南アフリカの野生動物と、彼らを守る人々の誇りに出会った~新すみな(ライター)

南アフリカ共和国では、多くの野生動物を見ることができます。手つかずの自然の中で暮らす動物や、人の手によって保護されながら子孫を残す動物など、その生息形態は様々です。留学していたケープタウンを拠点に、私は野生動物に会いに出かけました。
 

愛らしい南アフリカのペンギン

皆さんは南アフリカにもペンギンが生息していることをご存知でしょうか。筆者はペンギンは寒いところで生活する生き物だと思っていましたので、アフリカで野生のペンギンに出会えると聞き、驚き、とても興奮しました。
 
ケープペンギンはアフリカ大陸に生息する唯一のペンギンです。南アフリカの沿岸部のみに生息し、ほとんど繁殖地から離れることがないそうです。
 
特徴はあごの下に入った1本の黒いラインと、おなかのゴマ状の斑点です。くちばしが黒く、グレー色の棒状の模様が入っています。彼らはあまり警戒心がないため、人のすぐ側まで近づいてきます。
 
▼ケープタウンのボルダーズビーチ
ケープタウンのボルダーズビーチ
 
砂浜で日光浴をしたり、ペタペタと歩く姿はとても可愛らしいです。あくまでも野生動物ですので、エサはあげてはいけません。また、噛まれることがあるので要注意です。
 
一時期は野良猫の被害に合い、数が激減してしまったそうです。その後、周辺住民の努力によって生息地が保護され、安心して生活できるようになり数も増えているようです。
 
▼浜辺を行進するペンギン
浜辺を行進するペンギン
 

夕暮れの喜望峰で出会うBABOONの親子

喜望峰(Cape of Good Hope)は南アフリカ最南西端にあり、観光客にも人気です。ヴァスコ・ダ・ガマのインド航路発見を記念してつけられた名前であり、ポルトガルに希望を与えるという意味でつけられたそうです。
 
▼喜望峰(Cape of Good Hope)
喜望峰(Cape of Good Hope)
 
大西洋とインド洋の境目であり、暖かい海流と冷たい海流が混ざり合います。広大な自然保護区になっていて、珍しい鳥や植物、動物を見ることができます。また、季節によってはクジラも見ることができます。
 
▼喜望峰周辺の景色
喜望峰周辺の景色
 
車で喜望峰へ向かう途中には、わきの繁みからダチョウが首を覗かせています。夕方になるとヒヒの仲間「バブーン」が現れます。
 
喜望峰への道のりは山道が続きます。海が近いこともあり風が強いので、草木は背が低く、お世辞にも食糧が豊富そうには見えません。動物たちがそのような荒れ野で生活していることに驚いてしましました。
 
動物たちの中には観光客の車に慣れているのか、近くに寄ってくるものもいます。特に、バブーンの親子は道端に出てきたり、子供は水たまりで遊んだりと可愛らしい姿を見せてくれます。
 
▼夕日に照らされるバブーン(BABOON)
夕日に照らされるバブーン(BABOON)
 

サファリパークでのキリンとの出会い

日本のサファリパークと比較すると、動物たちはとても広大な土地の中で人間に保護されて暮らしています。車で走っていくと、昼寝をするチーターや、水飲み場に集まるシマウマなどを見ることができます。
 
▼ゆったりと昼寝をするチーターの家族
ゆったりと昼寝をするチーターの家族
 
日本の動物園ではキリンに餌をあげる体験ができますが、野生のキリンは警戒心が強く、襲ってくることもあるので刺激しないこと。キリンに出逢ったら、エンジンを消して彼らが側を通り過ぎるのを待ちます。大きく愛らしい目をしたキリンですが、その首や足の力は強いためキリン同士のケンカは迫力があるそうです。
 
▼水場へと歩くキリン
水場へと歩くキリン
 

野生動物を守ってくれる人々

南アフリカにやってくる人々は普段の生活では体験することができない壮大な自然や野生動物に触れることを楽しみにしています。人気の観光地ですが、その陰で動物保護のための日々追力している人たちがいることを知っていて下さい。密漁によって数が減少した動物や、人間が暮らすために住処を追われた動物達は子孫を残すことができず、その数を減らしています。
 
アフリカゾウの象牙は高く売れるため、密漁者によって乱獲されたのは有名な話です。
 
アフリカゾウ
 
サファリパークのスタッフは、毎日広いパーク内をパトロールして動物たちの様子を見ています。また、一部の動物はスタッフにとても慣れており、特にサイの赤ちゃんはスタッフが来ると嬉しそうに寄って来てます。
 
筆者が彼らと話していて、南アフリカの自然や動物を愛していることや、強い意志と誇りをもって働いていることを感じました。
 
もし、ケープタウンを訪れることがあればサファリパークにも足を延ばしてみてはいかがでしょう。動物園では体験できない迫力ある野生動物と笑顔の素敵なスタッフ達に会うことができます。
 
▼サイの赤ちゃんとサファリパークのスタッフ
サイの赤ちゃんとサファリパークのスタッフ
 
文:新すみな(ライター)
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