年に一度の ラマダン月プアサ(断食)。本当のラマダンを知っていますか? ~森千恵(マレーシア在住ライター)

2016 年のラマダンは6月6日月曜に始まりました。普段は人の多いモールやファーストフード店が日中ガラガラで、スーパーの店頭にはデーツ(ナツメヤシの実)の山、ラマダンの1ヶ月が終わるとマレーシア最大の祝日ハリラヤがやってきます。
 
最近では日本のニュースでもイスラム圏の国々やイスラム教徒のラマダンの様子が伝えられますが、どうして断食を1ヶ月もするのか、そもそもラマダンをよく知らない方がほとんどではないでしょうか。
 
そこで、今回はラマダン、とりわけ、私の住むマレーシアにおけるラマダンについてご紹介したいと思います。
 
ラマダン
 

ラマダンって何?

ラマダンとはイスラム暦(ヒジュラ暦)の9番目の月のことで、この月に預言者ムハマドコーランが啓示されたということから聖なる月とされています。ラマダン開始はイスラムの長老により新月の確認後に始まります。イスラム暦は太陰暦のため、毎年11日ほど前年より早まり、新月を確認したあとに始まるので、予想よりも1、2日前後することもあります。
 

ラマダンに何をするの?

ラマダンが始まると、イスラム教徒はイスラム教徒の義務5行のうちの一つ「断食」を一ヶ月間行います。そして、断食をすることをマレーシアやインドネシアでは「プアサ(Puasa)」 と呼びます。
 
プアサは丸一日ではなく、日の出から日没までの間のみ。プアサ明けのことをブカプアサ(断食が開ける)といい、夜の間は食べることができます。
 
プアサでは食べ物だけを断つわけではありません。
 
・日中は食べ物も水も口にしない。
・ 性行為も禁止
・ つばも飲んではいけない
・ 喫煙もダメ
 
一ヶ月間、禁欲的に過ごすプアサには、例外があります。病人、妊婦、授乳中(プアサする人も)、生理中は無理にラマダン中にしなくてもよく、その日数だけ次のラマダンの前までの他の月に実施します。また、幼い子と高齢者は断食をしなくてもいいとされています。
 

どうしてプアサするの?

ムスリマ(女性のイスラム教徒)の友人によると断食することで飢えや貧困に苦しむ人の気持ちが理解でき、一ヶ月間禁欲的な生活を送ることで自制心が養われるのだとか。ちなみに非イスラム教徒もしてもよいとのことです。
 

楽しいブカ・プアサ

イスラム教徒の経営する飲食店のほとんどが日中は閉店、午後4時頃から開店します。またやはり毎日4時頃から、ラマダン・バザールと呼ばれる夜市や食べ物を売る路店が町中のあっちこっちに出て、日没後はとてもにぎやかです。ホテルやレストランではブカ・プアサ・ビュッフェなども催され、バザールではラマダンにしか売ってない食べ物もあったりして、断食をしていない私までウキウキします。
 
▼断食あけに食べる乾燥ナツメヤシ
ラマダン
 

非ムスリムがラマダンのマレーシアで気をつけること。

 
1.公の場所(公園など)やイスラム教徒の前で飲食しない!これが一番重要で、配慮すべきことです。職場でもマレー人(マレー人の多くはイスラム教徒)の目の前で飲食はしないことです。学校では午前中の休み時間(10位時に軽食の時間がある)やランチタイムの間、イスラム教徒は教室や図書室で過ごしたりします。
 
2.イライラ運転が増えるので、プアサをしていないこちらが気をつけると良いでしょう。また、プアサで職場の生産性が下がっても大目にみましょう。学校ではイスラム教徒は(6、7歳ごろから半日、10歳頃から1日プアサを始める子が多いそうです)は体育も希望すれば免除されるなどの配慮がされています。
 
イスラム教が国教のマレーシア、国民のほぼ7割がマレー系でその多くはイスラム教徒です。首都クアラルンプールや華人の多い地域、たとえば日本人にも人気のあるペナン、コタキナバル、マラッカや地方都市のイポーにいるとムスリムの習慣をつい忘れがちになってしまいます。他宗教、多民族に寛容で親切なマレーシアの人々に断食・プアサ中の配慮は忘れないようにしたいものです。
 
文:森千恵(マレーシア在住ライター)
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