「住みたい街世界一位」のウィーンは留学先としても魅力的だった。~Hayato Okazaki(オーストリア留学生)

オーストリアの首都ウィーンは、マーサー社の「2017年世界生活環境調査(Quality of Living Survey)-都市ランキング」において八年連続一位という大快挙を成し遂げました。この街は留学という視点でも大いなる魅力がある街です。
 
ウィーンへ日本人が留学するメリットは何でしょうか。その魅力に迫ります。
 

市内を網羅する交通機関

ウィーン市内では主に近郊列車(S-Bahn)・地下鉄(U-Bahn)・路面電車・バスを使って市内を移動します。それらの交通機関が全て共通のチケットで乗れ、しかも市内であれば距離に関わらず一回2.2ユーロという破格の値段で利用することができます。市内中心部は基本的に5 分から10分間隔で運行し、金土の夜は地下鉄と一部のバス・路面電車では終日運行が行われます。
 
さらに市内だけではなく、ウィーン中央駅(Wien Hauptbahnhof)はヨーロッパでも有数の国際列車の発着駅となっています。日本の新幹線の半額以下で周辺国へ簡単に旅行に行けてしまうのです。
 
▼ウィーン中央駅からスロバキアの首都ブラチスラバに向かう鉄道

 

豊富な文化施設

ウィーンといえば「音楽の都」として有名です。実際に大小のコンサートがほぼ毎日公演されています。厳格なドレスコードが課され一人200ユーロもする最上級のクラシックコンサートから、ほぼ毎夕無料で開催される気軽なものまで、幅広く行われています

▼世界的に有名な楽友協会(Musikverein)ではウィーンフィルの演奏が定期的に行われています。

 
▼ザンクト・ペーター教会ではほぼ毎夕パイプオルガンコンサートが無料で開催されています。ネオロココ様式の豪奢な建物に響き渡るオルガンはRPGゲームを彷彿させます。

 
また、オペラ劇場も充実しています。立見席ではありますが、当日券を並んで買うことができれば最安3ユーロで楽しむことができます。

▼オペラハウス

 
音楽関連だけではなく、美術館も充実しています。世界三大美術館の一つに数えられる美術史美術館をはじめとして、半日もかかるような巨大美術館がたくさんあります。ハプスブルク家の財力によって集められたヨーロッパ中の有名画家の絵からオーストリアの著名画家の絵、さらには最新の現代芸術まで幅広く展示されています。

▼美術史博物館

 
取り上げたのはほんの一部ですが、このようにウィーンには芸術と触れる機会が世界に類を見ないほど豊富にあります。この街が大きく評価される理由の一つです。
 

市内に残る広大な自然

ウィーンはオーストリアの中心であり、200万の人口を抱える世界都市ですが、一歩郊外に出ればそこには広い森が残されています。この森は長い間、市民の憩いの場として機能してきたところ。コンクリートジャングルと化した現代の都市にはないような穏やかな空気をウィーンにもたらしています。緑地のほとんどがウィーン市内に含まれ、2.2ユーロで行けるのもその魅力の一つです。

▼プラーター公園は600 平方メートルに及ぶ広大な緑地。園内には遊園地も整備されており、沢山の人でにぎわいます。

 
そのほかにも物価が安い、ヨーロッパの中でもテロがほとんどないなど様々な要因がウィーンを世界一住みやすい街にしています。
 

他民族国家としての歴史と西ヨーロッパとは少し違う留学生の傾向

ウィーン大学は歴史的な影響から、東欧や旧ソ連諸国からの留学生がほかのヨーロッパの主要都市の大学に比べて極めて高いのが特徴です。他にはない素敵な出会いがあるというわけです。
 
オーストリアはハプスブルク家の統治のもと数百年にわたって様々な民族の居住地を含んだ大帝国として歩んだ歴史があります。その影響から、オーストリア人と言ってもハンガリー、チェコ、スロバキア、トルコなどその血統のルーツは様々です。
 
その中心地であったウィーンでは、いうまでもなくその傾向は強くなっています。第一次世界大戦前は雇用を求めて帝国の首都ウィーンにセルビアなど当時の領地からたくさんの人が移民として移り住んできました。戦後になると冷戦の影響で東欧諸国との人的交流はいったん途絶えてしまいますが、その間もトルコ人を労働者として受け入れるなど多民族国家化はさらに進みました。
 
冷戦が終わると、再び東欧諸国との交流が深まり、留学生として相当数がウィーンの大学で学んでいます。近年は地理的近さと街の魅力から旧ソ連諸国からの留学生も増加しています。さらに中東の危機に対して移民を積極的に受け入れている国の一つでもあり、語学学校などでは彼らと出会う機会もよくあります。
 
世界的な人道危機の中で難民受け入れを頑なに制限し、単一民族国家という幻想に揺れる日本。止まらない移民に対してはオーストリアもたくさんの課題を抱えていますが、長い多民族国家としての歴史と移民受け入れの過程で答えを探し続けるウィーンとオーストリアを感じることは、間違いなく日本人留学生にとって良い学びなり経験になるはずです。
 

知られざる国連都市で国際政治を体感

オーストリアは第二次世界大戦の反省から、主権回復後に永世中立国宣言をしています。冷戦時には東西陣営の境界となり、その政治体制からもウィーンには国連諸機関が数多く置かれるようになり、今ではニューヨーク、ジュネーブに続く「第三の国連都市」と呼ばれています。主要な機関ではIAEA(国際原子力機関)が入っていることが知られています。

▼国連

 
模擬国連や国連の見学など、国際連合に関する様々なイベントが体験できます。国際政治や国際連合に興味がある学生にとっては最高の留学となるでしょう。
 
さらに先日、オーストリアなど非核国が中心となって核兵器に対して全世界的に罰則規定を含む条約の策定に向かって動き始めました。このニュースは唯一の核兵器被爆国日本が条約に反対したことでも大きく話題になっています。核について興味がある学生にとっても、IAEAを抱え徹底した非核・反原発を唱えるオーストリアの首都ウィーンへの留学はかけがえのない経験になるでしょう。
 
暮らしやすい街として世界で評価されているウィーンは留学生に、とりわけ日本人留学生にとっては学ぶことも多い街です。音楽、絵画といった芸術分野はもちろんのこと、国際社会や国際政治という観点から得るものがたくさんあります。さらに日本や、日本では中々出会えないような人たちと交流できることも大きな魅力です。
 
それだけでなく、ウィーン大学の日本に対する関心は非常に高く、には日本学部が設置されているほどです。初めての留学で保守的なヨーロッパというイメージが怖いと感じる人にとってもおすすめの留学先と言えます。
 
ウィーン留学を通じて音楽の都、世界一住みやすい街の知られざる魅力を体験してみてはいかがでしょうか。
 
文:Hayato Okazaki(オーストリア留学生)
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