国際関係学部は国際政治や外交、世界情勢に興味がある学生に人気の学部です。
卒業後のキャリアは幅広く、外交官・人道支援・ジャーナリスト・特派員・実業家・言語関連業務・企業や非営利団体のグローバルキャリア全般・政府機関…など多岐に渡る分野での活躍が期待できます。
国際関係学ではどんなことを学ぶのでしょう?
ここでは国際関係学で海外の大学・大学院に留学したい人のために専攻内容や大学ランキング、卒業後のキャリアについて解説します。
ぜひ留学の学部選びの参考にしてください。
\国際関係学に興味がわいたら/
国際関係学専攻とは?

国際関係学とはひとことで言うと「世界がどのように動き、機能しあっているか」を勉強する学問です。
世界では政治や文化、経済がグローバルに影響を及ぼしあっています。国際関係学では広い視点から世界のつながりを見つけるためのトレーニングをしています。
専攻を修了する時には、国際情勢に影響を与えるものは何なのかを、経済・政治・文化・歴史・法律などの全方位から理解することを目指します。また、現在世界で起きている出来事を分析し、話し、書ける能力を身につけます。
国際関係学部の内容

多くの国際関係学のコースには、政治・異文化コミュニケーション・世界史などの基礎科目と、幅広い教養科目が含まれています。多くの場合、外国語科目の履修も必要となります。経済学、統計学、データサイエンス、政治、歴史、人類学、社会学などの授業もあります。
多くの大学では1学期間以上の海外留学が必須または推奨となっています。学部課程の2年または3年生からは、テーマや地域などの特定の重点科目を選択します。
▼テーマの例
- 平和
- 安全保障
- 紛争解決
- 環境の持続可能性
- グローバルヘルス
- 正義
- 倫理
- 人権
- 外交政策
- 国家安全保障
- 世界経済 etc.
▼地域の例
- アフリカ
- 東アジア・太平洋地域
- ヨーロッパ・ユーラシア
- 西半球
- 中東・北アフリカ
- 南・中央アジア etc.
修士号を取得するために大学院へ進む人は、自分の選んだテーマを深く掘り下げることが重要になります。
まず、関連する分野で学士号を取得していることが必要です。国際関係学、歴史学、政治学、経済学の学士号などが一般的ですが、大学院単位で問い合わせてみるといいでしょう。
国際関係学が盛んなイギリスの大学の場合、TaughtコースとResearchコースにわかれます。Taughtコースは学部課程と似たようなスタイルで授業を受講し、中小単位のクラスで分析したり研究をするなどして学びます。
一方、Researchコースでは教授やチューターとの相談のもと個別の研究がメインとなります。自分がどんな形で学びたいか、深く追求したい特有のテーマがあるかどうかなどで出願を検討してみてください。
国際関係学に向いている人

国際関係学部に向いている人は次のような特徴を持っています。
- 世界中で起こっていることに深い関心を持っている
- 世界のニュースを仲間と議論し分析することを楽しめる
- 海外滞在に関心がある
- 外国語を学ぶのが好き
- 政治、政策、歴史、経済学、統計学、データサイエンスなど多岐に渡ることを勉強するのが好き
国際関係学と政治学はどう違うのか?

国際関係学と政治学では共通するテーマを扱うことが多くあります。たとえば、人類学・人口統計学・テロリズム・人権などは、政治学と国際関係学の両方のコースで取り上げられることがあります。
大学によっては政治学と国際関係学をひとつの学部として設置しているところもあります。
共通するところが多いとはいえ、やはり深く見ていくと政治学と国際関係学には違いがあります。もっとも大きな違いは、政治学と比べると国際関係学では幅広く横断的なテーマを研究するという点です。
国際関係学では現在の世界の相互関係やつながりを知る上で役立つようにカリキュラムが構成されています。世界各国が問題を解決しようとする際の横のつながりやアプローチなどに焦点が当てられます。
国際関係学卒業後の就職・キャリア

