海外の水道水、多くは「硬水」。渡航前に硬水に備えよう。

私がイギリスに住みはじめてから早10年以上が経ち、今では海外生活にすっかり馴染んでいます。

それでも、イギリスへ来たばかりの頃は、日本の生活環境との違いに戸惑い、多少なりともストレスを感じたことは覚えています。

「日本との違い」その一つが水。

海外旅行や海外生活で「なんだか肌がカサカサするなあ」「お腹がゆるくなってしまう」「消化が普段よりよくない」「日本から持ってきたシャンプーが泡立たないなあ」などの経験をされた人も少なくないと思います。

これらの現象を引き起こしているのは硬水のしわざです。

私が住むイギリス・ロンドンの水は硬水。反して日本は軟水です。

そのことを良く知らずに渡英したため、はじめの頃は硬水の影響に驚きを隠せませんでした。

しかし、硬水と付き合いも長くなりました。そして行き着いた結論は、「トラブルはあれどメリットもある」。

西洋料理を美味しくしてくれたり、イギリス生活に欠かせない紅茶のなかには硬水でこそ美味しさを感じられる茶葉も存在します。ミネラルが豊富な硬水はお通じをよくしてくれます。

こちらの記事では、海外の硬水のメリットとデメリット、そして硬水とうまく付き合うためにできる対策などをご紹介いたします。

日本は軟水でも海外は硬水地域が多い

一言で軟水・硬水といっても、何をもって分けられるのでしょうか。

それは、水に含まれる成分量によります。

日本の軟水は口当たりがよく肌にやさしい

軟水には以下の特徴があります。

  • さらりとしていて口当たりがよい
  • 柔らかく飲みやすい
  • 肌や胃腸にやさしい
  • 和食に適している
  • 洗剤などが泡立ちやすい

当たり前のように口にする日本の軟水は、美味しくて抵抗なく飲める、そして生活に役立つ欠かせない存在です。

一部地域を除いて、日本のほとんどの地域の水道水やミネラルウォーターが軟水といわれる理由は、水中のミネラルであるカルシウムイオンとマグネシウムイオンの数値が低いからです。

ミネラルを多く含む水は、石灰岩の多い地形の水分なので、逆に石灰岩の少ない日本の地層の水分は、ミネラルが少ない軟水です。

対して海外の水はどうでしょうか?

海外の硬水地域

イギリス・ロンドンは硬水、そして他のヨーロッパ諸国でも、水道水やミネラルウォーターが硬水という国が多いです。

それは、ヨーロッパは石灰岩が多い地域だからとのこと。

硬水を飲むのが心配な方は、渡航前に各国の水メーカーの硬度をチェックするのもおすすめです。

硬水の定義や表わし方は、それぞれの国や機関によって異なりますが、WHO(世界保健機構)の基準では硬度120mg/L以上が硬水です。

日本で一般的に販売されているボトルウォーターは、10mg/L~30mg/Lといった硬度がとても低い軟水が多いのに対し、ヨーロッパ諸国では、200mg/L~500mg/L程の硬水のボトルウォーターを販売している地域が多いです。

日本と比べると、硬度がとても高いですよね。

しかし、国によっては軟水の地域もあり、スーパーでは硬水だけでなく、軟水のボトルウォーターが売られていることも。

硬水の特色と意外なメリット

硬水の主な特徴は、ミネラルが豊富であり、そして重みのある口当たりです。

私も慣れるまでは少し違和感がありましたが、飲み続けると抵抗感もなくなり、嬉しいメリットまで実感できるようになりましたよ。

お通じが良くなる

ミネラル中のマグネシウムが多い硬水は、胃腸の働きを助け、便秘気味の方は嬉しい効果が得られることも。

現にマグネシウムは多くの下剤の材料に使われています。

便秘薬を使わなくても、お通じ改善が期待できるのは身体にも優しく、代謝も良くなってダイエット効果も得られるようです。

洋風の料理に活躍

日本の軟水は、和食にぴったりなので、出汁をとったり日本米を炊いたりするのに適しているのですが、硬水も海外では料理に役立ちます。

特に肉料理に硬水を使うと、灰汁が出やすく肉の臭みをとり、旨味を閉じ込めるのに活躍し、パエリアなどの固めの米を炊きたいときは、ベトベトにならずパラっとした仕上がりになります。

海外でも、その土地で食べられるものは硬水が美味しさを引き出しているのですね。

美味しい紅茶が飲める

私の住むイギリスでは、紅茶の茶葉が硬水に合うようにブレンドされているもの多いです。

中でもミルクティーはより飲みごたえのあるこってりとした味わいになり、好んでいつも飲んでいます。

硬水は水自体の風味が強く、紅茶本来の美味しさを味わえないのでは、と思いがちですが、その地の水を活かす紅茶に出会えるのも、海外で食を楽しむ醍醐味ではないでしょうか。

茶葉によっては軟水の方が適しているものもありますので茶葉を買う時にアドバイスをもらうのも楽しみになりますね。

海外の水道水(硬水)事情2
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「体験談」硬水によるトラブル

