いつものように、アメリカの新年はあっけなく終わってしまった。
日本で言う『新年3が日』の後に、自宅近くのスーパーに行ったら、もうすでに、バレンタイングッズがずらりと棚に並べられていたので、改めてびっくりさせられた。
アメリカにも義理チョコがある!?
バレンタインデーと言えば、私もかつて日本に居住していた時に、会社のオフィスなどで経験した『義理チョコ』をつい思い出してしまった。
アメリカのバレンタインデーと日本のそれは、いくつかの点で異なっているが、果たして義理チョコは存在するのだろうか?
特に固有の名称はついてないものの、私はやはり、アメリカにも義理チョコは存在すると考えている。恋人じゃなくても、バレンタインデーの日にお世話になっている人へ小さなチョコレートをかわいいバックに入れて渡す。大げさなものではなく、ほんの気持ち程度のものだ。例えば、クッキーを焼いてリボンをつけて、オフィスの人に持ってきたりする。
幼稚園や小学校であれば、工作の時間に義理チョコ用に大きな袋を作り、そこにクラスのそれぞれの生徒が自宅から持ってきたキャンディーを入れてクラスメートと交換する。大きな封筒に、バレンタイン用のステッカーを貼り付け、自分の絵など描き、クラスの特定の設置場所に飾り付ける。
クラス全体の子供の数と先生用が取り付けられているので、皆クラスの人数分の義理チョコを用意する。ドラックストアやスーパーには、それ用に漫画のキャラクターのついた小さなカードも売られている。自分の名前と、小さなチョコレートやキャンディを添えて、クラスメートのバッグにひとつひとつ入れてゆく。これも、バレンタインデーの一大行事となっているのだ。
アメリカと日本で異なるバレンタインデー
ただ、アメリカのバレンタインデーが日本と大きく異なることがある。
まず、相手に贈るものは、チョコレートとは限定されていない。Love=甘いと表現することから甘いものを贈る人は多いが、花、身に着けるもの、あるいは旅行やレストランへの招待など、人によってお金のかけかたもさまざまだ。
クリスマスシーズンが終わったばかりであるのに、またしても、散財の機会が増えるが、工夫次第で、それほどお金をかけずに、いろいろな祝い方がある。
そしてもうひとつは、贈り物をあげる対象だ。日本のバレンタインデーは女性から男性にチョコレートを贈ることが一般的だが、アメリカでは、男女どちらも対象となる。その代わり、日本のような、男性から女性に贈る日とされるホワイトデーはない。バレンタインデーに、男女どちらからも、お互いの気持ちを確かめあう日となるか、また普段お世話になっている人へ、気持ちをこめて、お菓子やキャンディーを贈る日でもある。
アメリカのバレンタインデーの過ごしかたとは?
それでは、アメリカのバレンタインデーには、人々はいったいどんなことをしているのだろうか。
あるアメリカのあるサイトでは「バレンタインデーにやっている5つのこと」として次のような事柄が挙げられている。[http://www.wikihow.com/Celebrate-Valentine%27s-Day(英語サイト)]
1. 愛している相手と、上質な時間を過ごそう。
レストランでのステキな外食もよいし、アメリカでは料理をする男性も結構いるので、この日男性が女性にディナーを作ってあげることもある。二人の時間の邪魔になることは、一切シャットアウトし、二人だけの貴重な時を過ごすのだ。
2. 自家製のカードを作ろう
最近では、PCで簡単に作れるソフトがあるので作る人もいる。多数派はカードを購入する人のほうが多いようだがいずれにせよ、心のこもった言葉は必須だ。
3. キャンディ、チョコレート、そしてスイーツを考えよう。
学校のクラスメートにあげるスイーツ。チョコレートやキャンディを自家製で作る人もアメリカには多い。
4. あなたの言葉をバラで表現しよう。
アメリカではバレンタインデーに、赤いバラを贈る男性は多い。このサイトでは、バラの色によってそれぞれ表現するものが異なるため、用途に合わせて選ぶことを勧めている。
5. 一人でもバレンタインデーを楽しもう!
今、特別な相手がいなくても、この日に自分自身に思いっきり甘やかしてみるのも、素敵な過ごし方だ。サイト内では、スパで思いっきり自分にご褒美をあげたり、ドライブで景色を楽しんでみることも勧めている。
さて、私の周りで行われているバレンタインデーの過ごし方は、この日、子供たちはベビーシッターに預けて、夫婦二人でレストランに出かけたり、大きなケーキを買ってきて、家族皆で食べたり、子供と母親が一緒に、クッキーを焼いたりする。
考えてみると、どれもそれほど思い立って、大きなことをするわけではない。しかし、夫婦二人の家庭なら、思い切ってその日休暇を取って1~2日の旅行に出かけるのも素敵だと思うし、実際やっている人も知っている。
もしバレンタインデーを祝うのを忘れたら、どうなる?
Statistic Brainと呼ばれるアメリカの統計サイトを見て、ちょっと興味深いことが判明した。これらのデータは昨年の1月に集計されたもののようだ。[http://www.statisticbrain.com/valentines-day-statistics/ (英語サイト)]
「バレンタインデーの日にカードを出すか?」の質問には85%がYes、「男性が女性に花をプレゼントしたか?」に対しては73%がYes。「バレンタインデーを祝うか?」については、61.8%の人がYesと答えている。
バレンタインデーでなくても、アメリカでは、何かとグリーティングカードを贈ることが盛んにおこなわれている。また、男性が女性に花を贈る習慣も、アメリカ文化のひとつだろう。初デートの時、あるいは特別な行事がなくても、花をさりげなく贈ることは多い。
「バレンタインデーを祝うか?」の質問だが、半数以上の人がイエスと答えているが、それでも思ったより少なめではと感じた。一般的には、もっと意識している人を見かけるからだ。
ところで、「もし、バレンタインデーに相手が何もしなかったら、彼との関係を終わらせるか?」という質問には、53%の女性がイエスと答えている。特に男性は聞いておくべき結果である。
まあ、男性の価値観と女性の価値観のズレは、今に始まったことではない。男性にとって、not big deal(別に大したことではない)と思っていることでも、女性にとっては、全力を傾けている場合もある。バレンタインもそのひとつなのかもしれない。国が異なっても、そう感じる女性も多いだろう。
この日だけは、「愛する人」に集中しよう!
日本とアメリカのバレンタインデーの祝う方法は、少し異なっているが、それでも、世界的にこの日が「愛を告白する日」となっている以上は、(ビジネス商戦のひとつであるとわかっていても)何かと心を伝えることをすることをお勧めする。
慣例にならって、チョコレートをあげるのもよし、またアメリカ式に、カードに心のこもったメッセージを伝えたり、赤いバラをプレゼントしたり、ディナーを作って招待するのもいいだろう。思い切って、日本でも男性から女性に何かしてあげるのも、サプライズでよいのではないかとも思う。
いずれにしても、それほどお金をかけずに、「気持ち」を伝える方法はいろいろある。今年は、去年と違ったことを試してみてはどうだろう?
文:ワイズりか(ライター、イラストレーター)
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