マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology、通称MIT)はQS世界大学ランキングで1位に選ばれている屈指の名門大学です。
1861年に設立されて以来「世界をより良くする」ことを目指す人材と研究を生み出してきました。学業成績が優秀なのはもちろん、ユニークな発想と人格を持ち合わせた魅力的な学生たちが世界中から集まっています。
ここでは、マサチューセッツ工科大学に留学したい人のために、レベルや入学条件、学部・学費などをまとめて解説します。
マサチューセッツ工科大学に興味を持っている人はぜひ参考にしてください。
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マサチューセッツ工科大学の基本情報
マサチューセッツ工科大学があるのはどんなところ?
マサチューセッツ工科大学のキャンパスは、マサチューセッツ州ケンブリッジにあります。ケンブリッジは川をはさんでボストンの対岸にある街です。古くからある緑地や並木道、川のほとりなど、ボストンの歴史ある風情を感じられる穏やかなところです。
東京ドーム15個分相当のキャンパスに、運動場、20以上の庭園と緑地、18の学生寮、そして一般に公開されている約50の芸術作品があります。
ケンブリッジはアメリカを代表する学生都市でもあります。ハーバード大学やケンブリッジ・カレッジ、レスリー大学、ロンジー音楽大学などのキャンパスがあります。
マサチューセッツ工科大学が求める学生は?
マサチューセッツ工科大学では、教育・研究・イノベーションを通じてより良い世界を作るという共通の目的を持っています。大学では「学生は楽しくて風変わり、エリートだけどエリート主義ではなく、創意工夫と芸術性に富み、数字にこだわり、どこから来たかに関わらず、才能ある人々を歓迎する」と言っています。
「チョコレート科学クラブなんてどう?(Chocolate Science, anyone?)」という勧誘が大学の公式サイトに掲載されているように、500以上あると言われる学生クラブにもそのユニークさが表れています。
マサチューセッツ工科大学のモットー
マサチューセッツ工科大学のモットーは「mens et manus(心と手)」。学術的知識(心)と実用的な目的(手)の融合を奨励しています。
もともとマサチューセッツ工科大学は、アメリカの産業革命を促進するために設立された教育機関です。その成り立ちの歴史からも、実社会の問題を解決することに主眼を置いた教育と研究を結びつけること、そこから新しいタイプの独立した教育機関の基礎を築いてきました。
学生と教員の比率は3対1で、優秀な教員と1対1で接することができるため、最高の教育を受けることができます。
マサチューセッツ工科大学の卒業生は?
ノーベル賞受賞者98名をはじめ、起業家、研究者、政策立案者、多様な分野のリーダーを生み出してきたマサチューセッツ工科大学。3Dプリンターから人工関節といった、今日当たり前にある製品やサービスを多く作り出してきました。
医学や水の浄化技術、持続可能なエネルギー、都市回復、アルツハイマー病、がん、感染症なども、マサチューセッツ工科大学の学者が影響を与えたイノベーションの一例です。
▼卒業生の一例
- コフィー・アナン(第7代国際連合事務総長、ノーベル平和賞)
- ジョージ・シュルツ(元国務長官)
- バズ・オルドリン(アポロ11号の月着陸船パイロットとして人類初の月面着陸)
- ベンヤミン・ネタニヤフ(イスラエル首相(13・17代)
- ウィリアム・ヒューレット – ヒューレット・パッカードの創設者
- 大前研一 – 経営コンサルタント・経営者
- 杉山知之 – デジタルハリウッド学長
留学生数
学生数は約11,000人で、そのうち500人の学部生と2800人の大学院生が129に及ぶ諸外国からの留学生です。
マサチューセッツ工科大学の学部

Julius Adams Stratton Building
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マサチューセッツ工科大学には5つのスクールと33の学部があります。
人気学部はコンピュータサイエンス、機械工学、数学、物理学、化学工学、電気工学、航空宇宙工学、計算・応用数学、バイオエンジニアリングとバイオメディカル・エンジニアリング、材料工学などの理系学部です。
その一方で、世界屈指のビジネススクールであ「MITスローン」に代表されるようにテック分野やファイナンスに強い経営学分野も世界トップクラスです。
スクール | 学部 |
建築・プランニング School of Architecture and Planning | 建築学 メディアアート・科学 都市研究・計画 |
工学 School of Engineering | 航空学・宇宙飛行学 生物工学 化学工学 土木・環境工学 データ・システムおよび社会科学 電気工学・コンピュータサイエンス 材料工学 機械工学 医用工学・科学 原子力科学・工学 |
人文・芸術・社会科学 School of Humanities, Arts, and Social Sciences | 人類学 比較メディア学・ライティング 経済学 グローバル言語 歴史学 人文科学 人文学+工学/科学 言語学 文学 音楽・舞台芸術 哲学 政治学 科学・技術・社会 |
スローン・スクール・オブ・マネジメント Sloan School of Management | 経営学 |
科学 School of Science | 生物学 脳・認知科学 化学 地球・大気・惑星科学 数学 物理学 |
MITシュワルツマン・カレッジ・オブ・コンピューティング MIT Schwarzman College of Computing | *2018年に設立された、AI関連の研究推進機関 |
マサチューセッツ工科大学の難易度

Kresge Auditorium
by Gunnar Klack
マサチューセッツ工科大学の偏差値は?
