新型コロナウイルスの新規感染者が増加傾向にあったメキシコ。8月中旬に入り、ようやく感染者増加がピークに達し、現在は新規感染者数が徐々に減ってきています。
今回はメキシコの最新状況に加え、パンデミックという危機的状況の中にあってもメキシコ人がそのポジティブさを発揮した「ニ・モド」という精神をご紹介します。「ニ・モド」は、ざっくりと言えば「諦めよう」ということ。しかしそこには、前向きな意味合いが含まれており、良い意味で切り替えができるメリットがあります。
日本にいる皆さんも、ぜひ「ニ・モド」を知って取り入れてみてください。
制限された中で経済活動を再開したメキシコ
まずは、メキシコのコロナ対策最新状況をお伝えしましょう。
メキシコでは新型コロナウイルスに対する措置や対策を州それぞれで設けています。観光業で成り立つカンクンやプラヤ・デル・カルメン、トゥルムの位置するキンタナ・ロー州では、6月に観光業を再開しました。
現在は、ほとんどのホテルがそれぞれのプロトコルに従い、ホテル内で感染者が出ないように最善を尽くして営業しています。7月下旬には、カンクンとトゥルムで公共の場でマスクを着用していない場合、罰金が科されることが発表されました。
また、学校は当分の間は休校のままですが、私立の小学校はオンライン授業を続行し、公立の小学校はテレビで授業を流すことが決まりました。レストランや店舗もそれぞれの規定を定めて、営業再開しています。
新型コロナウイルスでも「ni modo」の国民性
この数か月、新型コロナウイルスの感染拡大が広がる中で、メキシコ人の過ごし方や心情からメキシコ人の国民性が見えた部分があります。それが、メキシコ国民がよく使う言葉「Ni Modo」(ニ・モド)です。
ニ・モドは「仕方ない、何もできない、諦めよう」などの意味があります。メキシコ人は、基本的にあまり先のことを心配しない国民です。予定通りに事が進まなくても、「ニ・モド」とすぐに諦めて心の切り替えをし、その状況でできることを探します。
つまり、いい意味で諦めがよく、ポジティブ思考なのです。
それは、感染者が増えはじめた4月に、非常に多くの人がさっさと故郷に帰って行ったことからも分かります。仕方のないことなので、頑張らない。メキシコ人は、この「ニ・モド」の精神で、極度に落ち込むこともなく、このような状況でも明るさを忘れずに過ごしている、そんな気がします。
生活が厳しい時は食べ物を売ってしのぐ
メキシコ人は、昔からこのような経済的危機には慣れているのかもしれません。メキシコでは生活が厳しくなると、食べ物を作り近所の人や知り合いなどに売って生計を立てるという習慣があるようです。多くの人が仕事復帰できない状況下で、私の家にも近所の方が食べ物を売りにきました。
ドーナツ・ゼリー・プリン・バーガー・タマレス・エンパナダスなど。それぞれが家庭で作れる簡単な食べ物を作り売っています。仕事復帰できないなら仕方ないと、今できることをしているのは、やはりメキシコ人の「ニ・モド」の切り替えのよさから来るのではないでしょうか。
関わる人達とコミュニケーションをしっかりとる
新型コロナの影響で、この数か月メキシコでも収入がゼロ、もしくは減った人がほとんどの状況でした。これは仕方のない状況なので、ここでもメキシコ人は「ニ・モド」と、家主に家賃の半減をお願いします。
周りの人の話を聞くと、大家の方から家賃半減を申し出てくれたケースが7割くらい。しかし、家主が申し出なくても、状況を説明して3ヵ月の家賃半減をお願いしたたくましいメキシコ人の友人もいました。
日本人だと、恥ずかしいや申し訳ないという気持ちが先に出てしまうものです。しかし、メキシコ人は、人と話し関わることを大切にしているように思います。家族や友人、近所の人たちとの関わりを失くさない、会えなければ電話をする。
情報交換ができるだけでなく、人と話すことで気持ちも軽くなるものです。このように、孤独にならず人と関わることも、メキシコ人がこの状況で明るくいられる1つの理由なのではないかと思います。
ポジティブに来年以降の留学を考える
すぐに諦めてしまうのはよくない、頑張らないといけない。それはもちろんですが、メキシコ人と関わっていると、日本人は頑張りすぎているのではと思います。頑張りすぎずに、メキシコ人のように事を時の流れに任せてみると、心も少し軽くなるような気がします。
今年留学を計画していた方も、悔しい思いが多くあると思います。しかし、今年行けない分より多くの資金をためて語学をさらに磨くことができますので、来年以降の留学をぜひ目指してほしいと思います。