そろそろ12月、クリスマスで盛り上がる時期がやってきました。チェコでも、どこを見てもクリスマス一色になり、クリスマスの準備で誰もがそわそわしてきます。
さて、クリスマスを迎える前に忘れてはいけない子供が大好きな行事がもうひとつあります。それが12月6日の聖ミクラーシュの日。
日本でもおなじみのあのキャラクター(?)が登場する聖ミクラーシュの日。どんな日なのかちょっと覗いてみることにしましょう。
聖ミクラーシュの正体は、有名な「アノ人」
日本では聖人はあまり馴染みがありませんが、キリスト教ではミクラーシュは聖母マリアに継ぐ人気の聖人です。学問の守護聖人として崇められているミクラーシュは、セント ニコラウスと呼ばれ、3世紀後半のカトリック教会のビショップでした。優しく正義感にあふれていた彼は、貧しい人に食べ物をあげたり、一般人でも公正な裁判が受けられるよう取り計らったり、と一般市民の見方だったようです。
これが実はサンタクロースの元になっているというのは有名な話。セントニコラウスはオランダ語でシンタクラース。移民としてアメリカにわたったオランダ人によりサンタクロース、と伝えられたとか。
チェコにもなまはげがいる!?
さて、話を戻して12月6日、この日は各家庭にミクラーシュが天使と鬼を一緒に連れてやってきます。良い子にしていた子供は、チョコレートを中心にした沢山のお菓子や果物をもらいます。ただし、ちょっと頑張らないともらえないんですよ。
ミクラーシュと天使と鬼が家にやってくると、顔まで真っ黒な鬼は鎖をじゃりじゃりさせながら、舌を出してベロベロベロベロ~~~と言わせ、子供に襲いかかります。そして、ミクラーシュは鬼をなだめつつ、いい子にしていたか、と子供に聞きます。
いたずらっ子は、ジャガイモや石炭を渡されたり、鬼の持ってきたジャガイモ袋に詰められて、連れて行かれそうになったり・・・子供は泣きべそをかき、怯えながら、それでもミクラーシュと天使の優しい言葉がけで、一生懸命歌を歌い、おりこうさんにする約束をして、やっと沢山のお菓子をもらえます。
この鬼の怖さ加減は人によったり、親から鬼にお手をやわらかに、と頼んだりしているようです。そうしないとトラウマになってしまいそうですね。ミクラーシュや天使の変装に当たり外れがあるのは、お愛嬌です。ちなみにもらうお菓子や果物は親が準備しておきます。
大人も一緒に楽しみます
ミクラーシュや鬼がいなければ成り立たないこの日。
仮装をして、ハイテンションで家庭に来てくれる大人たちがいるから成り立つ行事ですよね。そんなミクラーシュたちには、ほんの気持ちのお金と、強いお酒をグイっと一杯、お礼の気持ちで渡します。
そんなわけで、聖ミクラーシュもこの日が終わる頃には酔っ払い。大人も存分に楽しんでいるようですね。
あとはクリスマスを待つばかり
クリスマスモードはますます盛り上がっていきます。子供たちはアドベントニーカレンダーを楽しみながら、待ち切れない気持ちで、首を長くしてクリスマスを待ちます。学校や幼稚園でも、クリスマスの飾りをつくったり、コラールを歌ったり。
チェコのお母さんたちは、大掃除をして(日本の年末大掃除にあたります)、クリスマスの飾りやクリスマスクッキーを沢山焼いて、家族中のプレゼントを用意して大忙しです。
ミクラーシュの日はクリスマスの始まり。クリスマスは2度楽しむ、これがヨーロッパ流クリスマスの楽しみ方、といえるかもしれませんね。