「ヨーロッパ」というと、虫刺されによる感染症のイメージがあまりないのではないでしょうか。
もちろん、アフリカや東南アジアに比べ、その割合は低いものですが、ゼロではありません。意識していないために、虫に刺されても放置してしまい、重症化する恐れもあるのです。
今回は、ヨーロッパで気をつけるべき虫刺されについてお伝えします。
危険なマダニは、じつは身近な存在
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日本にも生息するマダニは、2~3mmほどの大きさの虫で、山や森、草むらに潜んでいます。道端にいることもあり、散歩中にかまれるケースもあるなど、ごく身近な場所にいる虫です。
ヨーロッパでも、マダニにかまれたことにより、ライム病や脳炎症といった感染症を引き起こす危険があります。マダニにかまれて、赤い斑点がでてきたら、要注意です。また、頭をかまれた場合は、気づきにくいので、気をつけましょう。
マダニにかまれると、チクッとした痛みを感じます。そして、皮膚にかみついたマダニは、そのまま同じ場所で血を吸い続けます。まるで黒ゴマが皮膚についているように見えますが、その状態の時に、無理に取ると、マダニの頭部が皮膚の中に残ってしまう危険があります。
応急処置としては、高濃度アルコールをつけて自然におちるのを待つ、という方法もありますが、まず、病院で診てもらいましょう。
マダニ対策として、次のポイントを覚えておきましょう。
1. 山や森に行くときは、皮膚をなるべく露出しない
2. マダニ服についた時に目立つよう、白っぽい色の服装を心がける
3. 帰宅後は、かまれていないか全身をチェックする
かゆみだけじゃない、蚊の恐ろしさ
Mosquito Photo from Flickr
日本でも身近な蚊ですが、蚊を媒体とした感染症のひとつに、「マラリア」があります。マラリアの症状としては40℃ほどの高熱が続き、頭痛や嘔吐の症状がみられます。重症化すると、命にかかわることもある恐ろしい病気です。
主に、熱帯・亜熱帯で流行するものとされていますが、近年、イタリアでの感染・死亡例が報告されているのです。感染経路などは、特定できていないようですが、このような事実があるので、注意が必要です。
キャンプやハイキングなど、蚊に刺されやすい場所に行く時は、肌の露出をさけるなどの対策をしましょう。また、現地の注意情報をチェックすることを忘れずに。
刺されると厄介なミジー(Midges)
病気の感染の恐れはないものの、刺されると厄介なのがミジー。ユスリカ、ブヨなどと訳され、風のない静かな夕方に、蚊柱をつくるような小さな虫たちのことです。
無害だといわれていますが、種類や時期によっては刺されることもあります。ミジーの集団に襲われると、1ヵ所ではすまないので、数十か所刺されて皮膚が腫れます。とにかくかゆみがひどく、体質によっては、アレルギー反応で水ぶくれになることもあります。刺され慣れていない私たちには、注意が必要です。
どの地域であっても、渡航する際には、現地情報や外務省の渡航情報をチェックして準備しましょう。そして、必要な場合は、医療機関等で相談しましょう。
<参考サイト>
NIID国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/