カナダ流「抹茶の楽しみ方」。抹茶ブームのカナダに学ぶ抹茶との新しい付き合い方。

「カナダで抹茶」と聞くと、あまりイメージが湧かない方も多いのではないでしょうか？

「まさか、日本から遠く離れたカナダで、抹茶が飲まれているなんて・・・」

と、信じられないのも無理はありません。

しかし、今、その抹茶がカナダにおいてブームになってきています。「コーヒーを一杯」と同じような感覚で「抹茶を一杯」日常生活に取り入れる人が増えています。

カナダに抹茶が定着してきた背景には、その健康効果に加え、料金、店主たちのこだわり、美味しさなどの要因があります。

もはや、カナダ人の抹茶愛は日本人のそれを凌駕しつつあると言っても過言ではないでしょう。むしろ、私たち日本人がぜひ逆輸入したい楽しみ方が詰まっています。

この記事では、そうしたカナダの抹茶事情と楽しみ方、抹茶にまつわる簡単英会話などを、実際にカナダの抹茶カフェで働いていた著者の視点からお伝えしていきます。

カフェ天国のカナダに出没する「抹茶カフェ」

カナダには多くのカフェが存在します。街を歩けば、スターバックスなどのチェーン店はもちろんのこと、地元のおしゃれな個人経営のカフェも多く見かけることができます。また、元々イギリスの植民地であった背景もあり、今でも紅茶のカフェが多く残っています。

そんなカフェ激戦区の中で、最近よく目にするようになったのが「抹茶カフェ」です。カフェでは、抹茶に馴染みのなさそうなカナダ人が、まるでコーヒーを飲むかのように抹茶を楽しんでいます。

私がその光景を初めて見たときは、「なぜ、カナダ人が抹茶？」と、とても驚きました。

カナダの抹茶カフェで働いて分かったこと

カナダの抹茶事情を知っていただくために、私が実際に働いていた抹茶カフェを少し紹介したいと思います。

私が働いていたお店は「Jagasilk」と言います。

抹茶は日本の農家さんから直接取り寄せたもので、品種ごとにグレードが分かれていました。（日本では大体ブレンドされているので、一つの品種で販売することは珍しいです。）

▼抹茶のメニュー

メニューは実に豊富です。伝統的な薄茶や濃茶、抹茶ラテ、抹茶レモネード、抹茶アイスクリーム、抹茶大福、抹茶バナナケーキなどバラエティに溢れていました。

▼伝統的な薄茶

「味はどうなの？」

と疑問に思われる方もいるかもしれませんね。

ここだけの話、日本よりも美味しいかもしれません。

というのも、私が働いていたカフェでは、オーナーが日本をわざわざ旅して出会った農家さんから、厳選された抹茶を取り寄せていたからです。私が初めてお店の抹茶を飲んだ時は、驚くほど濃厚でマイルドな味にビックリしたものです。

私が働いていたお店だけではなく、カナダの抹茶カフェでは拘りを持って厳選された抹茶を日本から取り寄せているオーナーが多いです。その結果、日本で飲む普通の抹茶よりも美味しい抹茶が飲める可能性が大いにあるのです。

▼抹茶ラテ

次に、値段の話をしましょう。値段は、コーヒーの1.5倍〜2倍高いくらいです。

例えば、コーヒーラテの値段と比べてみると…
　

抹茶自体それほど安いものでもないですし、日本から取り寄せている分コストがかかりますので、妥当な値段だと思います。

このように、種類も豊富で味も美味しい。また、コーヒーよりも少し値段が高いくらいでお手頃な抹茶。カナダ人が抹茶を楽しむ理由が少し分かった気がしました。

日本人とカナダ人の抹茶に対する認識の違い

私が抹茶カフェで働き始めて一番驚いたことは、抹茶に対する認識の違いです。

日本人は、抹茶を非日常のものと思っている人が多いと思います。

例えば、「お茶会の時に飲むもの」「京都に旅行した時に飲むもの」といったように、日常的に飲むというよりは、たまに飲む非日常的なものということです

しかし、カナダの人にとっては、抹茶は日常的に飲む物なのです。つまり、「コーヒーを飲みに行こう」という感覚で、抹茶を飲みに来るのです。

あるお客様は、毎朝、抹茶を飲んでから会社に行っていました。お昼に、抹茶を飲みながら友達と優雅な時間を過ごしているお客様もいらっしゃいました。中には、家で日常的に抹茶を点てられている方もいらっしゃいました。

