メキシコにはカトリック教の祝祭が多くあります。カトリック教徒のみが関わるお祝いを除き、その多くはメキシコの文化の一部となり、宗教に関係なく誰もが行う習慣になっています。
今日ご紹介する「カンデラリアの日(Dia de la Candelaria)」は、生後40日のキリストのお披露目を祝う日です。国民は『タマレス(Tamales)』というちまきを食べたり、『赤ちゃんキリスト』を買ったり、地域によっては1週間ほど盛大に祝うところもあります。
今回は、2月2日の「カンデラリアの日」のお祝いの意味や祝い方をご紹介します。
赤ちゃんのキリストを購入する習慣
「カンデラリアの日」は聖書によると、マリアとヨセフがキリストの誕生から40日後に、エルサレム神殿に連れて行き清めの儀式を受けた日とされています。
そのため、聖母マリアの潔めの日や、生後40日のキリストのお披露目を祝う日としてメキシコでも祝われています。この日が近づくと、マーケットには赤ちゃんのキリストの人形がずらりと並び始め、人々はその人形と、人形に着せる美しいドレスを購入します。
そして、着飾ったキリストの人形を、洗礼のために教会へ連れて行きます。洗礼が終わったあとの人形は、家に飾っておく人が多いようです。
この日は、メキシコ人が人形を大事に抱えて教会へ向かう光景を見られる日。いかに、メキシコ人が熱心なカトリック教徒かがわかる日です。
▼キリスト像の両端にあるのが、きれいなドレスを着せられた赤ちゃんのキリストの人形。
Photo from Flickr, Celebrating Día de la Candelaria by rainy city
三賢人の日に「タマレス」を作る人が決まる
熱心なカトリック教徒でなくても、この日はメキシコの習慣として「タマレス」という料理を食べます。
▼とうもろこしの葉で包んで作るタマレス
メキシコには1月6日の「3賢人の日」に「ロスカ」というパンを食べる習慣がありますが、一部のパンには赤ちゃんのキリストの人形が入っています。赤ちゃんキリスト人形入りのロスカに当たった人は、カンデラリアの日にタマレスを作る決まりがあるのです。
実際に作ることができなくても、その日はタマレスを買い、皆で食べるのが伝統です。
たとえば、職場でロスカを食べて人形が当たった人は、タマレスを皆に配り職場の皆で食べるようなこともよくあります。留学生もこの日は学校で、または友人たちとタマレスを一緒に食べる機会があるでしょう。
また、タマレスと一緒に出されるのは「アトレ」というコーンフラワーと牛乳で作る甘くて温かい飲み物です。
↓アトレの作り方
https://www.ryugakupress.com/atole/
▼アトレ
メキシコを代表する料理「タマレス」
タマレスは、誕生日や新年など、人が集まる時によく作られるメキシコを代表する料理です。
コーンフラワーで生地を作り、その中に肉などの具を入れて長細い形にします。それをトウモロコシの葉で包み、数時間蒸して作ります。
手間や時間がかかる料理ですが、メキシコ人が大好きな料理の1つです。タマレスの種類は非常に多く、地方によって作り方や中に入れる具、大きさまで異なります。
例えば、ユカタン半島では、トウモロコシの葉ではなく、バナナの葉で包んで蒸します。また、普通のタマレスよりは平たくできていて、よりしっとりしている特徴もあります。
▼バナナの葉で包んで作るタマレス
一般的に、タマレスの中には、豚や鶏肉で赤トマトや緑トマトのソースが入ります。また、鶏肉とモレのタマレスも人気です。
メキシコ全土では、千種類以上ものタマレスがあると言われています。留学生は、ぜひこの機会に、この日はいろいろな種類のタマレスを食べてみるといいですね。
「カンデラリアの日」を盛大に祝う場所
この日を盛大に祝う場所は、メキシコ各地にあります。
代表的な場所は、メキシコシティの「グアダルペ寺院」。この寺院は、有名な観光名所で、カトリック教の大本山と言われています。聖母マリアが出現したと信じられている場所で、「奇跡の地」とも呼ばれてる聖なる場所です。こちらの寺院は、カンデラリアの日だけでなく、カトリック教の祝祭には毎年非常に多くの人が訪れます。
▼メキシコの「グアダルペ寺院」
Photo from Flickr, Basilica de Guadalupe (original) by Brian Gratwicke
もう1つは、ベラクルス州のトラコタルパンという小さい町です。毎年1週間くらいカンデラリアの祝いとして、フェスティバルが開催され、この期間中は、50万人以上の人がこの場所を訪れます。ショップが並びコンサートも開催されるため、留学生はこの機会にベラクルス州を訪れてもいいでしょう。