生物の行動、生態、進化など、動物に関する広い知識を深く学ぶ動物学(Zoology)。動物の保護や環境保全、生物多様性への理解が求められる現代では、動物学研究はますます価値が高まっています。
海外の大学で動物学を学ぶことで、異なる生態系や文化に触れつつ、グローバルな視点を養うことができます。キャンパスのある国や地域特有の動物に焦点を当てている大学もあります。
この記事では、動物学の専攻内容や留学費用、将来の仕事など、動物学を学ぶための情報を徹底解説します。動物が好きな人、自然界の仕組みを理解したい人、必見です!
ぜひ学部や大学選びの参考にしてくださいね!
動物学とは?
生物学の一分野
動物学は生物学の一分野で、解剖学や生理学から進化や飼育に至るまで、動物のあらゆる生態を専門としている学問です。
環境問題への意識が高まっている今、世界各国にとって環境と野生生物の保護・保全が国際的な課題となっており、動物学はますます注目の学部となっています。
野生生物の保護については「Wildlife Conservation」や「Wildlife Science」といった学科名で専門に行っている大学もあります。
動物学の専攻内容と学べること
動物学では、動物の生態に関連する多岐にわたるテーマを学びます。
微生物学、遺伝学、進化、保全、生物多様性、行動、生理学、生態系、飼育など、あらゆる観点から学びます。
動物の生態系内での役割や、人間との関係についても深く探求します。海洋生物学や陸生動物学など、専門的な分野を選択できる大学もあります。
海外大学での動物学の授業とカリキュラム
海外の大学では、動物学に関する理論的な講義とともに、実験やフィールドワーク、インターンシップがカリキュラムに組み込まれています。理論と実践をバランスよく学び、学問的な理解を深めるとともに、現場での実践力を養います。
ひとつの例として、アメリカ西海岸の州立大学、カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)が公開している動物学専攻の内容を一部抜粋してご紹介しますね。
洞窟に住むサンショウウオ、性転換する魚、熱水噴出孔、サンゴ礁、アワビ漁業、ウニ間の競争…これらは、UCSBで動物学を専攻する学生が出会う可能性のあるテーマの一例です。
UCSBのあるサンタバーバラは、動物学の研究に理想的な場所です。太平洋に近く、内陸部にも様々な生息地が隣接しているため、学生はフィールドと研究室の両方で水生・陸生動物を生きたまま観察することができます。
キャンパス内では、1日に60種もの鳥類を観察することができます。チャンネル諸島(サンタバーバラ近海にある国立公園)では、ユニークな種類のミニチュア・キツネを自然の生息地で観察できます。サンタバーバラ海峡では、昼夜で変化する魚の行動パターンを研究することができます。
UCSBでは1年生と2年生で生物学専攻共通のコア・カリキュラムを履修し、生物学入門(実験室付き)、一般化学(実験室付き)、数学(微積分と統計学)、物理学(実験室付き)を学びます。動物学専攻では有機化学の履修はありません。
主要な基礎科目を修了後、学生は自分の分野を申請できます。動物学専攻では、遺伝学、生理学、多様性、系統学、発生生物学、進化学、生態学のいずれか1コース、さらに植物学、人類学、地理学、地質学の選択科目を含む、生物科学の履修が必要です。
ほとんどの学生が実験コースとフィールドコースの両方を履修します。これらの専攻要件に加え、学生は指導教官と相談しながら選択科目を選びます。
動物学に必要なスキルと知識
大学によって出願時の要件は異なりますが、一般的には高校時代までに生物、化学、三角法までの数学、物理などを履修していることが望ましいです。語学力はTOEFL iBT で80以上、IELTSでは6.5以上が求められます。
入学後は論理的思考や観察力、データ解析能力を磨いていきます。さらに、フィールドワークや実験での実践力を身につけることで、多岐にわたる職業に対応できる専門性を持った人材へと成長していきます。
将来の進路や職業
研究者、保全生物学者、動物園や水族館のスタッフ、環境コンサルタント、政府機関や国際NGOでの自然保護活動など、多岐にわたるキャリアに活かすことができます。
また、メディアや教育機関での動物に関する啓発活動や、エコツーリズム関連の仕事に従事する人もいます。
自然史博物館に関わったり、自然保護団体に携わったり、なかには考古学者と共同でマンモスなどの絶滅動物を研究する人もいます。絶滅から種を救うために遺伝学を使って研究を進める人もいます。
このように、動物学の卒業生の将来はとても多様です。ますます多くの企業や政府機関が環境保護に力を入れるようになっています。
EUが掲げる「2030年生物多様性戦略」に代表されるように、社会がますます環境に配慮した生活様式になっていく流れのなか、動物学を修了した人材の需要はますます高まると思われます。
▼就職先の例
・動物園
・野生動物公園
・野生動物のNGOや慈善団体
・政府機関
・環境保護機関
・動物栄養学メーカー
・博物館
・大学・研究機関
動物学と似ている学部は?
