アメリカはいま、クリスマス準備で大忙し。そんな中、こちらで誰もが大切にしているのがクリスマス・スピリット(Christmas spirit=クリスマスの心)だ。
クリスマスはシェアをする
この時期、多くの人たちの口から「クリスマスはシェアをしよう」という言葉がでる。クリスマスショッピングのリストには、家族以外のためのちょっとした贈り物を加え、手作りのものを贈ったりする。
それらは大げさなものではなく、何かちょっとしたものだ。例えば、小さなキャンディボックスだったり、1枚の板チョコだったり。あるいは、小さなかわいいボトルに入ったsanitizerかもしれない。

買い揃えておいて、ちょっとした時に「はい、これ。メリークリスマス!」と言って渡すのだ。元気がもう少し必要な知人や、クリスマスをひとりで過ごしそうな人にも。
あまり負担にならない程度が何だかうれしいものだ。暖かい気持ちが伝わる。クリスマス・スピリットだ。
私がアメリカで初めて迎えたクリスマスには、この「ちょっとした贈り物」をたくさんの人からもらい、そしてその幸福感を皆から分けてもらった。
与えるのも喜び
Food Driveのドラム缶も街中で目立つようになる。Food Driveとは、教会などがスポンサーになって地域社会に保存食(缶詰やパスタなど)の寄付を募る米国の助け合い運動のこと。経済的に人並みのクリスマスが迎えられない家族のために、街中の缶が満杯になる。
クリスマスプレゼントがもらえない子供のためのToy Driveも、近くの消防署で毎年行われる。
暖かい気持ちをシェアし合い、どんな人も幸せにクリスマスを迎えられるように助け合う。これもクリスマス・スピリットだ。贈り物をもらうのも素敵なことだが、与える喜びもすばらしい。
感謝祭からスタートしたクリスマスの準備
1年で最大のディスカウントが行われるのがブラック・フライデー(Black Friday)というセール。感謝祭当日の夜から朝にかけてスタートする。人々は感謝祭ディナーを食べた後に、どっとストアに繰り出してゆく。いい商品をリーズナブルな値段で手に入れ、クリスマスの贈り物にする人も少なくない。
ブラック・フライデーを皮切りに、本番に向けたクリスマスツリーの準備が始まる。ツリーは近所のお店でも買えるが、生の木を斧で切って購入できるChristmas Tree Farmもある。店の入り口で斧を渡されて、気に入った木を切り倒すのだ。

我が家でもかつてはこの生木を利用していた。切ってきたばかりの木は本当に香りもよく、家の中に入れると、空気がガラっと変わるのがわかる。
しかし、生の木ならではの曲者もついてくる。虫だ。飾る前に虫がすべて取り除けるなら、今も生の木を飾りたいものだ。
食事のプランは欠かせない
12月に入り、ますますクリスマスのテンションが高まっている。
アメリカのクリスマスでは外出せずに、家族や友人と家に集まってディナーを囲むことが多い。だから、食事のプランはとても大切な準備だ。ローストチキンやターキーハムを冷凍庫に備えるのも忘れてはならない。
このほか、このあたりの家庭では、友人や隣近所に配るためにクッキーを焼き始める。
今年も待ち遠しいのが、自宅の向かいに住むクレオおばさんのクッキーだ。毎年大きな箱にたくさんのクッキーを入れて持ってきてくれるそのクッキーは、まさに“The best cookies in the world”!
givingの精神が高まるのがクリスマス
12月25日の朝、ベッドから直行ダッシュするのがクリスマスツリー。プレゼントをキャーキャー言いながら開けてエキサイティングなひとときを過ごす。
クリスマスは、その当日だけを楽しむのではなく、準備を進める過程がとても楽しい。慌しいが、それだけではない。準備期間を過ごすうちに人の気持ちがやさしくなり、不思議とgivingの精神が高まる。
クリスマスは、世界中で多くの人が楽しみにしている行事。みんな一緒に同じ日に、何だかハッピーになれたらよい。