ヨーロッパの春はカーニバルの季節です。イタリアでも、ヴェネツィアのカーニバルやニースのカーニバルなど、有名なカーニバルが各地で開催されますが、イタリア北部のイヴレアという街で行われるイヴレアのカーニバルをご存知ですか?このカーニバルのメインイベントはなんといっても最後の3日間に行われる、オレンジの戦い!壮絶なオレンジの投げ合いが繰り広げられる、とっても痛そうなお祭りです。
photo by Stefano Menegatti
オレンジだらけの戦い
オレンジ戦争は悪い領主対民衆の形で行われます。会場となる広場には山車が馬に引かれてやってきます。その上には領主陣、山車の周りには民衆。戦いが始まる と、とにかくお互いオレンジをぶつけ合います。
その戦いは、とても激しいもので、毎年けが人も耐えないようです。圧倒的に数で勝る民衆、領主役は大変そうだな、と思ってしまいます。投げられるオレンジの数は相当なもので、合戦のあとの広場は、すっかりオレンジで埋め尽くされるほどです。
photo by Luca Moglia
参加するのは、基本は地元住民のみで、会場になる広場にも観光客は入れません。傍から見ることになりますが、それでも、流れ弾も飛んでくることもあるようですし、だんだん無秩序になり、オレンジを投げ合うとこともあるようですよ。見学だけ、と思って行っても、オレンジまみれになる覚悟は必要なんでしょうね。ドロドロになってもいい服装で出かけたほうが良さそうです。
まさに「オレンジ大量消費」のイヴレア。さぞかしオレンジの名産地だろうと思いきや、実はオレンジの収穫は出来ません。毎年シチリアから数十トン?数百トンものオレンジを仕入れて行われるそうですよ。
収穫できないイヴレアでなぜオレンジ??
そのわけは、どうやらこのお祭りの起源に関係があるようです。
起源ははっきりとしていませんが、カーニバル自体は大変古いものなんだとか。18世紀、カーニバルでは、パレードで歩く男性の気を引くために、女性が窓から花や豆を投げる習慣があったようです。さらに男性の気を引くために、ある女性がイブレアでは収穫できないエキゾチックな果物、オレンジをバルコニーから投げたところ、面白がった男性側も投げ返したのが始まりだと言われています。
1800 年半ばには、オレンジ投げ禁止ポスターまで作られましたが、この楽しい習慣を止められるはずもなく、逆にますます激しさを増していき、1900年代には、12世紀の独裁君主と民衆の戦いに置き換えられ、ルールをもって行われる現在の形になったようです。(諸説あります。)
photo by Tania Caruso
大人同士の本気のオレンジ戦争、年に一度、大いに羽目を外してるのが魅力的ですよね。ちょっともったいない気もしますが、流れ弾に当たる覚悟で、一度は見に行ってみたいものですね。
文:チェコ紀子(ライター)
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