近代文明を拒んだ生活を送るアーミッシュの暮らし ~Chie Ogawa(アメリカ在住ライター)

みなさん、「アーミッシュ」をご存じでしょうか?彼らは18世紀ごろにアメリカへ移民してきた、ドイツ系アメリカ人のキリスト教徒の一派です。年々人口が増え、今では30万人にも上ると言われています。彼らは西海岸を除く全米30州に大きく広がり生活しています。
 
古(いにしえ)からの生活を大切にする彼らの生活スタイルは非常に興味深く、近年世界から注目を集めています。今回はそんなアーミッシュの生活についてお話してみたいと思います。
 
アーミッシュ

電気を使わない生活

近代文明を拒んで生活しているアーミッシュの人たち。彼らは人生において快楽、快適と思われるものを排除して生活する人たちなのです。彼らはアメリカの公共で使われている電気の代わりに、ディーゼル発電機や圧縮空気による自家発電の電気を利用し、生活に必要な電気を作りだしています。一昔前までは風車や水車によっての発電をメインにしていましたが、現在ではだんだんと薄れてきているようです。
 
アーミッシュの家の前を通ると、外に洗濯物が干してある風景を眺めることができます。乾燥機をフル回転で使う一般のアメリカ生活とは大きな違いです。
 
アーミッシュ
 
そんな彼らの移動手段は馬車か自転車。馬車はバギーと呼ばれています。
 
アーミッシュ3
 
アーミッシュタウンへ行くと、たくさんのバギーが車道を走っています。
 
アーミッシュ

車との接触事故が多いため、道路には、バギー通行の注意を促すサインも。
 
アーミッシュ
 
とはいっても、遠出をして街に買い出しへ行くときはドライバーを雇い、車を利用する場合もあるようです。彼らは運転してはいけないけれども、誰かが運転する車に乗ることは許されています。アーミッシュの女性たちが揃って買い物に来ている姿を、私も時々見かけます。
 

職業は牧畜と農耕

彼らの生活はいたってシンプル。日の出とともに家族みんなで作業開始。鶏に餌をやったり、牛の乳を搾ったり。朝食後、子供たちは学校へ、男性たちは、農作業。馬を使って畑を耕します。女性は主に家の中で仕事をします。
 
自分たちで育てた、採れたての野菜やフルーツを瓶詰めにして保存食を作ったり、美しいアーミッシュ・キルトを縫ったり。バターも自分たちで撹拌します。ちなみに彼らの作るフルーツたっぷりのパイやクッキーなどといったスイーツはとっても美味。アーミッシュの食料品店で購入することができます。
 
▼馬を使って畑を耕すアーミッシュ
アーミッシュ
 
▼手作りのパイやクッキー
アーミッシュ
 
アーミッシュ
 
▼ピクルス漬けにした野菜の瓶詰めソース
アーミッシュ
  
▼十数種類にも及ぶチーズ
アーミッシュ
 

アーミッシュの教育

アーミッシュの子供たちの教育期間は1年生から8年生(中学生)まで。全員が同じクラスルームで一緒に学びます。教科は英語、算数、ドイツ語、地理など。彼らの生活に必要なもの以外は学びません。
 
ちなみに彼らは、ペンシルバニア・ダッチと呼ばれる独特の言語をコミュニティ内では使います。
 

アーミッシュの服装

彼らの服装はこれまたシンプル。女性はひざ下まである丈の長い無地のワンピース。髪は束ねてボンネットをかぶります。女性の服にはボタンを使ってはいけない決まりになっているそうです。
 
アーミッシュ
  
男性は、シャツにサスペンダー付きのズボン。ジッパーは禁止。指輪や装飾品などといったアクセサリーは禁止されているアーミッシュ。独身男性は髭をそり、既婚男性は髭を生やし、区別しているそうです。
 

アーミッシュになるかならないかは自分で決める

彼らは「再洗礼派」と呼ばれる一派で、アーミッシュの家に生まれたからといって、必ずしも全員がアーミッシュとして生きるわけではありません。大人として認められる16歳になると外の世界に出て、一般社会での生活を経験し、20歳前後でアーミッシュになるかどうか決めるのです。アーミッシュとして生きる場合は、そこで洗礼を受け正式にキリスト教徒となるのです。
 
洗礼を受けるまでは、正式にはアーミッシュではない為、ルール違反をしても罰せられません。そのため、若者の中には、普通のアメリカ人と同じようにジーンズを履いたり、仕事で必要なために車の免許を持っていたり、電話を持っていたりする人たちもいるそうです。
 
ところが、そんな若者の85%から90%は外の世界を捨て、アーミッシュとして生きることを決めて戻ってくるそうです。その理由は私にはわかりませんが、やはり生まれ育ってきた何の欲も持たない平和な環境が最終的には居心地よく感じるのではないでしょうか?
 

最後に

彼らは自分たちの住む家も、家具も、服も、基本的に出来ることはすべて手作り。隣人同士で協力しあい、助け合いながら平和に暮らしています。
 
余計なものを持たない、とってもエコでシンプルな生活は、日本でも流行っている断捨離生活に近いものがあるかもしれませんね。

もちろん、彼らのルールは住んでいる州やコミュニティによって多少違いがあるようです。今回は厳格な移住当時のルールを守って生活しているアーミッシュの人たちについて書かせて頂きました。
 
我が家から車で1時間ほどのところにアーミッシュタウンがいくつかあります。アーミッシュの生活が学べる観光客向けのツアーや、宿泊ホテル、お土産店、レストランなど揃っていて、毎回訪れるたびにおいしいデザートやチーズ、ジャムなどをたくさん買って帰るのが楽しみな私です。
 
アーミッシュの生活に触れてみたい方、ぜひツアーに参加されてみてはいかがでしょうか?また機会があれば、アーミッシュの人たちが作る家具や食事についてもご紹介できたらと思っています。
 
文:Chie Ogawa(アメリカ在住ライター)
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