動物学(Zoology)と動物科学(Animal Science)の違い
動物学と動物科学は密接に関連した学部です。動物学と動物科学に明確な違いを設けない大学もあります。
一般的には動物学が自然科学に分類されるのに対し、動物科学は家畜の飼育、繁殖、健康、福祉に関わる学問で、どちらかというと農業分野に属します。
動物学(Zoology)と生物学(Biology)との違い
生物学はあらゆる生物に関する科学的な研究の総称です。動物だけでなく、植物、菌類、微生物なども含まれます。
動物学は生物学の一分野で、動物に特化してその生態を研究します。微生物学(単細胞生物)も多少含まれますが、多細胞生物(ミジンコやプランクトンなど)、無脊椎動物(昆虫、軟体動物など)、動物相(鳥類、爬虫類、哺乳類など)に重点が置かれます。
動物学のカリキュラムには植物学も含まれることがありますが、たとえば「この植物とこの動物がどのように相互作用しているか」といった具合に、動物との関連で取り上げられるケースが多いです。
他に動物学に似ている学部は?
海洋の生息地や生物について研究する「海洋生物学」、さまざまな生物が互いにどのように影響し合っているか、またその環境について学ぶ「生態学」、生息地の変化を監視し、自然環境の保護と最適化を考える「環境管理」、動物の病気、障害、疾患の治療と管理を行う「獣医学」などが類似している学部です。野生生物保護に特化した「野生生物管理」の学部もあります。
動物学が盛んな国や大学
アメリカ:動物学の最先端を学べる大学
アメリカの大学には、動物学の分野で最先端の研究を行っている機関が多数あります。
研究施設が充実しているほか、豊かな自然を活かしたフィールドワークの機会がたくさんあり、多様な生態系を対象とした研究プロジェクトが豊富です。
評価が高い大学の例:コーネル大学、ハーバード大学、フロリダ大学、カリフォルニア大学デービス校、カリフォルニア大学サンタバーバラ校、カリフォルニア大学バークレー校、ワシントン大学、ミシガン大学アナーバー校、ウィスコンシン大学マディソン校、イリノイ大学アーバナシャンペーン校、他
イギリス:理論と革新を融合した動物学教育
イギリスの大学では、長い伝統と革新を兼ね備えた動物学教育が行われています。生態学の理論と最新の研究手法を統合しています。
イギリス全土にわたるフィールドワークのネットワークも充実しており、様々な環境での実践的な学びを受けられます。
評価が高い大学の例:ケンブリッジ大学、オックスフォード大学、ユニバーシティカレッジロンドン(UCL)、インペリアルカレッジ、エディンバラ大学、ブリストル大学、グラスゴー大学、他
オーストラリア:多様な生態系を活かした実践教育
オーストラリアの大学では、独自の多様な生態系を活かした実践的な動物学教育が行われています。
熱帯雨林やサンゴ礁、砂漠などの多様な環境でフィールドワークが行われ、学生はその場でしか学べない貴重な経験を得られます。また、オーストラリア固有の動物や生態系に焦点を当てた研究も盛んです。
評価が高い大学の例:クイーンズランド大学、ジェームズクック大学、西オーストラリア大学、アデレード大学、ニューサウスウェールズ大学、シドニー大学、メルボルン大学、オーストラリア国立大学、他
カナダ:豊かな自然環境と多様性
カナダは動物学の研究と教育で評価が高く、自然環境と生物多様性を重視したプログラムが充実しています。
北は北極圏から南部は太平洋と大西洋、そして内陸の広大な山脈と広く豊かな国土は地域によってさまざまな生態系が見られるのも魅力です。
評価が高い大学の例:トロント大学、ブリティッシュコロンビア大学、マギル大学、ゲルフ大学、アルバータ大学、サイモンフレーザー大学、クイーンズ大学、他
