BA Theatre & Screen: Costume Design
ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツ(Wimbledon College of Arts)は、ロンドン芸術大学の加盟校で、舞台芸術を専門とする芸術大学です。
イギリス・ロンドン南西部の緑豊かな場所にキャンパスを構える少人数制の大学で、演技、衣装、制作、シアターデザインなどを学べます。
実践的なカリキュラムが組まれ、多くの学生が大学内外でのプロジェクトに参加し経験を積んでいます。演劇界で活躍する卒業生を多く輩出し、中には有名な映画や舞台作品に携わった人物もいます。
本記事は、ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツの学部や偏差値、ランキング、入学条件をお伝えする留学ガイドです。
ぜひ参考にしてみてください。
『留学プレス』留学生記者/小島なお(イギリス在住フルタイムワーカー兼ライター) テーマ:イギリス、留学 イギリスを含め海外生活は10年以上。 ファッションを勉強したことがきっかけで、イギリス・ロンドンに強い憧れを抱き渡英[…]
ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツの基本情報
設立年 | 1890年 |
形態 | 国立 |
難易度 | ★★★★⭐︎ |
合格率 | N/A |
学生数 | 700人 |
留学生数 | N/A |
人気の学部 | 演技 衣装 シアターデザイン |
学費例(年間) | 学部課程 25970ポンド(演劇) 大学院課程 25970ポンド(演劇) |
場所
ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツは、ロンドン南西部の閑静なエリア、ウィンブルドンにあります。
ウィンブルドンはロンドンの中でも緑が多く、落ち着いた雰囲気があり比較的安全で住みやすいと評判のエリアです。ロンドンの中心部からは電車で約40分と少し離れてはいますが、大学最寄り駅周辺はお店やレストランなどで賑わっているため不便を感じません。
テニスの四大国際大会のひとつ「ウィンブルドン選手権」の会場も近く、毎年6月から7月にかけて観光客で賑わいます。
ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツはロンドン芸術大学の加盟校
ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツは2006年にロンドン芸術大学に加盟しました。
ロンドン芸術大学は他に以下の5つの大学で構成されています。
- セントラル・セント・マーチンズ
- チェルシー・カレッジ・オブ・アーツ
- ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション
- キャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツ
- ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション
ロンドン芸術大学は世界でもトップクラスの芸術大学で、加盟校すべてがそれぞれの分野をリードしています。
大学施設
ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツには、舞台芸術を学ぶために必要な最先端の設備が整っています。戸惑うことがあれば専門のスタッフがサポートしてくれるため、安心して自主的に利用できます。
▼施設例
- リハーサルや舞台制作までパフォーマンスの全行程で使用できる劇場
- 照明装置、グリーンスクリーンが使えるスタジオ
- 縫製や型紙カットなどコスチューム製作を一貫して行えるスタジオ
- 電動工具、ハードツールが使える3Dラボ
- 映画・ビデオ制作に使用できるアニメーションルームやサウンドルーム
- 印刷設備
- パソコン、カメラ、データプロジェクター等機材が借りられる貸出サービス
学生たちの活躍シーン
ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツは国内外の産業界と強い繋がりを持ち、学生に実践の場を提供しています。
活動例1:英国王室行事
ロンドンで行われたプラチナ・ジュビリー(エリザベス女王即位70周年記念祝典)ショーではある学生がコスチュームデザインを担当しました。
英国の威信をかけた世界的イベント現場でプロに混じって対等に仕事をこなし、学生たちにとっては実力を試せる貴重な機会となりました。
参加学生は、「縫製の細部に気を配り、実演でほどけないよう準備を万全に整えるなど日々の学びが活かせる場だった」と、話しています。また、第一線で活躍する業界関係者と多く接することで人脈も構築できました。
Costume designing for the Queen’s Platinum Jubilee Celebration Show | Wimbledon
活動例2:ロンドン元旦パレード
ロンドンで3時間半にわたって行われた元旦パレードの人形製作にも同大学の学生が参加しています。評議会からパレード用の人形デザインを依頼され、チームを構成してプロジェクトを進めました。
活動例3:舞台
2022年10月〜2023年1月にロンドン・バービカン・センターで上演された舞台、「となりのトトロ」にはウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツの卒業生が衣装デザインとプロダクション・デザインを担当しました。
My Neighbour Totoro: an interview with Wimbledon alumni Tom Pye and Kimie Nakano
著名な卒業生
ルバイナ・ヒミッド | イギリスのアーティスト、現代美術教授、ターナー賞(※注)を最高齢で受賞。イギリスのブラック・アーツ・ムーブメントの先駆者のひとり。 ※注:イギリス現代美術のアーティストに贈られる賞 |
トニー・クラッグ | イギリス生まれのターナー賞受賞アーティスト、芸術アカデミー教授。芸術活動の功績により大英帝国上級勲爵士を授与される。 |
サラ・グリーンウッド | イギリスのプロダクションデザイナー。数々の映画に関わり、過去6回アカデミー賞にノミネートされた。代表作品は美女と野獣、シャーロックホームズ、高慢と偏見など。 |
