海外で財布をすられると誰しもがパニックになるだろう。周りに知り合いがいればまだましだが、1人旅の場合はそういうわけにもいかない。しかしながら、海外でそういう状況に置かれたときこそ、冷静に対処することが求められる。
今回は、実際に 筆者がパリで財布をすられた例を参考にどんな対処をすればいいか、そしてすられないためにどんな予防策が必要かをガイドしよう。
観光の『中心地』よりも『穴場』こそ注意
筆者がすられたのは土曜日の夜にエッフェル塔の近くだ。エッフェル塔はフランスの有名スポットであるため観光客も多く、警察もいる。そのため、そういった場所ではスリは発生しにくい。しかし、エッフェル塔から少し離れると人の数は格段に減り、夜だと街灯がなく暗い場所も多い。
本来であればそういった人が少なく暗い場所 にはいかないのだが、エッフェル塔の場合は少し事情が異なる。というのも、エッフェル塔は近くで見るとあまりに巨大なため全体が見えず写真にも納まらない。また、夜になるとライトアップされるのだが周りの街灯のせいでさほどきれいに見えない。
エッフェル塔から少し離れ、街灯もあまりない場所に行くとエッフェル塔全体を見ることができ、ライトアップもよりきれいに見える。しかしながら、そういう場所こそスリは発生する。実際に筆者がすられたのはそういう場所だった。
普段ならバックやポケットには注意を払っている。しかしその時はお酒を少し飲んでいたため注意力が低下しており、バックを後ろに回したまま、人通りの少ない暗い場所でぼーっとエッフェル塔を眺めていた。そして、ホテルに戻ろうと思い、駅まで歩き、切符を買おうとカバンを前に回したときにチャックが開いていることに気づき、その瞬間に盗まれたとわかった。
まずクレジットカードを停止
財布をすられたらまず最優先ですることはクレジットカードの停止だ。これをしないとスリにお金を引き出されてしまう可能性がある。
筆者も落とした可能性を考えてとりあえず一通り歩いた場所を探し、その後はカード類を止めるためにホテルに直帰した。クレジット会社の電話番号へ携帯電話からかけようとすると膨大な通話料金がかかる。そのため、筆者はSkypeから電話をかけてカードをとめた。
クレジットカード以外にもとめなければいけない個人情報はある。例えば、マイナンバーカードだ。日本のマイナンバーカードは日本でしか使えないためすぐに悪用されるわけではないが、やはり個人情報なのでとめておくのが無難だ。これも海外から電話1本でとめることができる。
個人情報をとめたら日本大使館に連絡したほうがいい。大使館職員はその国のことを把握しているのでどのような対応をすべきか丁寧に教えてくれる。
やっておくべきだったこと
筆者の場合は、土曜日の深夜に盗まれ、それから寝ずにカード類を止めた。日曜日の午後にはフランスを発たなければならず、スケジュールの都合でフランスの警察に行くことができなかった 。現在住んでいるブダペストの警察に行ったのだが、パリで起こった盗難の証明書は原則パリの警察でなければ発行できないと言われてしまった。それでも、何度か交渉した末に盗難証明書を発行してもらえたが特例だと言われた。
だから、もしも行くことができるのなら、カードや書類の再発行や海外保険申請の際に盗難証明書が必要な場合もあるので現地の警察に行くことを勧める。現地の言葉がわからない場合でもガイドブックの巻末に載っている会話集などを持っていてでも現地の警察にいくべきである。
すられないためにどうするか
すられてしまってからでは全てが後の祭りである。そうならないためには普段から旅慣れているひとであっても十分な予防策をとっておくべきである。
■予防策(1) バックは前掛け
リュックでもショルダーバックでもバックは常に前掛けしておく。そうすれば誰かが盗もうとしても自分の目で確認できるのでバックからなにかをすられる確率はぐんと減る。
■予防策(2) 人通りの少ない場所や暗い場所には複数人であってもいかないようにする
1人で出歩かなければスリには会わないと思うかもしれないが、例えば、全員がお酒を飲んでいて注意力が散漫している場合などでは話が違ってくる。
実際、筆者の場合筆者自身とフランス人の2人でいたのだが2人ともお酒を飲んでいて軽く酔っぱらっていたため片方がスリにあっても気づかなかった。したがって、スリが発生しやすそうな場所には何人であってもいかないのがベストである。
■予防策(3) カードやお金類は一緒にしない
これは盗まれた際に被害を最小限に抑える予防策である。筆者は財布に現金からカードから個人情報から家の鍵から、すべて入れていたために盗まれて非常に大変だった。現金は財布でカードは違うものに入れてバックの違う場所に入れておくなど貴重品を分散が鉄則だ。被害があっても最小限に抑えられる。
以上、海外で財布をすられたときの対処法と予防法について、実体験を交えながらお伝えしてきた。現地に少し慣れてきたときこそが落とし穴。気を引き締めて安全な留学生活をおくりたいものだ。
文:久保 優(くぼ すぐる・海外放浪ライター)
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