新たな年がスタートする1月、オランダではチューリップシーズンの始まりを告げます。
オランダの首都アムステルダムで、毎年1月の第3土曜日に開催されるのが「チューリップの日(National Tulip Day)」。1万人以上の人がここを訪れます。
アムステルダムの市名の由来にもなった歴史的な広場「ダム広場」には約20万本のチューリップからなる大きな庭園が造られます。ここを訪れた人は無料で好きなチューリップを持ち帰って楽しむことが出来るのです。
オランダから世界中に春を届けたい
チューリップは、オランダ農業の中でも主要な輸出農産物の一つとして様々な国に届けられています。「チューリップの日」に開催されるイベントも、チューリップ農家の人々の「世界中の家庭に春を届ける」という想いのもとに開かれています。
▼イベントが行われる市内中心部の「ダム広場」
農業大国、オランダ
イベントは、チューリップ農家の人々が主催となって開かれますが、オランダにとって園芸をはじめとした農業は、国の主要な産業となっています。
オランダは、総面積がおよそ日本の九州地方程度という小国ながら農産物の輸出額は米国に次いで世界第2位を誇ります。また、国土面積の約半分近くは農用地から成るという農業大国です。
[参照:オランダの農林水産業概況(農林水産省)]
http://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kaigai_nogyo/k_gaikyo/nld.html
▼農業大国、オランダ
小国にも関わらず、優れた農業技術を活かし、競争力のある農業を展開するオランダ農業は世界でも注目をされています。
オランダの国花として愛されるチューリップ
「チューリップの日」をかわきりに、4月の終わり頃まで、花屋やスーパーマーケットの店先など、オランダのあらゆる場所が多様なチューリップで彩られます。
チューリップは、16世紀にトルコからオランダに持ち込まれて以降、オランダの気候や土壌を気に入り発展を続けてきました。魅力的なこの花は当時の貴族や富裕層を虜にさせ、17世紀にはチューリップ・バブルという近世ヨーロッパで三大経済バブルに数えられるほどの過熱した取引が行われました。
オランダの歴史とも関わりの深いこの花は、国の象徴として人々に愛され続けているのです。
ぜひ皆さんもチューリップの庭園を訪ね、美しい花と共に春の訪れを待ってみてはいかがでしょうか。
文:Yasuko Dortmans(ライター)