アメリカの入試は日本のように一発勝負の試験ではないため偏差値のシステムはありません。マサチューセッツ工科大学の入試も点数では測定することができませんが、世界でもっとも難しい大学入試になることは避けられません。
出願者が併願する大学で多いのは以下の大学です。
- カリフォルニア工科大学(California Institute of Technology)
- プリンストン大学(Princeton University)
- ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)
- ハービー・マッド大学(Harvey Mudd College)
- ハーバード大学(Harvard University)
- イェール大学(Yale University)
- スタンフォード大学(Stanford University)
- カーネギーメロン大学(Carnegie Mellon University)
マサチューセッツ工科大学の世界ランキング
マサチューセッツ工科大学はQS世界大学ランキングでは1位、THE世界大学ランキングでは5位に選出されています。
マサチューセッツ工科大学の合格率
マサチューセッツ工科大学の合格率は全体では7%です。しかし世界中の優秀な頭脳が世界のトップ大学に入りたくて出願してくるため、留学生に限った合格率は約3%と言われています。
マサチューセッツ工科大学の学費

Science and Technology
MIT Museum: Kismet the AI robot smiles at you
by GPA Photo Archive
マサチューセッツ工科大学の留学費用は大変高く、学部課程の場合は年間トータル$77,020、日本円にして約880万円ほどかかります。
そのため、多くの学生が奨学金や学費ローンを利用しています。奨学金については後述しますが、世界トップのMITに合格する学生であれば奨学金の確率もかなり高くなります。ぜひ活用して留学を実現してください。
まずは奨学金や学費補助を使わない場合の正規の留学費用をご紹介します。(2021-22)
学部課程の学費
授業料 | $55,510 約630万円 |
学生費 | $368 約4.1万円 |
寮費※MIT1年次は全員入寮 | $11,550 約130万円 |
食費 | $6,550 約74万円 |
教材費 | $840 約9.5万円 |
交遊費概算 | $2,202 約25万円 |
合計 | $77,020 約880万円 |
大学院課程の学費
9か月 | 12か月 ※夏学期を取る場合 | |
授業料 | $55,510 約630万円 | $74,685 約848万円 |
学生費 | $368 約4.1万円 | $368 約4.1万円 |
保険 | $3,089 約35万円 | $3,089約35万円 |
滞在費 | $15,750 約179万円 | $21,000 約238万円 |
食費 | $6,225 約70万円 | $8,300 約94万円 |
教材費 | $930 約10万円 | $1,240 約14万円 |
交遊費 | $6,232 約70万円 | $8,310 約94万円 |
交通費 | $2,250 約25万円 | $3,000 約34万円 |
合計 | $90,354 約1026万円 | $119,992 約1,363万円 |
MBAの学費
マサチューセッツ工科大学のビジネススクールである「スローン・スクール・オブ・マネジメント」で実施しているMBAは、世界のトップMBAのひとつです。
授業料 | $78,954 約897万円 |
学生費 | $2,568 約29万円 |
滞在費 | $15,750 約179万円 |
食費 | $6,225 約70万円 |
教材費 | $930 約10万円 |
交遊費(保険含む) | $9,321 約105万円 |
コンピュータ1年目のみ | $2,000 約22万円 |
交通費 | $2,250 約25万円 |
合計 | $117,998 約1340万円 |
学費の支払能力は合否の判断材料にならない
マサチューセッツ工科大学では「Need Blind」という制度のもと、学生の経済状況が合否判定に用いない審査システムを採用しています。
MITの基本的な考え方は、学生の家庭事情が裕福で全額支払い能力があるのなら払うべきであるとしていますが、お金のせいで優秀な学生がMITで学べなくなることは避けるべきだと発表しています。
その結果、半数以上の学生が何らかの学資援助を受けながら入学しています。学部課程の年間の学費は約77,020ですが、学資援助を受けた場合の学生の平均支出額は$17,986です。
奨学金
MITで優秀な学生への学資援助を積極的に行っているとはいえ、留学生への学資援助枠はあまり大きくありません。世界中の学生との競争にもなります。