国際関係学部を卒業した人は、かなり広い範囲でのキャリアを選べます。なかでも次のような職種につくチャンスが大きくなります。
- 民間、非営利団体、政府関連部門でのグローバルキャリア
- 外交官
- 政策/経済アナリスト
- 人道支援
- ジャーナリスト
- 特派員
- 実業家
- 翻訳者
- 政治コンサルタント
- インテリジェンス/情報関連業務
- 言語関連業務
- 広報関連業務
- 国際物流 etc.
国際関係学で有名な海外の大学とランキング
トップ10校こそアメリカとイギリスの大学で占められていますが、11位~100位以内には世界各国の大学がかなり多彩にランクインしています。
グローバルな視点と地政学の視点の両方が必要な学部でもあり、アジア・ヨーロッパ・オセアニアの大学がそれぞれの強みを活かして研究しています。(参考:THE世界大学ランキング2025)
1 | オックスフォード大学(イギリス) |
2 | マサチューセッツ工科大学(アメリカ) |
3 | ハーバード大学(アメリカ) |
4 | プリンストン大学(アメリカ) |
5 | ケンブリッジ大学(イギリス) |
6 | スタンフォード大学(アメリカ) |
7 | カリフォルニア工科大学(アメリカ) |
8 | カリフォルニア大学バークレー校(アメリカ) |
10 | イェール大学(アメリカ) |
11 | チューリッヒ工科大学/ETH(スイス) |
12 | 清華大学(中国) |
13 | 北京大学(中国) |
14 | シカゴ大学(アメリカ) |
14 | ペンシルベニア大学(アメリカ) |
16 | ジョンズホプキンス大学(アメリカ) |
17 | シンガポール国立大学(シンガポール) |
18 | カリフォルニア大学ロサンゼルス校(アメリカ) |
18 | コロンビア大学(アメリカ) |
19 | コーネル大学(アメリカ) |
20 | トロント大学(カナダ) |
22 | ユニバーシティカレッジロンドン/UCL(イギリス) |
22 | ミシガン大学アナーバー校(アメリカ) |
24 | カーネギーメロン大学(アメリカ) |
25 | ワシントン大学(アメリカ) |
26 | ミュンヘン工科大学(ドイツ) |
27 | デューク大学(アメリカ) |
28 | 東京大学(日本) |
29 | エディンバラ大学(イギリス) |
30 | 南洋理工大学(シンガポール) |
31 | ノースウェスタン大学(アメリカ) |
33 | ニューヨーク大学(アメリカ) |
34 | カリフォルニア大学サンディエゴ校(アメリカ) |
35 | 香港大学(香港) |
36 | 復旦大学(中国) |
36 | キングスカレッジ(イギリス) |
38 | ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン/LMU(ドイツ) |
39 | メルボルン大学(オーストラリア) |
40 | ジョージア工科大学(アメリカ) |
41 | ブリティッシュコロンビア大学(カナダ) |
42 | PSL大学(フランス) |
43 | ルーベン・カトリック大学(ベルギー) |
44 | 香港中文大学(香港) |
45 | マギル大学(カナダ) |
46 | イリノイ大学アーバナシャンペーン校(アメリカ) |
47 | ハイデルベルク大学(ドイツ) |
47 | 浙江大学(中国) |
50 | ロンドンスクールオブエコノミクス/LSE(イギリス) |
50 | テキサス大学オースティン校(アメリカ) |
52 | 上海交通大学(中国) |
53 | マンチェスター大学(イギリス) |
55 | 京都大学(日本) |
56 | デルフト工科大学(オランダ) |
56 | ウィスコンシン大学マディソン校(アメリカ) |
58 | ブラウン大学(アメリカ) |
58 | モナッシュ大学(オーストラリア) |
58 | アムステルダム大学(オランダ) |
61 | シドニー大学(オーストラリア) |
62 | ソウル大学 |
62 | カリフォルニア大学デービス校(アメリカ) |
64 | パリ=サクレ大学(フランス) |
65 | 南京大学(中国) |
66 | 香港科技大学(香港) |
67 | カリフォルニア大学サンタバーバラ校(アメリカ) |
67 | ワーゲニンゲン大学(オランダ) |
69 | ワシントン大学セントルイス(アメリカ) |
70 | ノースカロライナ大学チャペルヒル校(アメリカ) |
71 | パリ工科大学(フランス) |
72 | 南カリフォルニア大学(アメリカ) |
73 | オーストラリア国立大学(オーストラリア) |
73 | ライデン大学(オランダ) |
75 | ボストン大学(アメリカ) |
77 | クイーンズランド大学(オーストラリア) |
78 | 香港城市大学(香港) |
78 | ブリストル大学(イギリス) |
79 | パデュー大学ウェストラファイエット校(アメリカ) |
80 | フローニンゲン大学(オランダ) |
82 | KAIST/韓国科学技術院(韓国) |
83 | ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア) |
84 | フンボルト大学ベルリン(ドイツ) |
84 | マサチューセッツ大学(アメリカ) |
87 | グラスゴー大学(イギリス) |
87 | ミネソタ大学(アメリカ) |
89 | ボン大学(ドイツ) |
90 | カリフォルニア大学アーバイン校(アメリカ) |
90 | ヴァンダービルト大学(アメリカ) |
92 | アーヘン工科大学(ドイツ) |
93 | バーミンガム大学(イギリス) |
95 | ルンド大学(スウェーデン) |
97 | コペンハーゲン大学(デンマーク) |
98 | エモリ―大学(アメリカ) |
98 | シェフィールド大学(イギリス) |
100 | ペンシルベニア州立大学(アメリカ) |
100 | テュービンゲン大学(ドイツ) |
102 | SKKUソンギュンガン大学(韓国) |
102 | 延世大学(韓国) |
104 | ベルリン自由大学(ドイツ) |
104 | ベルン大学(ドイツ) |
106 | ウォーリック大学(イギリス) |
107 | エラスムス大学ロッテルダム(オランダ) |
※連番となっていない箇所がありますがTHEの表記に従って記載しています
国際関係学部に留学するには?

