食事の前にワインを片手におしゃべりを楽しむフランス文化「アペロ」とは?

みなさまは「アペロ」という言葉をご存知でしょうか?

アペロとは、フランスでの生活をする上で欠かせない風習で、食事の前にワインを片手におしゃべりを楽しむ習慣。食前酒(アペリティフ)から生まれた言葉です。

ホームパーティーほど凝った料理も必要なく、他愛ない話をしながら、人同士のつながりを深める『アペロ』。庭やテラスで太陽の下、気軽な交流の場となっています。

ここでは、アペロの目的やタイミング、呼ばれたときの手土産やマナーなど、私の実体験を交えながら紹介していきます。

アペロ
▲写真は2019年8月19日。海沿いのバーでのアペロにて。

「軽く飲もう!」交流を深められるアペロ。

フランスでは多くのお店が日曜は定休日もしくは午前中のみの営業のため、午後は家族でゆっくり過ごすのが一般的。他愛ない話をしながら、友人・家族のつながりをより深めています。

元々アペロは食事の前に少しお酒や軽食を口にすることで食欲を増幅させることが目的で行われていました。今ではその目的は形式的なものになり、軽く飲もう!くらいの立ち位置になっています。

ホームパーティーほど凝った料理も必要なく、家の中より庭で開催されることが多いので、家に人を呼ぶとは言っても気構える必要のないアペロは、交流を深めるのにぴったりの習慣だと言えます。

夕方だけでなくランチ前のことも。

基本的には夕方が多いけれど、昼ご飯の前に行われることもあります。週末になると家族やご近所さんが集まって、お昼から太陽を浴びながらアペロを楽しむことも多いです。

本来ならば小一時間、ご飯ができあがるまでの間を楽しむものですが、ハッキリした決まりはありません。ある友人は13時に始まったアペロが17時まで続いてしまって夕飯どころじゃなかったことがあったと笑っていました。

「うちでランチパーティーするからおいで」と誘われて12時ごろ伺うと、やはりアペロから始まってご飯そのものは14時以降にスタートしたという経験がありました。もうすぐ食事だから、とスナック菓子を控えるのが普通の環境で育ってきた私は少し戸惑ってしまいましたが、黙々とご飯を食べるよりも、共にした人たちの話をゆっくり聞くことができました。

夕方のアペロは19時前後に開かれることが多いです。日本での感覚だと夕ご飯の時間帯ですが、フランスでは20時以降の夕食が普通なので、あくまでアペロは“食前”です。ご飯は食べて行かない方が良いでしょう。

また、アペロに限らず、フランス人の時間感覚としては一般的に約束の時間の15分後程度が好ましいとされています。時間ピッタリに行くと、まだ準備が出来ていない可能性があるからです。

10分前、15分前についてしまうと、主催者は準備をしながら客人をもてなさなくてはいけなくなり、逆に迷惑になってしまう恐れがあります。大幅な遅刻でなければ、約束時間より遅れることは失礼にはならないので気後れする必要はありません。

テラスや庭、太陽を浴びながら。

あまり親しくない間柄であったり、家が遠い場合はカフェを利用することもあります。しかし、先述したとおり日曜日は一般的にお店が休みであることに加え、フランスでの外食は想像以上にお金がかかるため家で開催されるケースが最も多いです。

フランスでは焼けた肌を好む人が多く、悪天候でない限りはテラス席や庭など太陽の元でアペロが開催されます・日焼けしたくない場合は帽子や日焼け止めを忘れずに。

手土産の王道はワイン

たいていは主催者がスナック菓子やチーズ、ソシソン(乾燥させたソーセージ)、パンやオリーブなどの軽食を用意してくれて、飲み物は基本的に各自で持ち寄るのが一般的なスタイル。

ソシソン
▲乾燥ソーセージ「ソシソン」

アペロであれホームパーティーであれ、手土産の王道はワイン。その会で消費する用なので、プレゼント用の高価なワインというよりは相手の好み若しくは自分が飲みたいものを買うつもりでよいでしょう。ワイン大国のフランスでは安ければ4€(500円)前後から手に入るうえに、15€(2000円弱)もあれば、かなり美味しいワインが買えます。変に気構える必要はありません。ワインショップではお店の人が助けてくれるので、専門的な知識がなくても大丈夫です。

食べ始めや乾杯など、知っておきたいマナー      

飲み物が全員にいきわたるまで飲み始めないことは、日本と同じで好ましいとされています。軽食も、各テーブルに置かれているものについては他の人が準備できるまで待った方が良いです。

場合によっては、軽食ののった大皿をバトンのようにそれぞれで回していくことがあります。この際は、自分の分を手に取ると同時に食べても問題ありません。

乾杯は出来る限り目を見て行うことが好まれます。人数が多い場合は一人一人にアイコンタクトをとる必要ありませんが、下を見たり知り合いだけを見たりせずに、ぐるっと見回す方が良いです。

フランスでの乾杯は主に「Santé(ソンテ)!」の挨拶が使われますが、一方でグラスをぶつける音から「tchin-tchin(チンチン)!」と言う場合も多いので驚かれませんように。

ビズ (La bise)と呼ばれるフランスでの一般的な挨拶も気になるところでしょう。頬にキスをしているように見えますが、実際は頬同士をくっつけて「空気に」キスをします。初対面の人であっても、友人の知り合いなど、対等な立場であればビズが一般的です。アペロでも、一人一人にビズで挨拶をしていくのがフランスでのマナーで、遅れて来た場合でも先に帰る場合でも、また一人一人にビズをしていきます。

女性同士、女性と男性は大抵ビズで挨拶をし、男性同士の挨拶は人によってはビズ、または握手の場合もあります。私の暮らす南フランスでは、相手の左頬から右頬への2回のビズが一般的で、地域によっては右頬から始める場合や1回のみ、3回ビズを行うこともあります。フランス人同士でも困惑することは多いので、自信がなければ相手に聞くか、任せてしまうようにしましょう。

フランスでの学校でも紹介されていたビズに関して面白く紹介した有名な動画があるので、参考程度にご覧ください。
 

お互いの文化を知り、より理解を深める素晴らしさ。

フランスの文化「アペロ」ひとつを語るにしても、時間感覚や文化、社会のしくみの差まで、多くのことが見えてきます。私がフランスに移住した時は、フランス語も文化も全然知りませんでしたが、私の学ぼう馴染もう、という姿勢が見えるだけで多くのフランス人が受け入れてくれました。

知らないことは恥ずかしいことではありません。相手の文化を知り、同時に自分の文化を教えてあげることで、お互いの理解はより深まっていくと思います。

フランスから遥か遠くにある日本については、マンガやゲームの影響もあって、非常に興味深く聞かれます。海外の文化を勉強するのと同じくらい、自国の文化を知っていくことも大事だと思いました。
 

アペロ
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