そのため、日本人留学生は日本政府や財団などが実施している奨学金制度への応募も検討してみましょう。マサチューセッツ工科大学のようなトップ大学への入学が認められた学生にはこれらの奨学金獲得にも大きなチャンスがあります。
▼奨学金制度の一例
マサチューセッツ工科大学への留学を実現するために

The MIT State Center
by Hugo Pardo Kuklinski
学部課程への入学条件と出願書類
MITでは学生に次の入学条件を課しています。
- 高校の成績
- 英語力スコア
- エッセイ
- 学業以外の活動
- 推薦状2通
- 面接
なお、以前は必要だったSAT/ACTテストですが、現在は提出不要となっています。
高校の成績
MITでは出願者に次の科目を修了していることを推奨しています。(とっていなくても出願できます。)
- 4年間以上の英語教育
- 微積分レベルの数学
- 2年以上の歴史/社会科
- 生物学
- 化学
- 物理学
英語力スコア
留学生は次のテストのうちのいずれかのスコアを申告する義務があります。
- TOEFL(r) 90以上(推奨:100)
- IELTS 7以上(推奨:7.5)
- PTE Academic 65以上(推奨:70)
- Cambridge (C1 Advanced または C2 Proficiency) 185以上(推奨:190)
- Duolingo 120以上(推奨:125)
エッセイ(小論文)
MITでは長いエッセイを自由に書かせるのではなく、いくつかの質問を用意し、短く答えさせる方式をとっています。
▼例(2021-22年度)
・家族、クラブ、学校、地域社会、市や町など、あなたが生まれ育った世界について説明してください。その世界はあなたの夢や願望をどのように形成してきましたか?(250ワード以内)
・今のあなたにとって最も魅力的なMITの研究分野を選び、その分野がなぜ魅力的なのかを詳しく教えてください。(100ワード以内)
・あなたが楽しみのためにやっていることを教えてください。(200~250ワード程度)
・MITでは人々の生活を向上させるために学生を集めています。MITの学生は、世界最大の課題への取り組みや良き友人であることなど、様々な方法で地域社会の向上に努めています。家族、教室、近所など、あなたがコミュニティに貢献してきた方法を1つ記述してください。(200~250ワード程度)
・あなたが直面した重大な挑戦や計画通りに進まなかったことについて教えてください。あなたはどのようにその状況に対処しましたか?(200~250ワード程度)
学業以外の活動
ボランティアをはじめ、学外での自身の活動について申告します。
推薦状2通
推薦状のうち1通は数学/科学の先生から、もう1通は人文科学、社会科学、言語学系の先生からとされています。
面接
MITの卒業生との面接が行われます。(2021-22年度はオンラインで実施)
大学院課程への入学条件と出願書類
大学院課程への入学には以下の提出が必要です。
- 推薦状
- エッセイ
- GREスコア
- 成績証明書
- CVまたは履歴書
- 英語力スコア
英語力についてはTOEFLまたはIELTSスコアの提出が必要です。MITではIELTSを推奨しています。基準スコアは学部ごとに定められています。
その他も、大学院課程では学部・専攻ごとに入学条件が異なります。志望学部から検索してください。
マサチューセッツ工科大学の入学審査
MITの選考プロセスでは「学業と課外活動の両方に幅広い関心を持ち、しっかりとした教育的背景と個人的な業績を持つ学生」をとりたいとしています。また、MITの強み、興味、価値観にマッチした志願者を求めていることも公表しています。
▼入学審査で重視されること
- MITのミッションとの整合性
- 協調性と協力的な精神
- 主体性
- リスクをとれること
- 創造性
- 熱意、好奇心、興奮
- MITのコミュニティの特徴
- バランスを優先する能力
マサチューセッツ工科大学の目標は「より良い社会を作る」
マサチューセッツ工科大学にはユニークで創造力あふれる学生が集まってきています。ただ成績が良いだけの人ではなく、世界を変え、より良い社会を作るために使命感を持つ人たちが学生生活を送っています。
私たちが日々、当たり前のように使っている製品やサービスを生み出してきたMIT。これからも、世界をあっと驚かすイノベーションを続けていくに違いありません。
入学はもちろん狭き門です。しかし、リスクを取り、チャレンジ精神を持つことがマサチューセッツ工科大学合格への第一歩でもあります。
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(留学プレス編集部)