海外大学で国際関係学部に留学したいと考えているのであれば、次の科目に重点をおいて勉強をしておくのがおすすめです。
- 英語
- 社会系科目(歴史、政治経済、地理etc.)
- 統計
- 可能であれば第二外国語
英語力
英語は、英語圏の大学への留学を検討している人はもちろん、英語圏以外の大学留学であっても使うことが多くなります。なかには全面的に英語で履修するケースもあります。その後のキャリアや進学を考えても英語力は必須といえるでしょう。
IELTS 7.0以上・TOEFL iBT 100以上はマストで、トップランク校になるとIELTS 7.5・TOEFL iBT 109以上を要求する大学がざらにあります。
日本の学校の授業だけでこのレベルに到達するのはかなり厳しいため、多くの留学生は出願前に留学をしています。事前に語学留学や大学準備コース留学などをして現地から出願したり、高校や大学で交換留学などを経て英語テストのスコアを取得するなどが一般的です。
エッセイ(小論文)
出願時のエッセイ(小論文)では、どんな国際課題に興味があるか、その課題の実現にどう取り組みたいか、これまで自分は課題解決にどう取り組んできたかなどを具体的に表現することが求められます。そのため、書く前の自己分析はとても大切なワークとなります。
大学にはそれぞれの特徴と、求める学生像があります。自分の志望大学がどんな学生を欲しがっているのかを調べて、エッセイを組み立てていきましょう。
国際関係学を学んで志望のキャリアへ近づこう

以上、国際関係学での留学についてお伝えしてきました。国際関係学がもっとも盛んな国はイギリスとアメリカですが、欧州各国、アジア、オセアニアにも国際関係学に強い大学がたくさんあります。政治学との接点が多いため、政治学部とセットになっている国際関係学部も多くあります。
グローバル化した社会では、問題は複雑に絡まり合っています。それらを横断的に見て、解決の糸口を探るのが国際関係学です。幅広い知識をつけることができるため、将来のキャリアも多岐に渡ります。
国際政治やそれをめぐるメディアや各国関係などに興味がある人、将来外交やグローバルな舞台で仕事に就いていきたい人は国際関係学部への留学を検討してみてはいかがでしょうか。