それ以外の国の大学
アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ以外でも動物学で評価の高い大学が世界中にあります。
▼大学の例
ブラジル | サンパウロ大学 サンパウロ州立大学 リオデジャネイロ連邦大学 ミナス・ジェライス連邦大学 |
メキシコ | メキシコ国立自治大学 |
デンマーク | コペンハーゲン大学 オーフス大学 |
スウェーデン | ウプサラ大学 ルンド大学 チャルマース工科大学 ヨーテボリ大学 スウェーデン農業科学大学 |
スイス | チューリッヒ大学 ベルン大学 |
フランス | ピエール・マリー・キュリー大学 モンペリエ大学 |
ベルギー | ゲント大学 ルーベン・カトリック大学 アントワープ大学 |
南アフリカ | プレトリア大学 ケープタウン大学 |
オーストリア | ウィーン大学 |
フィンランド | ヘルシンキ大学 タンペレ大学 |
オランダ | ユトレヒト大学 ヴァーヘニンゲン大学 フローニンゲン大学 ライデン大学 |
香港 | 香港大学 |
ノルウェー | オスロ大学 |
韓国 | ソウル大学 |
イスラエル | テルアビブ大学 エルサレム・ヘブライ大学 |
日本 | 京都大学 東京大学 北海道大学 |
ランキングの指標には様々なものがあるため、ここで挙げた大学以外にも優れた大学がたくさんあります。学べる内容はもちろん、学校の環境、規模、学費、気候などいろんな側面から大学選びを検討してみましょう!
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世界にはさまざまなトップランク大学から比較的入学しやすい大学、仮合格制度がある大学、芸術大学、公立と私立…などなど、いろんな大学があります。
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動物学留学のQ&A
Q1. 動物学の学位を取得するためにはどれくらいの期間が必要ですか?
学士課程は通常3~4年、修士課程は1~2年、博士課程は3~5年です。
Q2. 動物学の留学にはどのくらいの語学力が必要ですか?
英語力でいうとIELTSでは6.5~7.0、TOEFL iBTでは90~100程度が入学に必要な英語力です。入学後は多くの文献に触れるほか、フィールドワークを通して人と対話や議論を必要とする機会が多くなります。語学力も大切ですが、コミュニケーション力やクリティカルシンキングなども大切です。
Q3. どうやって大学を選べばいいですか?
大学にはそれぞれ独自の強みがあります。動物学プログラムを卒業した後に進みたい職業が決まっている場合は、その職業とつながりのある大学を選ぶようにしましょう。
例えば、自然史博物館で働きたいのであれば、自然史博物館と密接に連携している大学や、独自の博物館を持っている大学を探しましょう。動物飼育の仕事に就きたいなら、近くに動物園やサファリパークなどがある大学を選びましょう。
大学にはそれぞれ強みとするコネクションがあります。その大学がどのような研究で知られているのか、どんな先生がいるのか、地域的に何に強いのかなどを見るのもおすすめです。
動物学留学についてもっと知ろう!
動物学は、動物の生態や行動を理解し、持続可能な未来を探っていくために重要な分野です。海外の大学で学ぶことで国際的な視点を持つこともでき、グローバルに活躍できる能力を磨くことができます。
目標だけでなく、予算やキャリアプランにも合わせて留学先を選ぶことが大切です。
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