12月のドイツでは各地でクリスマスマーケットが開かれ、寒さと暗さのせいで沈みがちになる気分を盛り上げてくれます。
ドイツ留学生のなかには、初めて過ごすドイツでのクリスマスやお正月を楽しみにしている人も多いでしょう。この時期、ドイツでの過ごし方で日本と大きく異なるのは、クリスマスは「家族と」、お正月は「友人や恋人と」過ごすということ。日本なら、家族と過ごすのはお正月でクリスマスは友だちや恋人と過ごす人が多いかもしれませんが、ドイツでは逆なのです。
本記事ではドイツのクリスマスと正月を味わい尽くすためのドイツ流年末年始ガイドをお届けします。
クリスマスを味わいたいならホームステイ
ドイツ人にとってのクリスマスは家族と過ごす大切な時間。普段は家族と離れて過ごしている人も、この時期はほとんどが帰省します。
大学もクリスマスから年末年始にかけて2週間ほど休みになります。親元を離れて暮らしている学生たちもみな実家へ帰るのです。
筆者が学生の友人にクリスマスの予定を聞いても、「実家へ帰るよ」との回答がほとんど。筆者が以前に大学都市として知られるエアランゲンに住んでいた際は、クリスマスの時期になると町から人がほとんどいなくなりました。
カップルもそれぞれが自分の実家へ帰るのが一般的。中にはどちらかの実家で一緒に過ごすというカップルもいますが、それはかなり稀なケースです。
そんな事情から、もしドイツ留学でドイツ流のクリスマスを堪能したいなら、ホームステイを選ぶべきです。ホストファミリーがドイツのクリスマスの「いろは」を教えてくれるでしょう。普段は家にいない息子さんたちが帰省し、賑やかになっているかもしれません。
12月24日は午後になると店じまいする所が多くなります。25日と26日は祝日です。
クリスマスツリーを飾るのは本来なら24日とされており、この日に家族みんなでモミの木に飾りつけをし、家庭によっては夜に教会で開催されているミサへ出かけます。他にも皆でごちそうを食べたりプレゼント交換等をしながら、久々に集まった家族との団らんを楽しみます。
年越しはお祭り騒ぎ
クリスマスは家族で過ごす一方、年越しは友人同士で集まりパーティーをするのが一般的。夜に始まるパーティーは年越しの時が来るまで続きます。
寮で留学生活を送っている人は、きっと寮をあげての大パーティーになるでしょう。もちろんホームステイをしている人だって、友だちと遊びにでかければ大丈夫。
年越しパーティーの定番メニューは「ラクレット」。溶かしたチーズを野菜やパンなどにかけて頂くスイス発祥の料理で、とろとろのチーズが病みつきになります。料理の後は年越しの時間が来るまで話やゲームをしながら過ごします。
そしていよいよ年越しの時間が迫ってくると、皆が外へ出て打ち上げ花火の準備をはじめます。個人での打ち上げ花火が禁止されているドイツ。唯一、年末のこの瞬間だけは例外的に個人での打ち上げ花火が許可され、スーパーにも大量の打ち上げ花火が並ぶのです。
新年になると同時に一斉に打ち上げられる花火。あちこちで花火が上がるので、その煙で周囲がよく見えないほどになります。そして周囲の人たちと「あけましておめでとう!」と言いながらハグをしあうのがドイツ流の新年の迎え方です。
ちなみにドイツには3が日がありません。1月1日は祝日となるものの、お正月ムードに浸ることなく2日からは会社もお店も通常営業になります。
クリスマスとお正月が日本とは逆転
家族でしっとりと過ごすクリスマスと賑やかなお正月は、まるで日本のクリスマスとお正月を正反対のドイツ。特に実家から遠く離れた場所に住んでいる人にとってのクリスマスは、家族に会える数少ない機会。とても大切な日です。
筆者も夫の実家から離れた場所に住んでいるので、夫の家族に会えるのはクリスマスかイースターといったところ。その際には親戚も集まっての食事会が開かれ、皆で近況報告をしながら楽しいひと時を過ごします。
留学生としてむかえるドイツの年末年始。思いっきり羽を伸ばして、明るい新年を迎えてください。