日本でも30年ほど前はよく見た野良犬。現在は見ることがなくなりました。一方、こちらタイでは、現在も野良犬に出会い狂犬病も問題となっています。現状をレポートします。
野良犬は危険。
街を歩くと野良犬に出会わない日はありません。のんびり寝ていたり、歩いている犬と行き違います。日本でこんな姿は見られないので、一度に2匹以上に出会うと“怖い”と感じてしまいます。犬はその感情を察知するのか、後をついてこられたり吠えられたりします。
▼街の野良犬
2015年8月タイ畜産省は、タイにおける放浪犬の60%以上が狂犬病に罹っていると発表。2015年に狂犬病で死亡した人は5人とされています。
タイ政府も対策を講じています。Newsclip.be(2016年6月15日)の記事の中では、対策の内容を次のように報じています。
バンコク都庁、野良犬保護施設の拡張検討
『バンコク都庁のジュムポン副都知事らは14日、バンコクの野良犬を保護飼育している北部ウタイタニ県の施設を視察した。都庁によると、都内の野良犬は推定約10万匹、飼い犬は推定約60万匹。野良犬の数は年々増えて、都庁はウタイタニの施設の拡張を検討中だ。施設は敷地面積32ヘクタールで、2002年に開設された。8000匹収容可能で、現在は5550匹が暮らしている。専属の獣医は2人、職員80人。』
日本で飼い犬に咬まれてもすぐに受診をするということはありませんが、タイでは事情が違います。先日、タイの友人が散歩中、立ち寄った家で立ち話をしている途中にその家の飼い犬に咬まれました。友人は、自宅には戻らずとにかく受診をしたそうです。
日本の飼い犬での狂犬病は、1957 年以降発生していません。しかし、タイではまだ狂犬病は撲滅に至っていないのです。狂犬病は、狂犬病は狂犬病ウイルスによる感染症で、感染した哺乳類にかまれたり、傷口、目や口の粘膜をなめられたりすることで感染します。発病後の有効な治療法はなく、ほぼ100%死亡します。
タイでは飼い犬と野良犬の区別がつかないことも
タイにも多くの愛犬家がいます。小型犬も多く散歩している所も良く見かけます。大きな家では、庭に犬が繋がれず数匹飼われていることもあります。リードをつけ飼い主と散歩している犬もいますが、リードなしで散歩している犬もいます。
そのため、野良犬と飼い犬の見分けがつかないことがよくあります。外で遊んだ犬が、家の前でク~ンと鳴いて家に入る所を見て飼い犬だと解ります。
▼近所の飼い犬
タイの街で出会う野良犬の多くは、暑い気候の中で寝ていたりして人に危害を与えることはありません。タイの街に溶け込み、人間と共存しています。
しかし、狂犬病の事も頭に入れ、むやみにえさをあげたり、のんびり寝ている犬の頭を撫でたりすることは考えものです。タイで野良犬を見かけたら、彼らの昼寝を邪魔せずに、そっと遠くから見守っていてください。
文:Sazu Iwai-Pawle(タイ バンコク在住ライター)
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