抹茶の日常への溶け込み具合は、日本以上と言っても過言ではないかもしれません。

ではなぜ、抹茶がそれほどまでに日常に溶け込み、人気になっているのでしょうか？常連さんとの話す中で、その理由が明らかになってきました。

カナダ人が抹茶を嗜む３つの理由

第一の理由は、抹茶が「スーパーフード」であること。
　

カナダ人にとって抹茶は「ココナッツ」「チアシード」「マカ」などと同様のスーパーフード。栄養豊富で健康に良いという認識なのです。

抹茶には様々な健康成分が含まれており、ざっと挙げただけでもこのような効能があります。

• シアニン：抗酸化・抗ストレス
• カテキン：リラックス作用・抗ウィルス作用
• カフェイン：覚醒作用・疲労軽減
• 食物繊維：腸内改善・ダイエット効果
• クロロフィル：癌予防効果
• ビタミンE：抗酸化・老化抑制

また、普通の緑茶はお湯やお水で淹れた抽出液を飲みますが、抹茶は粉にした茶葉をまるごと摂取するため、茶葉に含まれている栄養素をすべて取り入れることができます。

そのため、抹茶は普通のお茶のもつ効果、効能もより効果的に取り入れることができます。それが、抹茶がスーパーフードである最たる所以でもあります。

カナダでは「抹茶＝スーパーフード」という認識が広まり、それがコーヒー感覚で飲めてしまうということもあり、日常に定着し始めたということです。

第二の理由は、「ビジネスパーソンの味方」として脳の活性化と目覚めに役立つ面があることです。
　

抹茶（薄茶）一杯には、64mgのカフェインが含まれています。

コーヒー(一杯)には、60mgのカフェインが含まれているので、だいたい同じ量のカフェインが含まれているということになります。

▼コーヒーとのカフェインの比較

コーヒーと同じ効果が得られるだけではありません。

抹茶に含まれるL-シアニンというアミノ酸が、カフェイン効きをマイルドにしてくれるという作用があるので、コーヒーのカフェインよりも効果が長続きするのです。

「脳の活性を促す」といったコーヒーと同じ（もしくはそれ以上の）効果が得られ、健康にも良いとなればコーヒーよりも抹茶を選んでも不思議ではありませんよね？

そういった理由もあり、コーヒーよりも抹茶を選ぶカナダ人が増えているのです。

第三の理由は「茶道の精神を感じられる」こと。
　

カナダ人の中には、抹茶は茶道がルーツだということを知っている人がいます。

そうした人にとっては、抹茶を飲むことを自体が茶道の精神を感じられることなのです。つまり、精神を落ち着けるために抹茶を飲むのです。

例えば、常連さんの一人に、いつも仕事終わりににカフェに立ち寄り、心を落ち着けてから家に帰るという方がいらっしゃいました。いつも、決まった場所に座り、決まった抹茶を注文し、ゆっくりと心を落ち着かせながら抹茶を楽しんでいました。

ただ、「味が美味しいから」「健康に良いから」といった理由だけでなく、そういった精神的な楽しみ方をしながら抹茶を嗜むカナダ人も多いのです。

もし「What is matcha？」と聞かれたら？

抹茶がブームということで、もしあなたがカナダに行かれた際は、「抹茶って何？」と聞かれるかもしれません。そういった時に役立つ超簡単なフレーズを5つ紹介します。

・抹茶は緑茶を粉状にした日本のお茶です。

Matcha is a Japanese powdered green tea.

・抹茶は、日本では主に、茶道の時に提供されます。

Matcha is usually served at the Japanese tea ceremonies.

・抹茶は栄養豊富でとても健康的です。

Matcha is very healthy, and rich in various nutrition.

・抹茶は、昔は薬として飲まれていました。

Matcha was taken as medicine in old days.

・日本人は、普段はあまり抹茶を飲みません。

Japanese don’t usually drink Matcha.

※Macchaでも通じますが、一般的にはMatchaを使います。

抹茶のことに限らず、外国人に日本のことを聞かれても、とっさにパッと英語で答えられるようにしておくととても便利です。

カナダ流「抹茶の楽しみ方」

カナダでは抹茶が日常的に溶け込み、「健康に良いから」「脳が活性化するから」「精神が落ち着くから」といった理由で大人気です。

抹茶カフェが増えているだけでなく、最近では個人経営のコーヒーショップでも抹茶を提供する店が増えてきました。もしかすると今後、抹茶がコーヒーと肩を並べる飲み物になる日が来るかもしれませんね。

もし、この記事を読んで少しでも抹茶に興味を持っていただけたのであれば、あなたもこれを機に、日常的に抹茶を取り入れて「カナダ流の抹茶」を楽しんでみてはいかがでしょうか？