メリットも多い硬水ですが、やはり軟水に慣れ親しんだ私たちが海外に滞在するとき、硬水による影響は不安要素の一つですよね。

ここでは、私が実際にイギリスで感じた硬水のトラブルについてお話したいと思います。

肌荒れ・乾燥

「あれ?私ってこんなに乾燥肌だったっけ…?」

そう、特にイギリスの冬の季節、肌のカサつきが気になりはじめました。

そして、シャンプー後の髪もパサつき気味で、質感もゴワゴワ…。

これはあきらかに硬水の影響だと思いました。中にはフケが気になり始めたという人まで。

硬水が肌や髪にダメージを与えるなんて…渡航前にしっかり確認しておけばよかったと後悔しました。

日本製シャンプーなどが泡立ちにくい

日本製の石鹸やシャンプーなどは、軟水でよく泡立つように作られているそうです。

よって、日本製のものを海外に持って行って使用しても、硬水地域では日本で使うような泡立ち感が期待できないのです。

硬水はマグネシウムやカルシウムを含み、それらが石鹸成分に反応すると「石鹸カス」となり、水に溶けず残り泡立ちを悪くするので注意が必要です。

お腹がゆるくなる

私も含め、イギリスに住み始めた人から「お腹の調子があまり良くない」と耳にすることがしばしば。

「そういえば、なんだかお腹がゆるいかも…?」と思い始めてからは、軟水のボトルウォーターを飲んだり、なるべく胃腸に優しいものを食べるようにしたり、胃腸薬を常備したりしていました。

硬水のミネラルから好転反応を得られ、便秘解消になる人がいる一方で、胃腸の調子が悪化する人もいるようです。

今思い返せば、生活環境の変化から来るストレスも原因の一つだったのかもしれませんが、硬水のミネラルが胃腸に影響することは、知っておいて損はないでしょう。

それでも、長年住んでいて胃腸も硬水に慣れたのか、今ではまったく不調を感じなくなりました。

掃除が大変

ライムスケールという言葉を聞いたことはありますか?

これは主に炭酸カルシウムからできており、硬水に含まれています。

ある日、水道水をケトルで沸かし、お湯をカップに注ぎ白いカスのようなものが一緒に出てきた時は、見たことのない光景ですごくびっくりしました。

それもほうっておくと、どんどん白くこびりついて、取り除くのが大変になってしまいます。

キッチン周り、風呂場も画像のようにすぐに白く水痕が残るので、こまめに掃除をしなければいけません。

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あると便利な硬水対策グッズ

硬水と一緒に生活するのは大変そう、と思われるかもしれません。

しかし、知っておくだけで硬水に悩まなくても済む解決策があるのです。

ぜひ、硬水地域へ出かける前にチェックしてみてくださいね。

シャワーヘッド

軟水化機能が備わっている携帯用シャワーヘッドは、硬水地域でのヘアケアやボディーケアに活躍してくれます。

手軽に持ち運びができて、滞在先のシャワーヘッドと付け替えれば肌荒れや髪のパサつきなどのトラブルを軽減できます。

大手ショッピングサイトや家電量販店などで簡単に入手できるので、渡航前にチェックしてみましょう。

浄水器

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フィルターを通して水道水を軟水化させたい場合は、お手軽で低価格なポット型の浄水器がおすすめです。

付属のフィルターをポット内に取り付けるだけで簡単に使いはじめられます。

フィルター交換頻度は約二か月おきです。

今でこそ、硬水を飲むのに抵抗はありませんが、浄水器で軟水化した水を使い、ケトルでお湯を沸かすときに、白いライムスケールがこびりつかないのは嬉しいですね。

そして、日本食や緑茶には軟水が合うので、気分で軟水・硬水を使い分けられます。

海外に長期滞在予定のある方にはぜひ、現地でゲットしていただきたいです。

硬水地域のシャンプー・ボディーソープ

日本からイギリスへ渡る時に、私は一式日本からクレンジング剤やシャンプー、石鹸などを持ち込みました。

しかし、硬水のため泡立ちが悪いことを事前に知っていたら、わざわざ日本から持ち込まず、現地で入手したはずです。

成分が自分の身体に合うか不安と思われるかもしれませんが、イギリスでは低刺激で自然派なケア用品も手に入ります。

また、頭皮・ヘアケアには下記の画像のオーガニックのアップルサイダービネガー(リンゴ酢)が活躍しています。

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シャンプー前に頭皮や髪に染み込ませ、洗い流す。

いつも通りのシャンプーの後でも頭皮がスッキリし、髪もしっとりサラサラに。

アレルギーのある方は控えた方が良いかもしれませんが、私はトラブルなくバッチリ効果を実感しています。

重曹と酢

固くこびりついたライムスケールを撃退するにはスーパーで簡単に手に入る、重曹(英語:ベーキングソーダ)と酢があれば安心です。

重曹を綺麗にしたい部分にふりかけ、その後にお酢をかけて放置。

その後掃除用スポンジでゴシゴシ。

ライムスケールの量によっては一度で取りきれないこともありますが、数回に分けて使えばみるみるうちにピカピカになっていきます。

ケトル掃除に使うのもおすすめです。

特に、口にするものを扱う製品なので、なるべく薬品を避けたいですよね。

酢を適量ケトルに流し入れ、水を入れたら沸騰させ、数時間置くとライムスケールがはがれてスッキリしますよ。

硬水から受ける影響は対策ひとつで安心できる

軟水に慣れている日本人が、とつぜん硬水を毎日使うことになったら…。

困惑することもありますが、硬水は決してマイナス要素だけでなく、身体の不調を改善したり、生活に役立つこともあります。

そして、必ずしも硬水から影響を受けると言い切るのは難しく、それぞれの体質や性格によって様々です。

硬水が気になる人もいれば、それほど気にならない人もいるでしょう。

大切なことは、日本と水の質が違うため、なにかしらの影響があるかもしれない、あるとしたらどんな対策が有効かと事前に知る事ではないでしょうか。

備えあれば憂いなし。

渡航前の確認事項にぜひ、「滞在国の水事情チェック」を忘れずに加えてみてくださいね。

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