「ハーフ」の子育て ~キャッチポール若菜(映像翻訳者・通訳)

この前、ずっと見たかったドキュメンタリー作品「ハーフ」(西倉めぐみ、高木ララ監督・撮影)を観た。
 
一般的に両親のどちらかが外国人という人が「ハーフ」と呼ばれ(この呼び方にも賛否両論あるが)、外見的に目立つ人もいれば、全く目立たない人もいる。映画にはそれぞれ状況の違う「ハーフ」のケースが5つ紹介されていて、なかなか興味深く観ることができた。
 
また、それぞれの全く違った生活環境や悩みを見ていると、人は誰でも同じようにどこかで苦悩していくもので、「ハーフ」でなくとも背が高いから・低いから、痩せているから・太っているから、成績が良いから・悪いからなど、幾らでも、どんな理由でも、ある日突然冷遇を受けるきっかけになってしまうかもしれないし、また、逆に同じ理由で良い思いをするかもしれないのだと感じることができた。
 
映画「ハーフ」
 

日本独特の感じ方

さて、この「ハーフ」は単一民族国家と言われている日本だから使われる言葉であって、私の夫の出身地、アメリカ・ニューヨークでは日本と同じような感覚で区別されることはないようだ。彼も白人系アメリカ人とインド系トリニダード人との「ハーフ」だったが、全くコンプレックスを感じることはなく育ったという。
 
夫がアメリカ人で私が日本人、というわけで私たちの子供達は「ハーフちゃん」と呼ばれることがある。映画の中にもあったが、「ハーフ」とは動植物などの”half breed”から来た言葉で蔑称に当たるので使うべきでないと言う人や、和製英語にそこまでの意味はないし、実際半々なのだから嫌な言葉ではないと言う人、はたまた「ダブル」と呼ぼう(二つの文化を持っているので)という人など、様々である。
 
Happy
Photo from Flickr “• • • Happy • • • ” by David Robert Bliwas
 

子供との関わりの中で

うちでは一般的に使われている言葉としてカジュアルに「Haafu」と使っている。
 
なので、昔、子供に「ハーフ」って何?と聞かれたとき(どこかでそう呼ばれたらしい)、「ハーフ」と呼ぶなら国籍のことで、人種で言うなら「ハーフ」日本人、「クォーター」白人、インド人ということね~などと言いながら円グラフを描いたり、子供のいとこ達も同じような境遇なので、ついでに世界地図を広げて国の場所を教えたりして楽しんだ。
 

内輪でのハーフジョーク

これはブラックユーモアみたいに感じる人もいるかもしれないが、うちでは日本にいて「ハーフ」と見られることは受け入れた上で、それを内輪ネタにジョークにすることがある。
 
例えば、先月のサンクスギビングの日、夫が色んな種類のアップルパイを買ってきた。そこで「Thanksgivingはアメリカのホリデーだからね、パパだけが食べるよ」と言ったところ、「But, we’re half American too. (でも僕たちも半分はアメリカ人でしょ)」とすかさず子供達が言い返した。
 
そこで夫は少し考えて「んー。じゃぁ、君たちは半切れ(ハーフ)、ママは無し。」と言って家族で大笑いをした。
 
pies
Photo from Flickr ”pies {62 of 365} ” by RebeccaVC1
 

ママはうらやましい

両親ともに日本人の私にとっては色んな文化を生まれた時からバックグラウンドに持っているのはうらやましい存在。うらやましい = 良いなと思っている = 良い点が見えている、ということで、その良い点を自分の子供達にはとにかく知ってほしいと思っている。
 
まぁ、こんなことを色々考えたところで、世界に出てしまえば、もっと多くの文化を持った人たちもいて、取るに足りないことになるだろう。でも今日本で暮らしている以上、それがドキュメンタリー映画の題材として扱われるほどのトピックだというのが現実。
 
まさに次世代の子供達を間近で見ていけることに感謝しつつ、今日も日本語と英語の間をうろうろしている。
 
文:キャッチポール若菜(映像翻訳者・通訳)
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映画「ハーフ」
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