台のような乗り物で窓など無いため排気ガスなどの問題もあり外国人利用者は見たことがありません。距離は関係なく一回乗車で8ペソ(17円)とお得です。普通のタクシー利用も基本料金40ペソ(85円)なので利用しやすくなっています。
▼ジープニー
危険回避に大切な「自分の目と足、感覚」
フィリピンでは誘拐、事故などが多い為、交通機関利用の際は場所、時間、距離などを考慮してその場にあった交通手段を選ぶ事が重要です。フィリピンでは無免許運転又は免許の期限切れ、保険未加入など普通車運転手にも問題があるのが現状ですので、「危険」なのは民間交通機関のみではありません。
しかし、常に人は動き、移動しています。どこもかしこでも犯罪がある訳ではありません。高速道路では無い限り先述した渋滞のため走行速度は遅く、時に歩いた方が早いのでは?と思う事もあるほどで、歩行者も常に信号無視で横断しています。近代化社会に取り残された不安定な交通事情を切り抜けるには日本での常識を捨て自分の目と足、感覚を信じてフィリピンを渡り歩くことも大切なのかもしれません。
文:中島香(フィリピン在住ライター)
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