アイルランドの国技、ハーリング(Hurling)とゲーリックフットボール(Gaelic Football)。アイルランド国民が熱狂する2大スポーツです。
自国の伝統的なスポーツと文化を普及させることを目的とするゲーリック体育協会が、ハーリングとゲーリックフットボールの各州別対抗の大会を運営しています。9月に行われるそれぞれの決勝戦では、アイルランド最大で8万人収容のクロークパークが満席になるほどの熱狂ぶりです。
前回はハーリングをお届けしました。今日はゲーリックフットボール。
一見すると、使用するボールと得点方法が違うだけで、まるでラグビーのようなスポーツです。しかし、実際には、ラグビーのようにボールを投げてトスをすることはありませんし、タックルもできません。
ゲーリックフットボールについて、ご紹介します。
ゲーリックフットボールの概要
■人数
1チーム15人
■用具
バレーボールより大きくて重いボール
■時間
前半30分、後半30分 計60分
■コート
サッカー、ラグビーより大きいフィールドを使用
■得点
ハーリングと同様で、ゴールネットの上に、H型クロスバーが設置
打ったボールがクロスバーを越えれば1点、ゴールすれば3点
ゲーリックスポーツのルール
ボールを持って動けるのは、4歩もしくは4秒以内。ボールをバウンドさせれば、更に4歩可。ハーリングやラグビーと違い、タックルは禁止。
地面のボールは、まず足で拾いあげてから、触らなくてはいけません。
パスを出す時は、投げるのではなく、ボールを手で打ってパスをします。
ゲーリックスポーツの強豪チーム
ダブリンゲーリックスポーツの強豪チームは、水色と紺、ケリーは緑と黄、メイヨ―は緑と赤です。
Dublin V Kerry All Ireland Final 2019 Highlights
応援にかかせないカラフルな州旗
ハーリング、ゲーリックフットボールのサポーターは、応援する州の色を身に着けて応援します。例えば、ダブリンなら水色と紺、コークなら赤と白です。服だけでなく、家でも旗を掲げたり、車のアンテナに州の色のリボンを巻いたりして盛り上がります。
コークの優勝パレードの際には、州の色である赤と白で街があふれていました。そして「赤と白なら何でもいい」といったように、コークの旗だけでなく、ポーランドや、トルコ、そして日本国旗も一緒に揺れていたり。アイルランド人の大らかさが表れていて、面白いですね。
近年のゲーリックスポーツを取り巻く環境
1990年代頃までは、ゲーリックスポーツをするのは、ナショナリスト(アイルランド独立を支持する人)、ラグビーやサッカーをするのは、ユニオニスト(アイルランドがイギリスに属することを支持する人)とされていました。
しかし、幸い、最近ではそのような考えも薄れつつあり、公共のラグビーフィールドで、ゲーリックスポーツをしていることもあるようです。
大切な伝統的なアイルランドのスポーツが、悲しい歴史を超えて、国内だけでなく世界にも広がると素敵ですね。
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