コリン・ハーディー | イギリスの映画監督。代表作は死霊館のシスター、ザ・ハロウ、などのホラー作品。エド・シーランなどのミュージシャンのプロモーションも担当。 |
リチャード・ハドソン | ジンバブエ出身の舞台デザイナー。ライオンキングの作品で舞台美術賞、ドラマデスク賞、優秀セットデザイン受賞。 |
アリス・ノルミトン | イギリスのプロダクションデザイナー。イギリスBBCテレビシリーズ「ザ・ウーマン・イン・ホワイト」で英国アカデミー賞を受賞。 |
アンソニー・ウォード | イギリスの演劇デザイナー。バレエ作品「くるみ割り人形」やオペラ「グロリアーナ」などに携わり、その他数々の作品でデザイン賞を受賞。 |
ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツの学部
Yanzhun He, BA Theatre & Screen: Technical Arts & Special Effects
学部課程
● 演技・パフォーマンス
● 現代演劇・パフォーマンス
● 演劇・スクリーン衣装
● クリエイティブテクニカルシアター
● 映像制作技術
● 演劇とパフォーマンスのためのテクニカルアーツ
● シアターデザイン
大学院課程
● パフォーマンス:政治と社会正義
● パフォーマンス:演劇制作
● 人形劇
● シアター・パフォーマンスデザイン
Postgraduate courses | Wimbledon
ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツの難易度
Wimbledon College of Arts: Summer Show 2015
日本とイギリスの大学制度の違いと偏差値
イギリスと日本の大学入試制度は少し異なります。日本では試験による偏差値方式ですが、イギリスでは書類選考がメインです。
また、義務教育制度が異なっていることから、日本の高校を卒業した学生は一部をのぞいて大学試験前に「大学準備コース(ファウンデーションコース)」を受講します。
ファウンデーションコースの成績も考慮されて、大学に正式な入学を認められます。
詳しくは「イギリスの大学の仕組みとは?何年で卒業できるの?日本とイギリスの大学教育制度を比較」を参考にしてください。
ランキング
ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツは単独では一般的な大学ランキングに参加していません。
しかし、ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツと他5校が加盟しているロンドン芸術大学は、2022年QS世界ランキングのアート・デザイン部門で2位を獲得しています。
University of the Arts London : Rankings, Fees & Courses Details
合格率
ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツの合格率は公表されていませんが、ロンドン芸術大学全体の合格率は約25%です。
ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツに留学するには?
ファウンデーションコース
日本とイギリスでは教育システムが違うことから、日本の高等学校を卒業してすぐにイギリスの大学に進学する場合は、まず大学準備コース(ファウンデーションコース)を受講するのが一般的です。
ファウンデーションコースの期間は約1年間です。ファウンデーションコースを受講し、優秀な成績で修了すると学部課程へ出願できます。学部課程3年間を経て、計4年で卒業が可能です。
「ファウンデーションコース(Foundation Course)とは、高校を卒業した学生が海外の大学に進学する際に必要となる準備コースのこと。大学に入学する前に受講する1年間のプログラムです。 特に、日本と異なる教育制度を持つイギリ[…]
ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツが推奨する大学準備コースは、ロンドン芸術大学のキャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツとセントラル・セント・マーチンズで開講されています。
出願には成績証明書、志望動機書、ポートフォリオとIELTSスコア(総合5.0以上、各項目で4.5以上)が必要です。
大学(学部課程)へ直接入学する場合
専門学校や日本で大学1年〜2年までの過程を履修済みの人はファウンデーションコースを経ずに直接出願する資格があります。
学部課程の選考では学力、作品集、 自己紹介文、推薦状などが判断材料となります。また、関連する職歴や経歴が考慮されることもあります。
意欲的であり、探究心、創造性に溢れ、アイディアを伝えられるスキル、自己管理能力を持つ学生が求められます。
必要な英語力はIELTS総合6.0、各項目で5.5以上です。
大学院課程
大学院課程に出願するには、コースに関連する分野の優等学位(※注)相当の資格を取得していることと、作品集、志望動機書を通して選考が行われます。
批判的思考を持って研究に取り組み、共同作業の中でメンバーを尊重できるなど人間力も問われます。
必要な英語力はIELTS総合6.5、各項目で5.5以上です。
※注:優等学位とはイギリスの大学卒業時に与えられる成績優秀者への学位です。4段階(1級、上2級、下2級、3級)があります。持っている学士号がどのレベルに相当するかは、直接大学に確認されることをおすすめします。
Postgraduate courses | Wimbledon
ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツで舞台芸術の先端を学ぼう
ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツには、小規模でアットホームな雰囲気の中、集中して学習に打ち込める環境が用意されています。アイディアを形にするための最新設備で技術を磨き、職務経験の機会では多くの学生に実践の場が与えられます。
プロと関わる中でアドバイスを受けたりコネクションを広げたりと、卒業後のキャリア構築の自信につなげています。
自然豊かな落ち着いたエリアにキャンパスがあることから、ゆったりと留学生活を送りたい人にもおすすめです。
ぜひ舞台芸術に興味がある人は、ウィンブルドン・カレッジ・オブ・アーツを目指してみてください。